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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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お開き

ハルさん視点です。

 私が自分の考えが纏まったら相談すると言ったのに対し、神ちゃんは、


「考えが纏まったら、ちゃんと相談するんだよ? 間違っても自分だけで決めたらダメだからね」


と、言ってくれたのですが……

 何故でしょうか? 神ちゃんはやたらと1人で決めずに相談するようにと、自分だけで決めるなと言ってくれてますが、私はそんなに今まで自分だけで決めてましたかね?

 結構皆に相談してから行動しているつもりでしたが、自分で気付いていなかっただけで、今まで皆に迷惑を……?


「えっと……神ちゃん? 私、今までそんなに独断で決定していましたか?」

「ん? そんな事はないよ。ハルちゃんが独断で決めちゃって、皆に迷惑をかけるような行動をしてた事はないと思うよ。けど、ハルちゃんは思い立ったらすぐに行動しちゃうでしょ? まぁ、それがハルちゃんのいいところでもあるんだけど……長所は時として短所にもなり得るからね」

「思い立ったらすぐに行動……ですか?」


 そう言われると、それなりに心当たりはありますね。

 悩んだ時とかは相談しますが、即決した時はすぐに行動しちゃってますね、私。


「一時の感情だけで行動すると、その感情に盲目的に支配されちゃうから。それ以外の感情にも気付く事もできなくなって、絶対に後で後悔するんだからね。まぁ、ハルちゃんはいつも冷静だし、よっぽど大丈夫だとは思うんだけど、たまに突発的に行動するでしょ? それで少し心配なだけだよ。ハルちゃん、後悔だけはしないようにね」


 "後悔はしないように"前に神様にも言われましたね……

 確かにこのまま圭君の記憶を消せば、私は後悔するのかもしれません。

 でもきっと、いえ絶対にその方が圭君の為になりますし……


「ほらっ、そんな暗い顔して悩まないのっ! さっきも言ったけど、今すぐにどうにかしなきゃいけない訳でもないんだから。ごめんね、私も少し言い過ぎちゃったかな? ハルちゃんを悩ませたい訳じゃなかったんだけど……」

「大丈夫です、ちゃんと分かってますよ」


 日頃あんまり会えない神ちゃんだからこそ、こういうアドバイスをしてくれるんですよね。


「じゃあ今は悩むのはやめて、この時間を楽しみましょう! 盛り上がれる時には盛り上がるものだよ!」

「はい、ありがとうございます」


 ずっと悩み相談では、折角久しぶりに会えた神ちゃんとの時間が勿体ないです。

 次に神ちゃんに会えるのがいつになるのかも分かりませんし、今日はもっと楽しく盛り上がった方がいいですよね。

 気持ちを切り替えるのにもなれていますし、今は悩むのは止めて紅葉狩りパーティーをもっと楽しもうと思います。


「神ちゃん、私の悩みを聞いていただきありがとうございました。もう大丈夫です。2人の所に戻りましょう」

「そうだね。今日という日を楽しまないとね!」


 圭君と神様のいる場所にもどって、皆でまた楽しく盛り上がりました。

 話も弾んで、時間も忘れる位だったのですが、だんだんと日が落ちかけてきてしまいました。


「流石に日が落ちてからの山道は危ないからの、そろそろお開きにしようか。ほれ、人の子。これを持ってお帰り」


 神様が圭君に渡したのは山菜やキノコ、栗、柿、銀杏等の沢山の山の幸でした。


「えっと……いいんですか?」

「いつものお礼じゃ」


 神様、圭君にお礼したいって言ってましたからね。

 本当は祝福とかをあげたいんだと思いますが、私達が持っているような特別な力は、特定の人にのみ使ったりするのは規律違反です。

 違反すると罰せられてしまいます。

 私達みたいな存在はちょっと怒られるくらいで済みますが、神様だと最悪の場合、神様としての地位を剥奪されたりとかしますからね。

 きっと神様も、どうやって圭君に日頃のお礼を渡そうか考えたんですよね。


「あんまり長い間開けとくわけにもいかないし、私も帰るね」

「本当にありがとうございました」

「人の子もスープ、とっても美味しかったよー。ありがとね」

「いえ、喜んで頂けて光栄です」


 今日が初対面の神ちゃんとも圭君は仲良くなってますし、圭君の順応性には驚かされますね。


「ではこの間と同じで、ここの道を真っ直ぐ下って行けば帰れますよ。気をつけて帰って下さいね」

「はい。ありがとうございました。とても楽しかったです」

「私も楽しかったですよ。また明日、お邪魔しますね」

「はい、待ってますね」

「またの~人の子」

「じゃあね、ハルちゃん、人の子」


 圭君も神ちゃんも帰っていき、紅葉狩りパーティーはお開きとなりました。


「静かになっちゃいましたね」

「ハルちゃんは人の子を送っていかんでよかったんか?」

「はい。最近ちょっと警察の人に調べられているみたいですし、圭君に迷惑はかけたくないですからね」


 警察の人にも迷惑をかけたくもないですし、あまりにも私を調べるようなら記憶を消さないといけなくなります。

 でも私、匿名で電話したりもしてるんで、警察の人の記憶は消しすぎるのも困るんですよね……


「そうか……やはり人の世は難しいな」

「そうですね……」


 警察の中に友人とか、絶対に信用できる人がいればいいんですけどね……

 それなら私も匿名で電話をしたりする必要もなくなるのですが。


「では、私もそろそろ行きますね」

「気をつけての」

「はい。今日はお招き頂き、ありがとうございました」


 神様に挨拶をして、鳥に化け、私も御神木を後にします。

 丁度夕暮れと重なりましたね。

 夕日が紅葉を照らして、上空から見える紅葉もとても綺麗なのですが、さっきまで皆と盛り上がって見ていた紅葉はもっと最高でした。

 圭君もとても楽しんでくれたみたいですし、神ちゃんとも久しぶりに会えて、本当にとても楽しい時間でした。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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