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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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ルーティン

ハルさん視点です。

「本当に綺麗な髪だな、まるで桜みたいだよ」

「桜ですか?」

「あぁ、桜はね、僕の1番好きな花なんだ。見る人をあんなに笑顔にできる花は他にはないよ。桜を見るだけで僕も笑顔になれるんだ」

「じゃあ私の髪も桜なので、私を見て笑顔になって下さいね」

「そうだね。本当に、僕にとって最高の桜だよ」


 特に目覚ましをセットしているわけではありませんが、いつも通りの時間に目が覚めます。

 今日は随分と懐かしい夢を見ていましたね。

 おそらくは昨日、圭君に言われた言葉がきっかけなんでしょうね。


 "ハルさんの髪って、桜みたいで綺麗ですよね"


 この言葉のお陰で、あの懐かしい夢を見れたんだと思います。

 もう少し夢の中に居たかったという気持ちもあるのですが、切り替えて、今日も1日頑張りましょう。


 私が起きてまず1番にするのは、自分と衣服の浄化と復元です。

 浄化の力は自分自身や衣服の汚れを取ります。

 昨日帰ってきたときも一応浄化しているのですが、朝もすることで洗顔とか歯磨きとかする時間がなくなるので、浄化は寝起きの時間短縮に丁度いいです。


 復元の力は私が着ていた服とかの、寝たことでついたシワとかを元通りにできます。

 あと私の寝癖も直せます。

 そんなことに復元の力を使っているのは私くらいなもんでしょうね。


 復元したことで新品のようになったパジャマをベッドの上に置き、今日の服を選びます。

 選ぶと言っても私はそんなに洋服を持っているわけでもないので、季節感と昨日と同じじゃないかくらいしか考慮しませんけどね。


 そのあとはコップ1杯分のお水を飲んで、少しだけ絵を見ます。

 桜の木と湖の、美しい絵。

 この絵はいつも私に元気をくれますね。


 絵に元気をもらったら、ベランダの戸を開けて、鳥に化けます。

 もうこの家に住むようになって10年ほどですが、この家の玄関を使った事は数えれる位しかありません。

 いつもベランダから出ていきますからね。

 なので、いつもベランダは空きっぱなしです。


 ここはマンションの30階なので、ベランダが開けっぱなしでも泥棒とかは来れませんから。

 とはいえもちろん、全開ではないです。

 鳥の私が通れる位の隙間です。


 と、私の朝のルーティンを語ってしまいましたが、今日も私は絵に向かって"いってきます"と心の中で挨拶をして、ベランダから飛んで行きます。


 時刻は丁度お昼くらいです。

 報告は終わっていますし、今日も上空から町を眺めて、パトロールをします。

 これで世界の異常にもすぐき気づけますし、迷子ちゃんや怪しい方がいれば警察に連絡したりもしています。

 "特別な力は規律の範囲内で人助けに使って下さい"という、あの方の教えですからね。


 今日も平和ですね。

 もとよりお昼はいつも、大体平和です。

 ざっとですが、お昼のパトロールも終わりましたし、そろそろ圭君家にお邪魔しましょう。


 いつものように開けてくれていて、網戸のしてあるベランダの戸。

 私は嘴を使って編戸を開け、室内に入り、奥の方まで飛んでから人に戻ります。


「おはようございます、圭君。今日もお邪魔しますね」

「おはようございます。昨日はありがとうございました。今日のお昼は昨日頂いたもので作りましたよ」


 お昼ご飯は、昨日神様が圭君に渡していた山の幸がふんだんに使われていました。

 栗ご飯に、柿が入ったサラダ、山菜の炒め物と茶碗蒸しでした。

 茶碗蒸しの中には銀杏が入っていて、本当に山の幸スペシャルです。


「凄く美味しいです! 本当に、圭君は食材を美味しい物に変える天才ですね!」

「そんな、大したことじゃないです。ハルさんも、もう自分で美味しい物を作れてますし。料理っていうのはそういうものじゃないですか?」

「そうですね。改めて食事の大切さを実感しますね」


 とはいえ、やはりこれだけの物を用意できてしまう圭君は、本当に凄いと思います!


「ハルさん、今日作るお菓子はもう決めてますか?」

「特には決めてませんでしたよ?」

「じゃあ折角なので、昨日の土地神様に頂いた柿、お菓子に使って下さいね」

「おぉ~、いいですね。そうします」


 私も柿を使わせてもらいましょう!

 何を作りましょうか……柿のパウンドケーキにしましょう!

 もう私も焼き菓子以外のお菓子も作れるようになりましたが、やっぱり焼き菓子の方が持って帰りやすくていいですよね。


 柿は上に飾る用と生地に混ぜ混む用を用意して、作っていきます。

 最近猛勉強をしている圭君には、糖分も必要だと思うので甘めに作っていきましょう!


 生地を型に流して、上に柿を飾ったら焼くだけです。

 焼くのを待っている間に使ったキッチンを片付けます。

 片付けるといっても、浄化の力を使うだけなのですぐ終わりますけどね。

 残った焼き時間は、圭君の勉強を一緒に見たりして待ちます。


「この生き物のこの生体、面白いですよね」

「本当ですね。こんなのいるんですね」


 圭君は生物分野の勉強を多くするようになったので、私も参考になることが多くなりました。

 私が教えれることはあまりありませんが参考書から面白いものを見つけては、圭君と話を弾ませています。

 圭君も私といるのは楽しいと言ってくれましたし、私もとても楽しいです。

 私と圭君がずっと一緒にいることは不可能で、いつかはちゃんお別れをして、圭君の記憶を消すべきだとは分かっているのですが、今はこの楽しい時間を過ごしたいです……

 これは本当に私の我が儘ですね……


「ハルさん? 何か悩み事ですか?」

「え、いえ! 大丈夫です」


チーン


「あっ、出来たみたいなので見てきますね」


 丁度オーブンが鳴ったので、パウンドケーキを取り出して、切り分けて、圭君のところに持っていきます。


「勉強で疲れた脳に甘いものを~! そろそろ休憩にしませんか?」

「ありがとうございます」


 圭君の勉強を一旦ストップしてもらって、私の作った柿のパウンドケーキを一緒に食べてもらいます。


「美味しいです。やっぱりハルさんも食材を美味しいものに変える天才ですね」

「そんなことないです」

「いえいえ、オリジナルでここまでできるとか本当に凄いですよ! これでまた勉強頑張れます」

「ありがとうございます! 頑張って下さいね」


 圭君にも誉めてもらって、食器を片付けたり、持って帰るのを準備したりします。

 その後はまた圭君の勉強のお手伝いを少しだけして、圭君家をお暇します。


「では、そろそろ帰りますね」

「はい、また明日も来てくださいね」


 また鳥に化けて、圭君家のベランダから飛び立ちます。

 パトロール再開ですね。


 日が落ちるまでは鳥の姿で町を上空から見渡して、暗くなったら猫に化けて怪しい路地裏とかを徘徊します。

 最近はあまりありませんが、怪しい密会とかは大体このくらいの時間に多いです。

 夜中の真っ暗の中とかが怪しいですよね。


 日が落ちてから出てくるまでの間くらいを猫の姿で徘徊し、何事もなければ家に帰ります。

 圭君もそろそろバイトが終わったくらいでしょうか?


 帰ってきたらまず自分の浄化をして部屋に入り、現状報告を送って、パジャマに着替えて就寝です。

 今日も特に何事もなく、平和な1日が過ごせました。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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