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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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お届け物

ハルさん視点です。

 現在、鳥に化け上空から町の様子を見渡してますが、何となく何かを食べたい気分になってきました。

 私達は食事を必要とはしませんし、お腹が空くことはないはずなんですが……今くらいの時間は、いつもなら圭君のお家でお昼ご飯を頂いてるくらいの時間ですからね。

 自分でもあまり気がつかないうちに、お昼ご飯を食べる習慣が出来てしまったようです。


 ここ最近は、お昼ご飯も色々と変わっていて、キャベツも入ってたり入ってなかったりです。

 でもどの料理も、野菜が沢山で美味しいです。


 今日は圭君が昼勤を頼まれたとのことで、夕方ぐらいの時間にしか圭君のお家には行きません。

 とりあえず、家に帰って何か食べましょうか。


 圭君家で作って、持って帰ってきたフィナンシェがありますね。

 2つくらい食べたところで、見回りの再開です。


 それにしてもご飯のために帰ってくるなんて、こんなこと初めてです。

 前までは食事とかそんなに大事に思ってませんでした。

 別に食べなくても大丈夫ですからね。


 でも圭君が毎日美味しいご飯つくってくれるようになってからは、食事って結構大切なんだな~って思います。

 美味しい物を食ると疲れも飛んでいくっていうのが、わかった気がします。

 なんとなく最近、自分の仕事能率も上がった気がします。

 料理で人は幸せになるっていうのは前から知ってましたが、普段の私にはあまり関係無いと思ってましたし、そういうのは特別な日だけでいいと思ってました……


 でも、最近私も食事をとるようになって気がつきましたが、以外と皆は食べてるってことが驚きでした。

 私みたいに1人でやってると、別に食べなくてもいいかなって思いますが、人と一緒にいると食べる方が当たり前ですからね。

 皆、そういう習慣になっていくんでしょうね。


 そういえば、私もあの方々といた頃は普通に食べてましたね。

 食べなくなったのは、1人でやっていくようになってからですね。

 まぁ最近は私も圭君のお陰で、食べる習慣になったみたいですが……


と、ご飯の事とか考えながら見回りしてたら、夕方になってました。

 なんの異常もなく、平和が1番ですよね。

 そろそろ圭君家にお邪魔しましょうか。


「お邪魔します」


 圭君が開けてくれてるベランダから、本日もお邪魔しております。


「ハルさん、今日も来て下さってありがとうございます。お昼ご飯ちゃんと食べました?」

「フィナンシェ食べましたよ」

「あ、一応は食べてくれたんですね。よかったです。今日は夕飯食べて行って下さいね」

「はい、ありがとうございます」


 圭君は勉強中だったようですが、私が入ってきたらベランダを閉めてくれて、私の食事の心配までしてくれてます。

 本当に優しさの塊ですね。


「今日もフィナンシェ作りますか? 何か別の物を作りますか?」

「さっき食べて、友人に配る分が減ってしまったので、フィナンシェを作りたいです」

「そうなんですね。じゃあ僕は勉強してるんで何かあったら呼んで下さいね」

「今日も色々と試してみるので、あとで食べてくださいね」

「楽しみにしてます」


と、そんな会話をしていたら、


ピンポーン


玄関のチャイムがなりました。

 お客さんでしょうか?

 圭君が玄関の方に向かって行きます。


「はい」

「瑞樹圭さんにお届け物です」

「ありがとうございました」


 何か届いたみたいですね。


「うっ……」

「圭君? 大丈夫ですか?」

「あ、はい。少し重くて……多分、実家からの野菜です」


 少し大きめの段ボール箱でした。

 重そうです。


「箱の重さ減らしましょうか?」

「え?」


 重そうだったので、少し重力を調整して箱の重さを減らしました。


「すごい、軽くなりました」

「重力を調整しましたから。でも野菜が届く時に、私がいないと使えないので、毎回は無理ですが……毎回こんなに重いんですか?」

「そうですね。でも全然大丈夫ですよ。持てない重さではありませんから。ありがとうございます」

「私、圭君の家にお邪魔するようになって結構たちますが、野菜が届くタイミングに居合わせたの初めてです」

「いつも夕方くらいに届くので、丁度ハルさんが帰られてから来るんですよ」


 私はいつも決まった時間にお邪魔しているわけではありませんが、だいたい昼頃に来ますからね。

 夕方ぐらいにはいつも帰ります。

 今日はたまたま夕方にお邪魔していましたが……


 圭君が段ボール箱を開けてます。

 中には種類豊富な野菜が沢山入ってました。

 実家が農家さんとの事でしたが、こんなに沢山の野菜を作ってるんでしょうか?


「すごい沢山ですね! 全部圭君のご実家の野菜ですか?」

「そうですよ。いつも沢山送ってくれるんです。家はそれなりに大きいので……」


 この量は確かに1人暮らしの、しかもあまり食べる方ではない圭君には多すぎる量の野菜ですね。

 ですが、そんなに沢山あって困るのなら、送ってもらう量を減らしてもらえばいいのではありませんか?

 もしかして……私のために多く頼んでます?


「圭君?」

「はい、なんですか?」

「この野菜、私のせいで無理に多く送ってもらっていたりしますか?」

「そんな事ないですよ。僕が1人暮らし始めた時から、毎回この量です。だから、ハルさんにも食べてもらえて助かってるんですよ」

「そう言って頂けるとありがたいです」


 私のせいで、無理に多く送ってもらっているのかとも思いましたが、そうではないみたいで良かったです。

 でも多すぎるなら何故断らないんでしょうか?

 せっかく送ってくれてる厚意を断るのも申し訳ない……的な発想からでしょうか?


 なんにせよ、私が常にいただいているのに何のお礼も出来てないことが大問題です……


「私、いつも頂いてしまってるのに、何のお礼もできてないですね」

「そんなの、気にしなくていいんですよ」

「本当はちゃんとお礼を言いに行くべきなんでしょうが……」


 私は本来、人と関わりすぎてはいけないので、圭君のご実家に"いつも野菜頂いてます、ありがとうございます"なんて、言いにいけないです。

 そんなことしたら、誰? ってなっちゃいますよね。

 自分の事を誰なのかも説明出来ない私が、お礼を言いに行くわけには行きませんし。


 かといって圭君に"毎日食べに来る友人がありがとうって言ってたよ"とか言ってもらったら、それもそれで誰? ってなりますよね。

 圭君に嘘をついてもらうわけにもいきません。

 そもそも毎日ご飯を食べに来る友人がいるなんて、親御さんからしたら心配ですよね。


「ハルさん? 本当に気にしなくていいんですからね」


 圭君はそう言ってくれてますが、そういうわけにもいきません。

 というか、今までも散々頂いておいて、今さらだと思いますが……

 どうにかして、お礼を伝える方法はありませんかね?


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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