表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜色のネコ  作者: 猫人鳥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

259/332

ズレ

ハルさん視点です。

「ハル姉! 次はあっちのお店行こ!」

「いやいやそっちのお店の方がいいでしょ」

「どっちも行きましょう。まずは珠鈴ちゃんのいうお店から……ん?」


 珠鈴ちゃんと麗華さんとお買い物をしていると、急に体が違和感を覚えました。

 そしてあたり一帯の時間が止まってしまっている事が分かります。

 この世界の時間を誰かが止めたんですね。


 ここで考えなくてはいけないのは、それを行った者が敵か味方かですが、その判断はすぐにつきました。

 見慣れている空間の歪みが発生しましたからね。


「ミオ、どうしたんですか? 何か緊急事態ですか?」

「そこそこな緊急事態です」

「私がすべき事は?」

「私と一緒に来ていただければ!」

「分かりました」


 ミオがこうして招集をかけるというのは、緊急時以外にはありえません。

 しかもこのミオは、メインのミオです。

 私を呼びに来るだけの事に分身体を使わなかったというのは、余程な緊急事態が発生して……


「圭君……」


 ミオの空間移動を通って出てきた先は、ミオの家でした。

 しかも圭君がいます……


「ハ、ハルさん……その、お買い物中だったのに、お呼び立てしてしまってすみません」

「いえ……」


 圭君が私を呼んだ……

 そしてミオが迎えにきた……

 私達の世界の時間どころか、ミオがここに一緒にいてくれているのですから、この空間以外の時間が止まっているという事になります。

 ミオにこんな状態にしてもらってまで、圭君が私を呼ぶだなんて……


 それはもう、私にあの時の話をさせたいという事なのでしょうね……

 圭君は私の家族の事を気にしていましたし、きっとミオに相談したんですね。

 でもミオは勝手に私の過去を話したりはしませんからね、私が話すしかないんです。

 でもそれは、とても危険な事で……


「ミオ、あなたらしくないのではありませんか? 闇堕ちを防ぐ事が、あなたの最大の任務でしょうに」

「らしくないこともないですよ。私はハル姉さんなら闇堕ちなんてしないと確信していますから」

「信用して下さるのは嬉しいです。でも、0.1%でも闇堕ちの可能性があるなら、それを防ぐのがあなたではありませんか?」

「もちろんそうです。でも私はハル姉さんは闇堕ちなんてする方じゃないと分かっていますし、もし仮に闇堕ちしても必ず助けますよ」

「何を言ってるんですか! あなたも分かってるでしょう? もし私が闇堕ちしたら、全世界が終わるんですよ! 闇堕ちした時点でバランスがとれなくなるんですからっ! あ、すみません……」


 自分が話したくないからと、ミオに当たってしまいました。

 でも、事実として私がこの話をするのは危険です。

 圭君にはちゃんと私の事を知って欲しいと思っていますので、いつかは話すつもりではいますが、こんな話さざるを得ない状況にされるとは……

 八つ当たりでしかないのは分かっていますが、まだ全く心の準備が出来ていないんです……


「ハル姉さん、大丈夫ですよ。ハル姉さんが闇堕ちしてしまった場合に助ける方法は、既に考えてありますから」

「いくら考えようと、そんな事……」

「出来ますよ、圭さんがいますから」

「え……圭君に何をさせるつもりなんですか?」

「何って、闇堕ちを止めてもらうだけですよ」

「私が闇堕ちをした時に圭君がその場にいたら、圭君が一番に殺されるんですよ!?」


 ミオが何を言っているのか、理解出来ません……

 もし私が闇堕ちをしたのなら、ミオは真っ先に圭君を別の空間に飛ばすべきなのに、圭君が私の闇堕ちを止めるだなんて……


「あの、お話中ごめんなさい。どうしてハルさんが闇堕ちすると、僕が一番に殺される事になるんですか?」

「それは……闇堕ちという状態になってしまうと、闇の力を強める為により大きな絶望を求めます。だから、闇堕ちした存在が大切に思ってる人とか物とかを、一番最初に壊そうとするんです」

「あぁ、なるほど……つまりそれって、ハルさんが僕の事を凄く大切に思ってくれてるって事ですよね。ありがとうございます!」

「そっ、そうなんですけどっ! 今はそういう話をしているわけではなくてですねっ!」

「圭さんって、時々? いや、結構しょっちゅうズレてますよね」

「えっと、すみません……」


 確かにそうです。

 圭君の言う通り、圭君が一番に殺されるというのは、私が心から圭君を愛しているからこそではあるのですが、今はそういう話をしていた訳ではないのに……

 でも、改めて考えると、確かにそういう話とも言える話をしていた訳で…… 

 なんだか、かなり恥ずかしくなってきてしまいました……

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ