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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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初恋

圭君視点です。

ババ抜きが弱いというハルさんに、これは好機とばかりに皆でババ抜きをする事になった。

最初にジョーカーを持っていたのは僕だった。

そこから康司君へ、如月さんへ、ハルさんへと渡ったジョーカーは、珠鈴の所へ行く事はなく、そのまま珠鈴が一番に上がった。

そして僕達順番に上がっていき、ハルさんが負けた。


「何故でしょう、何故なんでしょうか……?」


ハルさんは少し剝れながら落ち込んでいる。

こういうハルさんが見れるのは珍しい気がするし、やっぱりどんなハルさんでも可愛いと思う。

でもちょっと可哀想だし、ちゃんと教えてあげた方がいいか。


「ハルさん。ハルさんは凄く感情が顔に出てます」

「え?」

「嘘を付けない素直さの影響もあるとは思うんですが、物凄く分かりやすく顔に出てるので、どっちにジョーカーがあるか分かるんですよ……」

「えー、瑞樹君言っちゃうのー? もう一戦やろうと思ったのにー」

「言ってなおせるもんでもないだろ」

「それはそうだねー」

「そ、そういう事だったんですね……」


元々感情が顔に出やすい人なのは知ってたから、僕達もババ抜きを始める前からハルさんが負ける原因はそれだろうと分かっていた。

そして案の定のそれだった。


「つまり、引かれる時に私がカードを見なければいいんですね!」

「そうですね」

「それなら運の勝負になるから、ハルさんも負けないんじゃない? ということでもう1回」

「その前に勝者の私からハル姉に質問です!」

「あ、そうだったね。珠鈴ちゃんは何を聞くの? 聞くこと決まってるの? 決まってないなら……」

「聞くことは、決まってる! ハル姉? お兄ちゃんの事好き?」

「も、もちろん好きですよ、大好きです!」

「よかったね、お兄ちゃん!」

「うん……あ、ありがとう珠鈴」


ハルさんは照れながらも答えてくれた。

嘘が嫌いなハルさんが嘘を言わないって事は分かってるから、好きって言ってもらえるだけでも当然嬉しいし、一応は答えなくてもいいというルールに変えたのにも関わらず答えてくれたというのも本当に嬉しく思う。


「じゃあ続きまして2回戦!」


そうして始まった2度目のババ抜きは、如月さんが1位上がりで、ハルさんが負けだった。

引かれる時は一切カードを見ず、これなら勝てるとハルさんも意気込んでいたにも関わらず、ハルさんの負けだった。


「何故……やっぱり私はジョーカーに愛された女なのでしょうか?」

「なにそれ……」

「友人に付けられたあだ名です……」

「その人、いいセンスしてるね!」


最初に手札を見た時の反応からして、最初にジョーカーを持っていたのはハルさんだ。

そしてハルさんからカードを引いていた珠鈴にジョーカーが渡っていないのは、珠鈴が引いた後に自分の手札を見てガッカリしていたハルさんから分かる事だ。

つまり今のゲーム中、ジョーカーはハルさんの元から動いていない。

ハルさんって誰からも好かれる人だし、本当にジョーカーにも好かれているのかもしれない。


「あのね、ハル姉。言うかどうか悩んだんだけど、私ババ抜きめっちゃ強いの」

「はい?」

「ハル姉がジョーカーに愛された女なんだったら、私はジョーカーに嫌われた女だよ。全然ジョーカー来ないから」

「珠鈴は殆どジョーカーを持った事がないんですよ。持ってもすぐに渡すし、今までババ抜きで負けた事はないと思いますよ」

「じゃあ私のカードを珠鈴ちゃんが引いてたらダメじゃないですか!」

「そうだね。だから言うか悩んだんだって」

「もー!」


ちょっと怒ってるハルさんも可愛い。

僕も珠鈴がババ抜きに強いのは知ってて言わなかったんだから、同罪ではあるんだけど。


「それなら並び順を変えて3回戦だね! と、行く前に質問だよ!」

「はい、なんでしょう?」

「ハルさんってさ……」


何を聞かれるんだとハルさんも若干戸惑っているところで、


「元彼は何人?」


と、如月さんは聞いた。

そんな何人もいたら流石にちょっと……


「はい?」

「だから、元彼だよ。元彼」

「元彼? いませんよ。お付き合いする事になったのは圭君が初めてです」

「え、嘘……」

「本当ですよ」


……まぁ、知ってはいたけど。

ハルさんは忙しい人だし、ずっと1人で頑張っていた人なんだから、何人も元彼がいるわけないって。

分かってたはずだけど、なんか安心した……


「じゃあ初恋の人は?」

「康司はババ抜き勝ってないじゃん」

「あ、そうだった」

「ふふっ、初恋も圭君です。私に恋愛感情を教えてくれたのは、圭君ですよ」

「それを言うなら、僕もそうです。感情ないとか言われる程だった僕に恋愛感情をくれたのはハルさんですから」

「はいはいよかったですねー」

「この部屋、暖房効きすぎじゃない?」

「あなたがスイッチを入れたんですよ?」

「それはそうかも」


ハルさんは初恋の人も僕なんだ……よかった。

3人からからかわれる事にはなったけど、これはこれでいいと思う。

康司君と如月さんには、本当に感謝だな……

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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