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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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招待

ハルさん視点です。

 昨日は圭君と、今後の事とかも話そうと思ったのですが、なんかまだ早い気がして言えませんでした。

 圭君も不思議そうな顔をしてましたし、悩ませてしまったかもしれませんね。

 でも、今日も圭君家にお邪魔してますが、特には聞かれませんでした。


「昨日はバイト先に石黒さんも来て、バイトやめる事とか伝えたら大学の事とか応援してくれましたよ」


 いつもはあまりバイトの時の事とかは話さない圭君が、今日は珍しくそう言いました。

 なんかとても楽しそうですし、昨晩……? 今朝? のバイトは良いことがあったんですかね?


「石黒さん?」

「あぁ、刑事さんですよ」


 刑事さん……あの時の……

 圭君は気にしてないようですが、その刑事さんって前にも圭君と話してた刑事さんですよね?


 もうとっくの昔に、圭君は通報してくる女と無関係だと警察の人は思っているはずです。

 圭君から携帯を借りたのはあの最初の1回だけですし、その後も何度か通報はしてますが、ちゃんと自分ので通報してます。

 刑事さん全員の動きを知っている訳ではありませんが、警察全体としてはもう圭君を調べてはいません。


 なのに、その石黒さんは個人的にまだ圭君を調べてるんですかね?

 それとも偶然でしょうか?


「その刑事さんに何か聞かれたりとかしました?」

「え? あぁ、前にお店に来た、僕の知り合いの話しとかしましたけど?」

「そうですか……」


 私は圭君のバイト先にお邪魔したことはないので、私の話をしたとかでないのならきっと偶然ですよね。

 私がそんな変な事を聞いたせいで、圭君を余計に悩ませてしまったみたいです。


 それからも圭君からバイト中の話を聞くことは増えましたが、圭君の話に石黒さんは登場しません。

 やっぱり偶然よく会うだけですよね。

 まぁ、でも用心に越したことはないので、少し気にかけておきましょうか。


 最近の圭君は勉強も凄いやる気でやってますし、バイト先で何があったのかとか、とても楽しそうに話してくれます。

 もうそろそろバイトを辞めるそうで、引き継ぎをお願いしたりとかしているみたいですね。


 そうやって圭君は、どんどん新生活に向かっていってますね。

 私は特に変わらずの日々を過ごしていますが、これからは段々と圭君との時間もずれていくと思います。

 このままなのは良くないと分かってはいるのですが、圭君との今後の事とか何も話せてないままです……


 そんな事も悩みながら上空から町を眺めていると、とても見覚えのある人が目に留まりました。

 あれは……圭君ですね!

 空から圭君を発見しました。

 山の方に向かってますね、神様にお供えでしょうか?


 いつも圭君が出かける時間は外も暗いですし、空からは見えにくくて、鳥以外のものに化けているので、圭君を見つけることはありません。

 今日の圭君はまだ少し明るいうちにお出かけみたいですね。

 多分この前、暗い夜より明るいうちにお供えに行って下さいとお願いしたからですよね。


 折角圭君に会えたので、挨拶にいきましょう。

 とはいえ、さっきまでも会ってはいたのですが……


 人に戻って会いに行こうとも思ったのですが、誰に見られてるか分かりません。

 特に周りに人の気配は感じませんが、こういう所だとどこで誰に見られてるかも分かりませんし、下手に人に戻るのもやめた方がいいと思います。

 それに、あの石黒という人も圭君を疑っているかも知れないですし、人の私と圭君は一緒にはいない方がいいでしょう。


 なので、今回はキツネに化けます。

 キツネなら急に山に現れたのを見られたとしても、違和感ありませんからね。

 私はキツネの姿でお供えの台座の所へ向かいます。

 私が到着すると、丁度圭君が台座に焼きトウモロコシを置いたところでした。


「え? あ、キツネ……」


 私が台座に飛び乗ると、圭君は少し驚いたみたいですが、私の頭を撫でてくれました。

 当たり前の事ですが、普通にキツネだと思ってるみたいです。

 でもいきなり現れたキツネを撫でるとか、あんまり良くない気もします……

 私だから大丈夫ですけど、野生だったら攻撃されてますよね。


 ずっと撫でてもらってる訳にもいかないので、私は台座からおります。

 なんでしょう? ずっと撫でてもらっていた頭が不思議と暖かくて、圭君と離れてしまった時に違和感があったんですが……

 毛並みが変わったから? ですかね?


 圭君が置いた焼きトウモロコシを咥えて、台座の場所から離れ、山の奥の結界の中まで来ました。

 ここまで来れば人はいないので、キツネに化けるのをやめて人に戻ります。


「神様ー、焼きトウモロコシ持ってきましたよー」

「おぉ、ハルちゃん。ありがとの」


 御神木まで焼きトウモロコシを届けると、神様はとても喜んで下さいました。


「圭君からのお供えです」

「本当にあの人の子は優しくて良い子じゃな。儂の力でお礼を送りたい位じゃ」

「規律違反になりますよ」

「ほほっ、そうじゃな。しかしハルちゃん、あの人の子とはいつまで共におるつもりなんじゃ?」

「その、私、まだちゃんと話せてないんですよ。今後、圭君とどうしていくのかとか……」


 私はこれまで通りですが、圭君は大学生活です。

 今までの時間だと、お互いに合わなくなってくるのは重々承知しています。

 この頃は圭君にその事を相談しようとは思っているのですが、なかなか言い出せずにいますね……


「すまんな、ハルちゃん。儂が余計なことを言ったせいで悩ませてしもうたかの?」

「いえ、そんな事はないです……いずれは考えなければならない事でしたから」

「じゃが、そんなに急くこともなかろう?」

「はい……」


 確かに今急いで解決させないといけない事ではないのですが、早めに決めておいた方がいいですよね。

 急に、会うのは今日まで! ってなったら流石に悲しいですし……

 まぁ、そんな事にはならないでしょうけど……

 でも、私の存在が圭君の大学生活の邪魔になるなんて事になってほしくないですし……


「そうじゃ! ハルちゃん、今年の紅葉は綺麗じゃぞ! 来週辺りが最高の見頃じゃ。あの人の子と2人で見に来ておくれ」

「はい、ありがとうございます。圭君を誘って来ますね」


 私が悩んでいると、神様が紅葉狩りに招待して下さいました。

 変に悩んでてもしょうがないですし、気分転換にもなりますよね。

 折角神様が誘って下さったんですから、来週辺りに圭君と時間を合わせて来ようと思います。

 圭君は最近猛勉強してますが、やっぱり息抜きも大切だと思いますし、紅葉狩りに誘ってもそんなに邪魔にはならないでしょう。

 ここからの景色は本当に絶景なので、今年も楽しみです。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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