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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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一喜一憂

ハルさん視点です。

 もう懐かしいやら、恥ずかしいやらで圭君との会話に困惑していたら、


「ハルちゃーん! 人の子とのお話終わったー? 色々焼けたよー」


と、神ちゃんが呼びに来てくれました。


「さぁさぁ、行くよ。ほら、人の子も」

「はい、ありがとうございます」


 神ちゃんは私と圭君の手を引いて、御神木から飛び降りました。

 私達は引っ張られる形で落ちましたが、ちゃんと神ちゃんが重力を調整してくれたので、綺麗に着地できています。


 御神木の下では神様が沢山の山の幸を焼いて下さっていました。

 そこに圭君が持ってきてくれた焼きトウモロコシやコーンスープ、私のフルーツジュース等も加わり、ちょっとしたパーティーのようになりました。


「まぁ! このスープ最高ね! やるじゃない、人の子!」

「ありがとうございます。このキノコも美味しいです」

「ほほっ、よかったよ。こんなに沢山のトウモロコシ、ありがとうの」

「いえいえ、実家でもよく余るので。このジュースも美味しいです。ご友人の手作りなんでしたっけ?」

「そうです。皆に喜んでもらえたって伝えておきますね」


 とても賑やかに盛り上がっていたら、山の動物達も出てきました。

 きっといい匂いにつられてきたんでしょうね。


「あっ、リスが……そっちにタヌキも」

「動物達もこの御神木が安全な場所だと分かっているので、ここに人間がいても警戒しないんですよ。なので触り放題ですよ」

「凄いですね! こんなにリスに懐かれたのは初めてです」


 圭君の肩の上をリス達が走りまわって、圭君はとても楽しそうに動物達と触れ合っています。

 無邪気に動物と触れ合う圭君……なんでしょう? 楽しそうに笑う圭君を見ていると、何故か胸がドキドキします……


 前にもこんな感じの時、ありましたね。

 確か御神木から圭君と一緒落ちた時……あの時も圭君はジェットコースターみたいだと無邪気に笑っていました。

 私には圭君が無邪気に笑ってると胸がドキドキしちゃう習性でもあるんでしょうか?

 いえ、そんな訳はないんですが……


 神様が用意してくれた山の幸も沢山ありますし、まだまだ楽しめますね。

 そういえば、前にもこうやって皆で動物にご飯をあげたりして、盛り上がった事がありましたね……懐かしいです。

 ……何か今日は昔を思い出す事が多いですね。


「だいたいね、アンタはいっつもハルちゃんを1人占めしすぎなの!」

「ほっほっほ。それは核がここじゃから仕方ないじゃろうて。じゃから今日呼んでやったではないか」

「まぁ、そうだけど……なら今は、私がハルちゃんを1人占めするんだから! ほら、ハルちゃんこっちこっち」

「ほどほどにの~」


 神様達が何かもめてるな~と思ったら、神ちゃんに急に手を引かれました。

 そのまま圭君と神様からは少し離れた所までくると、


「それで、ハルちゃん? 悩みは解決したの?」


と、神ちゃんは聞いてくれました。

 私の事を心配してくれていたんですね。

 この距離なら圭君にも聞こえないと思いますし、そこまで気を使ってもらったようで、本当に有難いです。


「その、折角送ってもらったんですが、新たな悩みができてしまいました……」

「あらら、相談乗ろうか?」

「いえ、今度の悩みは解決策はあるんです。ただ、まだ実行したくないだけで……」


 私は一般人とは違う少し特殊な力を持っていて、人から隠れて生活していなきゃいけないような存在です。

 当然圭君のような一般人と一緒にいるのは迷惑になります。

 そんな私がいつまで圭君といていいか? なんて事を聞いても、優しい圭君はいつまででもいていいと言ってくれるでしょう。

 でも私が圭君に会っているという事は、その間の圭君の時間を私が貰っているという事……つまり、私が圭君の普通に過ごすべきだった大切な時間を奪っているという事になります。

 それが問題ですよね。


 だからこそこの悩みは、"圭君の記憶から私を消す"という方法で簡単に解決できます。

 本当ならすぐにでも実行するべきなんでしょうが、私は圭君と過ごすこの楽しい時間も失いたくはないです。

 なので、ちゃんとどこまでは一緒にいるっていう期間を決めないといけませんよね……


 折角大学生になってからも時間を変えてお邪魔していいと言ってもらったので、やっぱり今すぐに消すのは寂しいです。

 それに圭君も私といるのは楽しいと言ってくれましたし……来年位でもいいでしょうか……?

 でも圭君の大学生ライフを邪魔したくもないですし、もっと早い方がいいんでしょうか……


「……今はその、解決策をいつ実行するかを悩んでいますね……」

「実行したくないなら、しなくていいと思うよ」

「え?」

「ハルちゃんが考えてるその解決案よりも、もっといいのがあるかも知れないでしょ?」

「そうでしょうか?」


 圭君から私の記憶を消す以外の解決案がありますかね?

 一般人である圭君を私の事情に巻き込まないようにするのには、これ以外の方法なんてないと思うのですが……


「ハルちゃん、1人で悩んで無理な解決をするのはダメだよ! 私はあんまり会えないから、相談にはそうそうのれないけど、何か困ったらちゃんと皆に相談するんだよ。爺でもいいからね。今すぐの選択を迫られてる訳でもないんだし、もう少し周りの意見も聞いてから考え直してみて」

「はい、ありがとうございます。私も、もう少し自分の考えが纏まったら、相談してみますね」


 今は私もまだ、自分が何に悩んでたのか分かったばかりです。

 それにさっきから懐かしさだったり、恥ずかしさだったり、謎のドキドキだったりと、自分の感情も不安定です。

 もう少し落ち着いてから、自分の考えをちゃんと纏めようと思います。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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