外伝 ミオ視点 19
ミオ視点です。
「おいミオ! ハルが訴えられたと聞いたぞ! 本当なのか!?」
「本当ですけど、解決するので変に騒がないで下さいね? ナツ姉さん」
「ミオ? ハルの事だけど、私に手伝える事はあるかしら?」
「ありますよ! アキ姉さんには、何もせず、じっとしていて欲しいです」
「ミ〜オ〜、ハルにバレずに消しに行くつもりなら、協力するよ〜」
「フユ姉さん……今回消しに行くつもりはありません。それと、バレなければやってもいいという考え方は改めて下さい」
「うぃ〜」
ハル姉さんを心配して勝手な動きをしそうだった姉さん達にも忠告はしたし、他のミオ達にも今後についての指示はしておいた。
これでとりあえず相手の出方をみようと思っていたんだけど……
「はぁ、そりゃやっぱこうなるよね……」
「それは独り言か? それとも我に話しかけているのか?」
「独り言」
「そうか」
ミオ達からの報告を受けて、相手方に話し合いで和解をする気が全くない事は分かった。
分かったというか、最初から分かっていた事ではあるけど。
それでもこうも聞く耳持たずというのは意外だ。
ハル姉さんは戦いたくないという姿勢を示しているというのに……
「ハル姉さんの何がそこまで気に入らないんだろうね?」
「……」
「ねぇ」
「……」
「ねぇってば! 話しかけてるんだから、返事くらいしてよ!」
「……面倒な奴だな」
死神様は相変わらず私に悪態をついてくる。
秘書ミオを女神様の領域に派遣している分、私も仕事を手伝ってあげているんだから、もう少しくらい優しくしてくれてもいいのに。
まぁ私も死神様の事を雑に扱っているから、お互い様ではあるんだけど。
「……ん?」
「どうした?」
「ハル姉さんが来てるっぽい」
「そのようだな」
急に死神様の領域内にハル姉さんが来た気配がした。
まだ特に何の連絡もしていないから、進捗でも確認に来たんだろうか?
「ちょっと行ってくる」
「あぁ」
ハル姉さんの元へと移動してくると、
「あ、ミオ! 良かったです、すぐに会えて」
と、私を見つけたハル姉さんが駆け寄って来てくれた。
他のミオでもいい用事ならその辺にいるミオに伝えるだろうし、わざわざ死神様の領域に来て、私に駆け寄ってくる辺り、メインである私に対する用事だったみたいだ。
「今、お時間大丈夫ですか?」
「構いませんが、どうされました? 進捗を聞きに来られたのでしたら、何もお伝え出来る事はありませんよ?」
「いえ、それとは別件です。落ち着いた場所で、2人で話したいのですが……」
「それなら、私の家にしましょうか?」
「お願いします」
珍しいな、私の家に来たがるなんて。
余程周りに聞かれたくない話なのか、長話をしたいのか?
どちらにしろ、ハル姉さんは今この世界では注目されているんだから、下手に動かれるより都合がいい。
「では、どうぞ」
「失礼します」
ゲートを作って、ハル姉さんと一緒に私の家へと移動してきた。
特に何もお出しするものもないけど……あ、この間もらったゼリーがあったか。
ん? 私には覚えのないお茶が置いてある。
アイツ、また来てたんだな……
「お気遣いは結構ですよ。それに、それはミオに食べて欲しいですから」
「そうですか? ではこちらだけでも」
「ありがとうございます」
お茶とゼリーを出そうとしていたんだけど、ハル姉さんには先に断られてしまったので、お茶だけを出した。
まぁこのゼリーはハル姉さんにもらったやつだし、ハル姉さんがこの反応になるのも当然だ。
「甘くて美味しいですね、このお茶」
「そうですね、こんなに甘いとは……」
「お砂糖は入ってないんですよね?」
「入ってないと思いますよ、詳しくは知りませんが。気になるようでしたら調べましょうか?」
「いえ、それは結構です。でもミオが用意していたものではないんですか?」
「違いますよ。また置いていったんだと思います」
「それは……なんか、申し訳ないですね」
「え?」
「ミオに飲んで欲しくて置いていかれたのでしょうから、それを私がいただいてしまっては……」
「私も飲んでるんだから、いいじゃないですか」
「そういう事ではありませんよ。彼はきっと、ミオと一緒に飲みたかったんだと思います」
「そうなんですかね? 何にせよ、まだ残ってるので大丈夫ですよ。ハル姉さんが気にされる必要はありません」
「それならいいですけど」
ハル姉さんは自分が来たせいでアイツがミオと過ごす時間の邪魔をしてしまったと思っているみたいだけど、そもそもここはミオの家だ。
ミオである私がいいと判断して出しているんだから、そんな事は気にしなくていいのに。
これも、私に恋愛感情がない弊害か。
「それで、お話というのは?」
どうしたって私には理解する事の出来ない話を続けていてもしょうがないと思って、本題の話へと移行させてもらうと、
「ミオ。あなた、圭君に心を読む力がある事を話したそうですね。しかも、圭君が私と共にいてもいいのかを見極めて、記憶を消そうとしていたと」
と、ハル姉さんは私を真っ直ぐに見つめながら言ってきた。
これはまたなんというか……長話になりそうだな。
読んでいただきありがとうございます(*^^*)




