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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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土地神様

ハルさん視点です。

 圭君を御神木のところにまで案内できました。

 あとは登るだけです。


 普段結界が張ってあって入れないので、圭君も御神木を見るのははじめてですね。

 この木の大きさに、少しは驚いてくれたのでしょうか?


「それじゃあ、上に行きましょうか」

「えっと……ハルさん、どうやって登るんですか?」

「え? あぁ、私が飛びますよ。圭君は私の後ろにしがみついていてくれれば大丈夫です」

「後ろにしがみつく?」

「はい、私の後ろから首の方に手を出していただければ」


 多少バランスは悪いかも知れませんが、大丈夫でしょう。

 本当は、私が圭君を抱き上げて行くのが一番安全なんですが、それだとお姫様抱っこしてる感じになっちゃいますし……

 さすがにそれは圭君も嫌でしょうからね。


「圭君?」

「あの、僕ごと一緒に飛ぶって事ですか?」

「そうですよ」

「僕、重いですよ」

「大丈夫ですよ。今の私、跳躍力高いですから」


 圭君、何か悩んでますね?

 圭君は痩せてますし、多少重いくらい全然大丈夫なんですが……

 一応今は"跳躍力の高い黒髪の人間"に化けてますし。


「えっと……じゃあ、掴まりますよ」

「はい」


 と、圭君は後ろから私に掴まりました。

 ……あ、あれ?

 これってよくよく考えたら、後ろから抱き締められてるのと一緒ですよね?

 圭君の体温を、背中から感じます。

 何か、急に恥ずかしくなってきました……

 自分からしがみついて、とか言っておきながら何を言ってるんしでしょうね、私は。


「ハルさん?」

「……えっ! あっ……ごめんなさい……じゃあ飛びますね。し、しっかり掴まってて下さいね」


 地面を蹴って、飛びます。

 丁度いいところにある木の枝に着地しました。


「圭君、到着です」

「えっ……ありがとうございます」


 圭君が離れました。

 背中、暖かかったんですが、何か残念です……

 いえっ! 別に寒いわけではないんですよ!


ドーン、ドドーン


 花火が上がっています。

 やっぱりここからの景色は最高ですね。

 圭君も花火、見てますね。


「どうですか、圭君。絶景スポットでしょう?」

「はい、凄く綺麗ですね」

「圭君に喜んでもらえて良かったです」

「ありがとうございます」


 圭君とさっきのフィナンシェというお菓子食べて、花火を見て、とても楽しいです。

 圭君はフィナンシェも作れるそうです。

 お菓子作れるとか本当に女子力高いですよね。


ドーン、ドーン、ドドーン


 花火がたくさん打ち上がってますね。

 最近はあまり見に来てませんでしたし、誰かと一緒に見るのは久しぶりです。

 やっぱり1人より楽しいですね。


「本当に綺麗ですね」

「そうですね」


 圭君と花火見ていると、


「お~、ハルちゃんが人の子を連れとるとは、珍しいな」


と、声がしました。


「あっ! 神様~。お久しぶりですね、お邪魔してます」

「え? 神様ですか? はじめまして、瑞樹圭です」


 振り返ってみると神様が姿を表していました。

 圭君は私が神様と呼んだ事で驚いて……いませんね。

 普通に、友人の友人を紹介された時くらいの反応です。


「ほほ~面白い人の子じゃの。儂が神だと知っても驚かんとは……そんな普通の自己紹介されるとは思わなんだな。信じとらん訳ではないじゃろうに」

「いえ、あの……大変失礼致しました」

「そんな堅くならんで良いぞ。全く、面白い人の子じゃわ」


 凄いですね、圭君は。

 神様が来ても驚かないとは……

 そこに私が驚きです。


「圭君は理解力高いんですよ、神様。それでいて、すごく優しいんですよ」

「それは分かっとるよ。ハルちゃんが一緒におるのが、何よりの証拠じゃな。じゃから儂も、姿を表しても大丈夫と思って来たんじゃ」


 いくら私が一緒にいるからって、一般人である圭君の前で神様が姿を表すとは思ってませんでした。

 神様はとても慎重な方ですからね。

 きっと圭君から滲み出る優しさが、神様にも伝わったんでしょうね。


「圭君、こちらの神様はここの土地神様で、あそこの神社に住んでいらっしゃる方ですよ。そして、私達が今座ってるこの木が本体のお方ですね」

「えっと……それって僕達今、神様を踏んづけている感じになってますか?」

「大丈夫じゃ、心配せんでもよいわ。ここはどっちかって言うと背中じゃからな。おんぶしとる感じじゃな」

「そうなんですか……ありがとうございます」


 圭君と神様、仲良くなれたようで良かったです。

 圭君は、神様を踏んづけてしまってると心配していたみたいですね。

 確かによく考えてみれば、御神木に登っちゃダメな感じしますよね。

 神様は優しいので大丈夫ですが……

 でも、この枝が神様の背中だったとは、私も初知りです。

 丁度いいところにある太い枝、くらいにしか思ってませんでした。


「ここ背中なんですね。この枝には昔からお世話になってましたが、私はずっと神様におんぶしてもらってたんですね。ありがとうございます」

「そうじゃな。昔からハルちゃん達は、ここから町を眺めとったからの。ここが儂の頭でも背中でも気にせんかったろ?」

「それは……すみませんでした」

「よいよい、儂も光栄じゃったよ。じゃが、最近はあんまり来てくれんかったからの……少し寂しかったぞ」

「忙しかったりしましたからね」

「今日は来てくれて嬉しいぞ。ハルちゃんも人の子も、楽しんでくれ」

「はい、ありがとうございます」

「ありがとうございます」


 圭君には絶景からの花火を見てもらえましたし、神様とも久しぶりに話もできました。

 たまにはこういうふうに、ゆっくりと過ごすのもいいですね。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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