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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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外伝 ミオ視点 24

ミオ視点です。

「おい、聞いたか? 今度の大会、4ブロック制で大姉様方が出場するらしいぞ!」

「そうらしいな! これは運良くハル様のブロックになれれば、一気に名を揚げられるんじゃないか?」

「バーカ! 誰だってそう思うに決まってるだろ? お前なんか目立つ事も出来ねぇさ」

「だよな……でも、ハル様よりは目立てると思うぜ!」

「いや、ハル様は別の意味で目立つだろうから、お前より目立つ事は間違いないな!」

「ははっ! そりゃそうだ!」


 分かっていた事ではあるけど、相変わらずハル姉さんの評判は酷い。

 あんな討伐任務を遂行した事すらないような者達までもが、ハル姉さんが自分達より弱いと思っているんだ。

 それだけ今回の大会での結果が大きく影響するのだと思えば、多少は聞き流せるけど。


「ところでよ、何でハル様は大会に参加される気になったんだろうな? いくら他の大姉様達が参加するからって、自分と他の大姉様達とでは差があり過ぎる事くらい分かってるだろうに」

「これはあくまで噂だけど、女神様が相当にご立腹らしいって話だ」

「女神様が? これまでずっとハル様を擁護されておられたよな?」

「もう庇いきれなくなったんじゃないか? 今だってハル様は裁かれてる最中だろ? ってか、大会に参加していていいのかって話だよな」

「それこそ女神様に言われたんじゃないか? 迷惑をかけるくらいなら、余興の1つでもして皆を楽しませて来いってさ!」

「それ有り得るなー!」


 多少は……多少は聞き流せるんだ。

 でもこれは、多少の範疇じゃないな。


「そこの方々! 勝手な憶測を語らないようにっ!」

「「ミオ様っ!?」」

「特にこんな誰もが聞いている広場で語るなんて、間違った噂が広まってしまうではありませんか! それとも、変な噂を広めたくてそれだけの大きな声で話していたのですか?」

「ち、違います!」

「ついつい盛り上がってしまって……その、申し訳ございませんっ!」


 一応注意はしておいたけど、あまり意味はないだろうな。

 この人達以外にも、ハル姉さんに対しての下らない噂を流す人は多いから。

 こうなるまで放置していたハル姉さんも問題だけど。


シュッ! シュッ!


「本当に久しぶりに見ますね。いつぶりでしょうか? 300年ぶりくらいな気がしますよ」

「ミオは沢山いるんですし、全てのミオの記憶を合わせればもっとになるんじゃないですか?」

「そうですね。それはそうと、本当に大丈夫ですか? ちゃんと本気で戦って下さいよ?」

「もちろんです。当然全力を尽くしますが、負けてしまったらごめんなさい」

「絶対に勝ち残る必要はありません。ハル姉さんの強さを見せつけたいだけですから」


 ハル姉さんの様子を確認に来ると、丁度ハル姉さんが大会に向けて素振りをされているところだった。

 薙刀を持ったハル姉さんは、本当に久しぶりに見た気がする。

 相手に怪我をさせたくないあまりに、手加減をしてしまうんじゃないかと心配していたけど、全力を尽くすと言ってくれているんだし、その心配は必要なさそうだ。


「随分変わった試合形式にしたみたいですけど、ミオは参加しなくて良かったんですか?」

「私は裏工作に忙しいので」

「ですが、折角のこういう特別な大会なんですし、たくさんの人達がミオとアキの戦いを楽しみにしていたと思いますよ?」

「大丈夫です。リリーとの戦いでも、相当に見応えはありますから」


 4ブロック制で姉さん達が各ブロックに1人づつ、そして勝ち抜いた4人でトーナメントをし、1位の人は決勝戦でリリーと戦うというのが今回の大会だ。

 私が参加しない事を残念に思う声が多いのも知っているけど、私はあの男と行動をしないといけない。

 あの男の行動を見張ると共に、姉さん達にあの男の存在を気付かれないようにしないといけないから。


「リリーが強いのは知っていますが、アキと互角に強いのですか?」

「互角というか、アキ姉さん以上に強いと思いますよ。実際に2人が戦っているのを見た事はありませんが、リリーは私の分身体と互角くらいの強さを持っていますので」

「おぉ〜! ではミオの見立てでは、優勝はリリーですか?」

「そうですね。もちろん戦略次第ですけど、リリーが勝つ確率が87.995%くらいですね」

「それなら私はアキを応援します!」


 これはどの世界においても言える事だけど、世界は広い、広過ぎて全てを知る事は難しい。

 だから当たり前ではあるんだけど、自分とあまり関わりのない事なんて誰も知らないんだ。

 ハル姉さんがリリーの強さを知らないのもそうだし、たくさんの人達がハル姉さんの事を勘違いしているのもそう。

 特にこの世界は広過ぎるから……


「アキ姉さんを応援するよりも、自分が優勝する意気込みで戦って下さいよ」

「全力は尽くしますが、優勝は無理です。確実に無理だと分かっているのですから、優勝を目指す事は出来ませんよ」

「戦略次第ではハル姉さんも優勝出来ると思いますけどねー」

「ふふっ、買い被り過ぎですよ」


 ハル姉さんは冗談だと笑っているけど、事実として買い被りなんかじゃない。

 膨大な力を持ち、どんなものにも化ける事の出来るハル姉さんなら、自身を極限まで強化する事も可能だ。

 その身体能力を正確に操る事は難しいかもしれないけど、戦略次第では十分にアキ姉さんやリリーと戦える。

 緊急時に使う力がなくなってしまうからやらないだろうし、私もそこまで強さを示して欲しい訳じゃないからやってくれなくていいんだけど、自分の強さはもう少し自覚してほしいな。

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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