祭りの終わり
ハルさん視点です。
焼きトウモロコシを買って、御神木まで戻って来ました。
「儂等はあ……に本……世話に……とるんじゃよ」
「そうな……すね」
何か話し声が聞こえますね。
圭君と神様お話し中でしょうか?
「ただいまです! 買ってきましたよ、焼きトウモロコシ」
「あ、お帰りなさい。早かったですね」
「おお~待っとったぞ~」
私が焼きトウモロコシを渡すと神様はとても喜んで下さいました。
「圭君も、どうぞ」
「えっ、ありがとうございます」
ちゃんと3つ買ってきたので皆で食べれます。
「おおっ! これはこれは、なんとも美味じゃの」
「そうですね。美味しいです」
「ところで、何かお話し中じゃありませんでした? お邪魔してしまいましたか?」
「いえいえ、丁度話が終わった位のタイミングでしたから」
「そうじゃの」
「なら、良かったです」
どうやら私が邪魔してしまった訳ではなさそうですね。
良かったです。
「でも、ハルさんって本当に凄いんですね。神様とも知り合いだなんて……」
「ここにはよく来てましたからね。神様にも本当にお世話になりました。でも、他の神様の事はあまり知りませんよ」
「そうなんですか?」
「神様の中でも特に土地神様は、その土地から離れない方が多いですからね。あまりお会いする機会もなくて、私もそんなに知らないんですよ」
「まぁ、ハルちゃんは知らなくても、神の方はハルちゃんの事を知っとるじゃろうがな」
「そうなんですか……」
「ハルちゃん、有名じゃからの」
「そんなことは……」
ないともいえないですね……
ドーン、ドドーン、ドンドドドーン!
他愛ない話をしている中でも、綺麗な花火が打ち上がってます。
花火はもうクライマックスみたいですね。
物凄いたくさんの花火が打ち上がっています。
「なんか、横から線みたいな花火? 始まりましたね」
「あぁ、圭君"ナイアガラ"見たことないですか?」
「ナイアガラ? ですか?」
「あの線みたいなところから、火の粉が滝のように落ちる花火です。ほら、始まりましたよ!」
「わぁ……」
ナイアガラはやっぱり、こういう視界を遮るものがない場所から見るのが1番ですね!
ナイアガラの上もたくさんの花火が打ち上がっていて、本当に絶景です。
圭君も、花火に魅入っているみたいです。
「本当に滝みたいですね……こんなに凄い花火は初めて見ました!」
「喜んで頂けて良かったです」
「毎年凄さが増すの~。人の技術には恐れ入るわ」
「あっ……終わっちゃうみたいですね……」
ナイアガラも終わり、花火は終了したようです。
なんだか少し寂しいですね……
「ハルさん、神様、今日は本当にありがとうございました。とても楽しかったです」
「いえいえ、圭君が楽しんで頂けたなら何よりです。神様も背中を貸して頂き、ありがとうございました」
「そんなに喜んでくれるんなら、背中を貸したかいがあるってもんじゃ。よかった、よかった」
最近は鳥に化けてパトロールがてらに、花火を見ていましたからね……
花火より下を歩いている人ばかり見ていました。
なので私も、久しぶりに落ち着いて花火が見れてよかったです。
「では、帰りましょうか」
「あ、はい……あの、ハルさん? どうやって降りるんですか? また後ろから掴まった方がいいですか?」
「あぁ、降りるときは普通に飛び降りればいいだけですよ。着地の直前くらいでフワッとしますので」
「そ、そうなんですか……」
「あ、あの……飛び降りるのが嫌とかなら、また捕まってもらっても大丈夫ですけど……」
まぁまぁの高さがありますからね。
飛び降りるのはさすがに怖いですよね。
配慮がかけてました……
でも、登った時みたいになるのもなんか、少し恥ずかしいです……
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
「では、手をどうぞ」
「あ、はい」
私が自分をフワッとやれば、私と繋がってるものも全部フワッとなりますからね。
ですから圭君とは手を繋いで飛び降ります。
「ではでは神様、また来ますね」
「お世話になりました」
「また来ての~。待っとるよ」
神様にお別れをして、いざ飛び降りです。
「せーのっで飛びますか? 3、2、1、がいいですか?」
「えーと、じゃあせーので」
「はい、ではせーのっ!」
私と圭君は一緒に飛び降りました。
もちろん着地直前でフワッとやりましたよ。
この程度の重力操作くらいは私でも出来ます。
「無事、到着です」
「あははっ、なんか登った時は一瞬だったのでなんともなかったんですけど、降りるというか、落ちている感じがすごくて、ジェットコースターみたいでした。楽しかったです」
「それは良かったです」
圭君が、すごい楽しそうに笑ってます。
こういうの好きなんですかね。
こんなに無邪気に笑う圭君は初めてみました。
一瞬だけドキッとしました……
なんか、胸がまた変な感じです……
「ハルさん?」
「あぁ……すみません、帰りましょうか」
「そうですね」
神社の前の道まで帰ってきました。
圭君はこれからバイトがあるので、ここでお別れです。
「では、圭君。バイト頑張って下さいね」
「あ、はい。今日はありがとうございました。また明日、家に来て下さいね」
「はい、ではまた明日」
圭君とお別れしてから、人のいないところへ行き鳥に化けました。
お祭りも十分に楽しみましたし、パトロール開始です。
読んでいただきありがとうございます(*^^*)




