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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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外伝 ミオ視点 16

ミオ視点です。

 やっとハル姉さんの恋愛事情が落ち着いたと思ったのに、まさかこのタイミングでハル姉さんが訴えられるとは……

 正直かなり面倒なので、ハル姉さんを訴えたという相手方を完膚なきまでに潰したいところではあるけど、ハル姉さんはそんな解決を望まない。

 1から資料を揃えて戦うしかないんだろうけど……


♪♪♪♪♪


 瑞樹圭との甘い時間を過ごしているところで申し訳ないとは思うけど、ハル姉さんに来てもらわないと始まらない。

 この世界の時間とハル姉さんの世界の時間の進みを一時的に均一にして、ハル姉さんに連絡をした。


「はーい、どうしました?」

「ハル姉さん、至急来れますか?」

「え? あぁ……今からですか?」

「はい。ハル姉さんの緊急事態です」

「分かりました」

「すみませんが、死神様の領域に直接来ていただきますようお願いします」

「はい」

「それから、ミオ以外の存在とは極力会話をしないように」

「はい……では」


 これでハル姉さんに来てもらえる。

 とりあえずはハル姉さんの迎え用にミオを1人派遣して……


「あ、あの? ミオ様? ハル様は……?」

「問題ありません。ですが今下手に女神様の領域に行かれると、少々厄介事に巻き込まれるかもしれませんからね。死神様の領域で保護します。あなたも来ますか?」

「私などがお邪魔してもよろしいのでしょうか?」

「構いませんよ。死神様は気にされないでしょうし」

「それならご一緒させて下さい! ちょっと畏れ多すぎる気はしますが……」


 私に畏れている様子がない人ではあるけど、流石に死神様は畏れの対象なんだな。

 それでも共に来たいというのだから、やっぱりどこまでもハル姉さんを慕っているんだろう。


「なんか、大変な事になっちゃったみたいだね」

「ごめんね、リリー。あ、さっきの鍵の話だけど」

「いいよ、また今度で。どの道まだハルさんの問題は解決してないんだから、その記憶はあった方がいいだろうし」

「そう?」

「うんうん! それに、ミオがそっちで忙しくなる以上、私があっちを片付けてくるべきでしょ?」

「……ありがとう」


 リリーは後ろ手を振りながら次の仕事に向かって行った。

 ここ最近迷惑をかけ続けているし、何処かでちゃんとお礼をしないと……でも今はこっちの問題が優先だ。


「それじゃあ行きますよ」

「はい!」


 ハル姉さんの部下の人と共に、死神様の領域に移動してきた。

 まぁ領域内というよりは、死神様の御前なんだけど。


「ミオ、来たか」

「あー、死神様ー」

「なんだ其奴は」

「女神様の領域のハル姉さんの部下。で、ハル姉さんは?」

「ここでは目立つからな。お前の部屋に移動させた」

「そっか、じゃ死神様も来て」

「うむ」

「え、え? ……え!」


 急に死神様の前に連れて来てしまった事で、ハル姉さんの部下の人は狼狽えている。

 でも私はここで死神様も交えて作戦会議をする予定だったから、この程度で狼狽えられるのは困る。

 先に説明している時間なんてないし、早々に慣れてもらわないと。


「あのー?」

「なんですか?」

「ミオ様は死神様に対して、いつもこのような感じなのですか?」

「そうですね」

「ミオはいつもこうだ。我を親戚の叔父のように……」

「嫌だった?」

「そうは言っておらん」


 死神様の迫力に狼狽えているのかと思ったけど、私の死神様に対する態度に驚いていただけみたいだ。

 畏れながらも着いてくるような人だし、相当に肝が据わっている。

 流石はハル姉さんの部下……というよりは、女神様の領域内で働けている人だな。


「ハル姉さん、お待たせ致しまし……」


ガバッ!


「いえいえっ! 私のせいで皆さんにご迷惑をお掛けしているのですから……死神様も、本当に……」

「構わん。お前には先日も迷惑をかけたからな」

「そうですよー! それより、圭さんとの時間を奪ってしまって……」

「ミオっ!」

「はーい」


 私の執務室に入ってすぐに、ハル姉さんが物凄い勢いで頭を下げてきた。

 状況は死神様の秘書をしているミオから既に聞いただろうし、私達に迷惑をかけてしまったと、自分を責めているんだろう。


「一応聞いておきますけど、武力行使は望みませんよね?」

「当然です!」

「それが一番早いんですけどね。ではやはり、こちらからも訴えを」

「待て。お前は短気過ぎる」

「だってハル姉さんですよ? アキ姉さんが訴えられるのとは訳が違います。そもそも相手方も勝てるとは思っていないでしょう。どう考えてもハル姉さんの評判を落とす事だけが目的です。そんな奴等……」

「だからこそ慎重に動けと言っている。お前がハルを庇う事など、相手も当然理解しているだろう?」

「それはそうでしょうが……」


 最初から勝つ気がないからこそ、相手をするのが面倒なんだ。

 こういう手合いには武力行使が一番だと思う。

 でも残念ながらハル姉さんはその解決方法を好まない。


 となればこちらからも訴えを提起し、理論武装によって相手方を黙らせるという方法になるけど、死神様の言う通りこちらがそうする事くらいは分かっているはずだ。

 つまり、私が介入する事でハル姉さんを不利にする算段は既に整っている。

 ハル姉さんの評判に関わるとなれば、下手には動けなくなる……


「す、すみません、発言してもよろしいでしょうか?」

「サク? どうしました?」

「今回の件、ハル様に勝ち目はあるのですか? 私にはハル様がかなり不利に思えるのですが、皆様はハル様の勝利を確信されているようで……?」

「勝ち目はありますよ、寧ろ勝ち目しかありません。ですので今回の訴えは、本当に時間の無駄としか言えません」

「私は違反的な行動は一切しておりませんからね。サクも安心して下さい」

「それならば、何故女神様は……」


 このハル姉さんの部下はサクという名前みたいだ。

 そしてサクが不安がる気持ちも分からない訳じゃない。

 何しろ今回の訴えを受理されたのは、長年ハル姉さんを自身の右腕とされている女神様なんだから。

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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