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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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輪投げ

ハルさん視点です。

 まなちゃんのお母さんを探すため、人の居ないところで鳥に化けました。

 やっぱり上空からの方が探しやすいですからね。


 まなちゃんのお母さんの特徴は、白地に青や紫の小さな花が沢山入った柄の浴衣で、髪を綺麗に結ってある人ですね。

 それだけだと、同じ特徴の人は山のようにいますが、人を探している人ほど見つけやすい人はいません。

 さっきの特徴に、落ち着きがなく、キョロキョロと辺りを見回し、大きな声で名前を呼んだりしている人、という特徴がプラスされますから。


 ……案の定、特徴一致の女性を発見しました。

 私はもう一度人の居ないところに戻り、人になります。

 そのあとはさっきの見つけた、まなちゃんのお母さんらしき人の所へ猛ダッシュです。


 さっきの所へ行くと、お母さんらしき人は少し離れた所にいました。

 私が人に戻ったりしている間に移動してしまったようです。

 でも、そんなに離れなくて良かったです。

 猛ダッシュしたかいがありましたね。


「まなー、まなー?」


 まなちゃんの名前を呼んでますね。

 この方で間違いなさそうです。


「あの、すみません。まなちゃんのお母様ですか?」

「えっ! ……ええ、そうです。まなを、知ってるんですか?」

「はい! 今、私の友人と一緒にいます。ちょっと待って下さいね。えっと、これが友人の電話番号なので、かけてもらえますか?」

「ありがとうございます。ちょっと失礼しますね」


 まなちゃんのお母さんに、圭君からもらった番号メモを渡しました。


「電話をかけながらでいいので、私についてきてもらえますか?」

「はい、ありがとうございます」


 電話をしながら向かった方が、早く合流出来ますからね。

 お母さんには私についてきてもらいます。


「あの、すみません。まなの母ですけれども……」

「あぁ、良かったです。今、まなちゃんに代わりますね」

「おかーさんっ!」

「まなっ! 良かったわ……まな、大丈夫? 怪我とかしてない?」

「うんっ! いまね、おにいちゃんとわなげしてるのー」

「そう、輪投げの所にいるのね。お母さんもすぐそっちに行くわね」

「うんっ!」


 隣を歩く私にも、電話越しのまなちゃんの元気な声が聞こえめした。

 圭君と輪投げをしているみたいですね。

 さっき圭君と別れた辺りに輪投げ屋さんがありましたし、多分そこで遊んでいるんでしょう。


「あ、お母様。あっちですよ」

「ありがとうございます」


 私達が輪投げ屋さんに行くと、お菓子をいっぱい持った圭君と、輪投げで遊ぶまなちゃんがいました。


「わーっ! またキャラメルとれたーっ!」

「おう、またとったか嬢ちゃん。上手くなってきたじゃねぇか。ほらよ、こりゃあ嬢ちゃんも、将来は輪投げ屋キラーか?」

「えへへっ、ありがとーっ!」


 輪投げ屋のおじさんとまなちゃんが、仲良さそうに話しています。


「まな?」

「あっ! おかーさん!」

「まなっ! 良かったわ、本当に……」


 まなちゃんとお母さん、無事に合流できました!

 本当に良かったです。


「ハルさん、早かったですね」

「そうですか? 一応人探しは慣れていますからね」


 普通の人探しと違って上空から探しているので、顔の特徴とかを言われても探しようがありません。

 ですが髪型や服装、どういった行動をしているのかが分かっていれば、圧倒的に上空からの方が早く探せますからね。

 今回は、まなちゃんがしっかりとお母さんの特徴を教えてくれたので良かったです。


「おにいちゃん、おねぇちゃん、ありがとーっ!」

「あの、本当に何とお礼を言ったらいいか……」

「いえいえ、たまたま近くにいただけですから」

「あ、これはまなちゃんの戦利品なので、どうぞ」


 圭君はお母さんに大量のお菓子を渡しました。

 全部まなちゃんがとったんですかね?

 すごい量です。


「えぇ? こんなにたくさん……まな、あなた何回輪投げしたの?」

「えーっとね、んー? いっぱい?」

「あ、あの……ご迷惑お掛けして申し訳ございません。お支払します。何回分ですか?」

「1回分ですよ、そうですよね? おじさん」

「おうよ、今回は特別サービスだからな!」


 私は輪投げもやったことないのでよく分かりませんが、1回分であんなにお菓子もらえるんですね。

 まなちゃんは輪投げが得意みたいです。


「えっ? ええ? 1回分? えっと、じゃあ500円を……」

「あぁ、いいですよ。まなちゃんにこのキャラメルをもらいましたから」

「おねぇちゃんにもあげるー」

「ありがとうございます」


 私もキャラメルをもらいました。

 こういうお菓子も普段は食べないので、新鮮な気分です。


ドーン、ドーン!


「あ、花火……」

「始まったみたいですね」

「おかーさん! はなび、はなび! はやくおとーさんのとこいこっ! おねぇちゃんとおにいちゃんもいっしょにいこっ!」

「いえいえ。家族水入らずのところをお邪魔する訳にはいきませんから」

「そうよ、まな。お姉さん達のデートの邪魔をしちゃダメよ」

「そっかぁ……じゃあね、おねぇちゃん、おにいちゃん」

「はい、今度はお母さん達から離れちゃダメですよ。お祭り楽しんで下さいね」

「うんっ! ありがとー!」

「ありがとうございました」


 まなちゃんとお母さんと、手を振ってお別れしました。

 とりあえずは一安心ですね。


「じゃあ、私達も行きましょうか」

「そうですね」

「おう! ちょっと待ちな、兄ちゃん。ほら、こんぐらいは持っていけ」

「ありがとうございます」


 私達も行こうとしたら、屋台のおじさんは圭君に何か投げてくれました。


「顔は覚えたからな、来年にでもまた来いよ。兄ちゃん用の特別難易度を用意しといてやるから」

「それは、楽しみにしてますね」

「じゃーな、デート楽しんでこい」

「デートではないんですが……すみませんハルさん、行きましょうか」


 圭君は私の手を引いて、輪投げ屋さんから離れていきます。

 輪投げ屋のおじさんは雑な感じに手を振ってますが、何処となく圭君とおじさんは仲良しな感じですね?

 何かあったんでしょうか?


「圭君? さっきは何をもらったんですか?」

「これです。なんですかね?」


 圭君がもらっていたのは可愛い箱で、中には色違いの焼き菓子が4つ入ってました。

 あの輪投げ屋さんの景品でしょうか?

 結構立派な物に見えますが?


「フィナンシェですね」

「フィナンシェ? そういう名前なんですか? 美味しそうですね」

「そうですね。花火を見ながら食べましょう」

「はい、では私の知っている絶景スポットにご案内しますね! こっちです」


 今度は私が圭君の手を引いて、山の奥に入っていきます。

 壮大な花火を見て、喜んでもらおうと思います!

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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