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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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ファッション

ハルさん視点です。

「もうっ! おっそーい!」

「わりぃわりぃ……」

「ハ、ハルさん……」

「圭君……」


 約束の時間から10分ほど遅れて、圭君と康司さんが現れました。

 圭君の格好はなんというか、見慣れない感じです。

 全体的には黒っぽいのですが、少し大きめのだぼっとした服を着ていて、普段の圭君なら絶対に身に着けないであろうチェーンのネックレスをしています。

 ですがだらしないという感じではなくて、圭君は圭君だなって感じです。

 それにところどころに綺麗な青色の模様が入っていて、面白いと思います。


「えっと、変ですか?」

「変ではありませんよ。新しい圭君を見られた感じがして、なかなかに興味深いです」

「ストリート系な感じ? 確かに今までの瑞樹君にはなかった感じだね。それに結構似合ってるし」

「だろ? お前は……ボーイッシュか?」

「そ!」


 私は麗華さんに言われるがままに着ていただけなのでよく分かりませんが、これはボーイッシュというんですね。

 普段あまりズボンを履きませんし、落としやすい装飾品第1位でもある帽子なんて全く被らないので、自分の中ではとても新鮮な格好をしていると思います。


「圭君、私はどうですか? 似合ってますか?」

「あ、はい。似合ってますよ。珍しいハルさんに出会えたなって感じです」

「圭君はこういうの、嫌いじゃないですか?」

「僕はどんなハルさんでも好きです」

「……は、はい。ありがとうございます。私もどんな圭君でも好きですよ!」

「ありがとうございます」

「はいはいバカップル、そこまでにしておいてね。っていうか瑞樹君。彼女に聞かれるまで服装を褒めないとか、彼氏失格だからね?」

「き、気をつけます……」

「いえ、今のは私が……」

「いーの、ハルさんは気にしないで!」

「そうですよ。見慣れないハルさんでも、ハルさんはハルさんだなって考えて、言葉を失っていた僕の問題ですから」

「私も圭君は圭君だなって思いましたよ、ふふっ」

「それは良かったです」


 圭君の驚いたような反応が心配で確認したのですが、私から確認した事で圭君は麗華さんに怒られてしまいました。

 ですが圭君と同じ思いだったのだと分かって、ちょっと嬉しいです。


「以外にも2人が並んでても違和感ない感じになったね。私は瑞樹君をもっとフォーマルな感じにするのかと思ってた」

「フォーマルも考えたんだぜ。でもコイツに似合い過ぎてたからやめた。もっと意外性とインパクトがある方がいいかと思ってな。俺も麗華はクール系でくると思ってたぞ」

「クール系は考えたよ。でもそれよりはセクシー系にしたくてね! 結構色々着てもらったんだー。ほら、ハルさんって髪色ピンクだし、ちょっと派手めのセクシー系もアリかなって思って……」

「じゃあなんでボーイッシュ?」

「ハルさんってさ、顔が優し過ぎるんだよね。だから派手めのセクシーにするならメイクから変えないとでしょ? ちょっと時間が足りなかったの。だからちょっと顔隠しで帽子被ってもらったりしてたらこうなった」

「なるほどな」


 麗華さんと康司さんは、互いにどういう経緯でこのファッションにしたのかという話で盛り上がっています。

 詳しくは分かりませんが、麗華さんも康司さんも、とても気合いを入れてこのコーディネートを選んで下さったのだという事はよく分かりました。 


「お二人共、凄い熱量ですね」

「良かった、派手めのセクシーじゃなくて……」

「圭君?」

「あ、はい! なんですか?」

「何か悩んでます?」

「いえ、その……ハルさんは本当に何でも似合いそうですし、今回はこういう麗華さんに言われるがままに着ていたっていうのは分かるんですけど、あまり露出の多い格好なら断って下さいね?」

「はい?」

「さっき言ってた派手めのセクシーとか……露出が多い格好で出歩くのはダメです」

「露出の多いの格好……」


 パーティや式典以外では、ああいう服は確かに着慣れませんし、あまり人前に出るのも恥ずかしいですからね。

 ただ、露出の多い格好で出歩くのを気をつけるように言われると、ちょっと難しいものはありますね。

 なにせ私は、猫や鳥の姿で街中に出没していますから。

 ある意味、常に全裸です。


「露出というかは微妙ですが、今後動物になる時は服を着ている動物になった方がいいですか? そうすれば飼猫のように……いえ、鳥が服を着ていたらおかしいですよね? どうしましょうか?」

「あ、動物の時はいいですよ? ハルさんの無理のない範囲でお願いします」

「分かりました!」


 麗華さんと康司さんは互いにお喋りに夢中だったので、私達の会話は聞こえていないはずです。

 本当に白熱していますからね。


 ですがいきなり、そんな2人の会話を引き裂く声が聞こえて来ました。


「康司! あなた瑞樹さんのとこの子はどうしたの!」


 それなりに距離があったにも関わらず、かなり響いたその声……

 声のした方を向くと、康司さんのお母様がいらっしゃいました。

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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