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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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初めての昼勤

圭君視点です。

 今日は店長に昼勤を頼まれた日。

 ハルさんも夕方くらいにしか来ないので、1人分の昼食を食べる。

 ハルさんの事だから多分、今日は昼食を食べてはいないだろう。

 バイトが終わったら夕食を作って、今日はハルさんに夕飯を食べてもらう事にしよう。


 ご飯の片付けも終わり、丁度いい時間になったのでバイトに向かう。


「うわっ!」

「え?」


 コンビニまでの道を歩いていると、特にぶつかった訳でもないのに、ジョギングをしてる人にビックリされた。


「今日は早いんすね……あっ、すみません……」

「えっと……その、今日は昼に仕事で……」

「あー、そうなんすか。じゃ、失礼しまーす」


 それだけ話してジョギングを再開して行ってしまった。

 全然知らない人だけど、今日は早いって言われたってことは、いつも夜にジョギングしてる人と同じ人? なのかな?

 なんか、僕を見て驚いてたし……

 まぁいいか、世間は案外狭いし、普段僕がコンビニの夜勤で働いてることを知ってる人だろう。


 いつも夜にしか来ないので、昼に見るコンビニは全然違う職場に思えた。

 色々と初めてで少し不安だけど、頑張ろう。


「おはようございます。よろしくお願いします」


 裏から入るとマネージャーがいた。


「あー、瑞樹君。おはよう、話は聞いてるよ。今日はお昼2時間、よろしくね」

「はい、お願いします」

「じゃー、レジ入っといて」

「はい」


 レジの方に入ると知らない人がいた。

 普段昼勤の人だろう。

 僕より少し歳上くらいかな?


「あー、あんたがいつも夜勤の瑞樹さん? 今日はお願いしまーす。俺、稲村でーす」

「あ、はい。こちらこそ」


 初めて会う人と一緒だし、緊張するかと思ったけど、稲村さんはフランクな人でそこまで緊張しずに仕事ができた。


「いらっしゃいませ」

「いらっしゃいませー」


 お昼はやっぱり、お客さんが多い。

 レジにもずっと立ってないといけないし、あまり愛想のいい方でもない僕には夜勤が向いてるな……

 そんな事を思いながらレジをしていたら、知ってる声がした。


「あーっ! おにーちゃんっ!」

「まなちゃん?」

「わーい! おにーちゃんだー! ひさしぶりだねー!」


 お祭りの時に会ったまなちゃんだった。


「え? 瑞樹さんの知り合い?」

「そうですね。ちょっとこの間のお祭りで知り合って……」


 稲村さんにも不思議そうな顔をされた。

 僕が疑問系でまなちゃんと呼んだからだろうけど。


「あ、あの時の。こちらで働かれてるんですか?」

「そうです。いつもは夜勤の方なんですが、今日はたまたま昼勤で」

「凄い偶然ですね。私達もたまたまここのコンビニによっただけで、いつもは使わないんですよ」

「そうなんですか」


 後ろからまなちゃんのお母さんも来て、挨拶してくれた。

 その横に見覚えのない男性……お父さんかな?


「何? 誰? 知り合い?」

「ほら、花火大会の時、まなを見つけてくれた人」

「あー、その節はお世話になりました」


 やっぱり、まなちゃんのお父さんみたいだ。

 優しそうな人で、すごい仲良し家族って感じだ。


「いえいえ、僕は本当に何もしてないですから」

「あの、何かお礼を」

「いえ、本当にそういうの大丈夫ですから」

「そうおっしゃらず、何かありませんか?」

「おにーちゃん、なんかしてほしいことないの? おとーさん、すごいからなんでもだいじょーぶだよ。まなもおれいしたいからー」


 お礼したいって言われてもな……

 僕はなにもしてないし、ハルさんも絶対そういうのは必要ないって言うだろうしな。


「えっと……あっ! じゃあ」

「なになにー?」

「あの花火大会の写真とかってありませんか? 見せたい人がいるんですけど、僕は特に持ってなくて……」

「えー、なんですか? 瑞樹さん。誰に見せたいんですか? ま、さ、か、彼女?」


 稲村さん、結構面倒な人だ……


「いえ、店長ですよ」

「は? 店長?」

「はい。店長忙しくて、花火大会に行けてないんですよ。日頃お世話になってるし、何かお礼をしたいと思いまして……」

「うっわー、瑞樹さんて真面目ー」

「そうでもないですけど」


 何かもらったりするのは申し訳ないけど、多分まなちゃん達も何かしないと申し訳ないって思ってるだろうし。

 そこまで迷惑にならない範囲でできるお願いが、それしか思い浮かばなかった。


「そんなことでよければ、動画ありますよ。お兄さんの携帯に添付で送っておいても大丈夫ですか?」

「はい、ありがとうございます」


 よかった。

 これで店長にも花火見てもらえる。


「いやー、でもよかったです。何かお礼をしたいとずっと思ってたんですが、急に電話をしても断られるだろうし、迷惑になるんじゃないかと心配して、なかなか連絡できなかったもので」

「そんな、本当にお気遣いなく……」


 やっぱり、色々気にしてくれてたみたいだ。

 逆の立場だったら、僕も絶対お礼しないとって思うだろうし、気持ちはすごく分かる。


「あまりお仕事の邪魔しても良くないですね。そろそろ失礼します」

「おにーちゃん、ばいばい」

「彼女さんにもよろしくお伝えください。では、失礼しますね」

「ありがとうございました」


 まなちゃん家族は帰って行った。

 元気そうで安心した。


「てか、瑞樹さん。さっきの人に彼女によろしくって言われてましたよね? 彼女いるんですね」

「いえ、いません……」

「ってーことは、彼女じゃないけど一緒にお祭りに行くような仲の女性が?」

「まぁ……友人、ですね……」


 つい先日も、友人だと再確認したばかりだ……


「ふーん……告白、しないんですか?」

「…………」

「まぁ、応援してあげますよ」

「ありがとう……ございます」


 稲村さんは初対面で結構グイグイくる人で、少し苦手な感じだったけど、なんか応援してもらった……

 いい人で良かった。

 初めての昼勤で不安もあったけど、なんとかなってよかった。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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