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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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目標

圭君視点です。

「ではまた明日来ますね」

「はい、お待ちしてます」


 いつもの様に、起きたら昼食を作り、ハルさんと昼食後、僕が勉強をしている間にハルさんがお菓子を作り、それを食べながら勉強を教えてくれたりして、夕方頃にハルさんは帰っていく。

 そして変わらず、僕はハルさんに気持ちも伝えれていない。


 最近のハルさんは、料理の腕もどんどん上がってきているし、自分でお菓子を調べたりして作っているから、もう僕が教えれる事もない。

 元々、僕が勉強を教えてほしいから、そのお礼で僕が料理を教えるって約束でハルさんに来てもらっている。

 でも料理も1人で作れるようになった以上、僕がハルさんに教えれる事なんてない。


 勉強も教えてくれるし、お菓子も作ってくれるし、相変わらず洗濯物も浄化で綺麗にしてくれてる……

 僕はハルさんに何も出来てないのに、僕ばっかりもらってる……

 せめて何かハルさんの役にたてることがあればいいのに……


 僕はハルさんを支えていけるような、ハルさんに必要だと思ってもらえるような存在になりたい。

 ハルさんがどんな仕事をしているのかは分からないけど、ハルさんが仕事の時に動物の姿になっていることは知っている。


 前に、猫になる時は猫の特徴が付随するって言っていた。

 だからその特徴を生かして、力を調整しているらしい。

 鳥になってるときに空を飛べたりするのも、鳥の特徴を生かしてるんだろう。


 僕はハルさんが猫になってるのと、鳥になってるのしか見たことないけど、なんにでもなれるって言っていたし、鳥だけで考えても種類は多い。

 僕が色んな生物の特徴を知っていれば、ハルさんの役にたてるかも知れない。

 となると、生物学を重点的に学びたいな……


 もともと行こうと目指していた大学は、幅広く色んな分野に挑戦できる大学だった。

 高校の先生がオススメしてくれた所だけど、やりたいことも特にない僕が、やりたいことを見つけるために行くには丁度いい所だ。

 高校生の時には気づけなかったけど、先生は本当に僕の事を真剣に考えてくれていたんだな。

 それに気づく事ができたのも、ハルさんのお陰だ。


 でも今の僕は、色んな分野に挑戦するより、生物分野での知識を重点的に学んでハルさんの力になりたい。

 ちょっと急だけど、志望大学を変更しよう。

 生物学を専門的に学べる大学で考えていこう。


 志望大学の事を考えて、バイトを終わらせて帰って寝た。

 起きて昼食を作り終えると、ハルさんが来てくれる。

 今日もいつも通りだ。

 このいつも通りがちゃんと続くように、早くハルさんの役にたてる存在にならないと……


「圭君? 今日は生物が重点的なんですね」


 僕の勉強を見てくれていたハルさんがそう言った。

 今日は生物多めで勉強していたし、いつもは少し苦手な数学とかをよくやってるから、余計にそう思ったんだろう。


「あー、はい。ちょっと急なんですけど、志望大学を変更しようと思いまして。生物分野の大学を目指したくて……」

「そうなんですかー」


 ハルさんは楽しそうに笑ってくれてる。

 多分、僕がやりたいことを見つけたのを、喜んでくれてるんだろう。


「生物系の分野は興味深いですよね。私もこの本から学ぶ事が多いです」


 ハルさんも生物学にそこまで詳しい訳じゃないようで、僕が使っていた生物の教科書も楽しそうに読んでいた。

 新しく生物学の参考書とかも買っておいた方がいいかな……


「やっぱり専門的で難しいですよね……」

「大丈夫ですよ、圭君なら」

「はい。ありがとうございます」


 ハルさんは優しい笑顔で励ましてくれて、勉強も採点を手伝ったりして、今日も帰っていった。

 ハルさんが帰ってから少し経ってから、


ピンポーン


と、玄関のチャイムがなった。


「瑞樹圭さんにお届け物です」

「ありがとうございます」


 実家からの野菜だった。

 この間も来たばかりだからか、いつもより少し軽かった。

 開けてみると一緒に手紙が入っていた。


圭へ


今度から荷物と一緒に手紙をつけるわね。

最初からそうしていれば良かったわ。

どうして思いつかなかったのかしらね。

圭が手紙って思いついてくれて良かったわ。


今回の野菜はちょっと変わったのも入れておいたわ。

料理のレパートリー増やしてるんでしょう?

最近品種改良中の丸いなすと、甘味の強いトマトが入ってるから、これでまた何か考えてみてちょうだいね。


あんまり1人で頑張り過ぎずに、周りの人達にも頼りなさいね。

もちろん私達でもいいから、何か困ったことがあればいつでもいいなさいよ。

頑張ってね。

お兄ちゃんファイトー!


「ははっ」


 手紙を読んだら自然と笑えた。

 最後の一文は珠鈴が書いたんだろうな。


 やっぱり手紙が届くと離れていても家族と繋がってる感じがして、嬉しくなる。

 僕も早く返事を送ろうと思ったけど、便箋がない。

 またハルさんから便箋をもらうのも悪いし、ちゃんと自分で選んで買わないと。

 生物学の参考書とかも買いたいし、少し出掛ける事にした。


 参考書を買ってから便箋のコーナーに来たけど、便箋も結構色んな柄があるんだな。

 どういうのがいいんだろう……

 あんまり可愛すぎるのも恥ずかしいな……

 色んな便箋を見ていたら、黒猫の柄の便箋が目に留まった。

 シックな感じでそんなに恥ずかしくもないし、これにしよう。


 一度家に帰ってから手紙を書く。

 野菜のお礼と志望大学を変えた事を書いた。

 黒猫の柄の便箋を見ていると、ハルさんと最初に出会った時の事を思い出すな……


 折角ならキャベツを多めに送ってもらおうなかな。

 それならハルさんも、僕がキャベツを買ってきてるとかを、変に気にしなくてよくなるし。

 そういえば、実家にいた頃はよくトウモロコシも余ってたな……

 土地神様にお供えもしたいし、トウモロコシとキャベツを多めに送って欲しいことも書こう。


 ちょっと要求みたいな手紙になってしまったけど、僕からの手紙を母さんたちも喜んでくれるといいなと思いつつ、手紙を出してからバイトに向かった。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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