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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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208/332

カフェ

圭君視点です。

 デパートで買い物をしていたら、康司君に会ってしまった。

 康司君も如月さんと同じでこのデパートの事が好きみたいだし、よく買い物に来ているのは知っていたけど、まさか会うとはな……

 でも康司君はお母さんと弟さんが一緒で、康司君のお母さんも荷物持ちに連れてきたと言っていたから、康司君に買いたいものがあってきた訳じゃないみたいだ。


 そんな康司君に少し申し訳ないと思いながらも、一緒にきてもらう事にした。

 ちゃんと話し合っておいた方が良さそうだと思ったから。


「とりあえず、カフェに入ろう。すぐそこだから」

「お、おう……てか麗華、お前マジでコレどういう事なん?」

「コレってどれよ?」

「だ、だからさ、あの人と一緒に買い物って……しかも瑞樹もセットだし」

「まぁ、中で話せばいいでしょ?」

「マジかよ……」


 如月さんについて康司君も歩き始めたので、僕もついていく。

 僕の隣をあるいているハルさんは、康司君に冷ややかな視線を向けていてちょっと不機嫌みたいなので、両手で分散して持っていた荷物を片手に移して、空いた手でハルさんの手を握ってみた。


「えっ! け、圭君?」

「はい?」

「あの……やっぱり半分持ちます!」

「半分はいいですよ。でもそうですね、これだけお願いします」

「分かりました。ありがとうございます……」


 重心が寄ってしまっていた僕を心配してくれたハルさんに、荷物を1つ渡した。

 受け取ってくれたハルさんはかなり照れていて可愛らしい。

 今半分持つと言ってくれたのも、僕と手を繋いでいるのを離したくないからという事なんだろうし。


「あ、ここだよー。ハルさん、ここのイチゴパフェは凄く美味しいからって、何然り気無くいちゃついてるの!」

「これは、その……」

「まぁいいけどさー。今日は康司の奢りね」

「なんでだよ!」

「奢っていただく必要はありません」

「いっ、いえ……奢らせて下さい……」

「ん? 何故ですか?」

「すみませんっ! 本当に、すみません……」

「康司君、とりあえず入ろう?」

「あぁ……」


 カフェの入り口で話していてもお店の迷惑になってしまうので、店内に入っていく。

 案内された少し広めの4人掛けのテーブルに、ハルさんと僕、如月さんと康司君が隣合うように座る。

 対面になるのはハルさんと如月さんで、僕と康司君だ。

 ただ、康司君は如月さんとの間にかなり大きく隙間をとっているので、僕の対面というよりは僕が自分の横に置いた荷物の対面といった感じだ。

 よっぽどハルさんと近くにはなりたくないんだろう。


「ご注文は何になさいますか?」

「イチゴパフェ2つと、私はレモネード。ハルさんは何飲む? オススメはレモネード」

「では私もそれをお願いします」

「僕はホットコーヒーでお願いします」

「お、俺もホットコーヒーで……」

「かしこまりました」


 オーダーを済ませて店員さんが離れていってすぐ、


「それで、何から話するー?」


と、如月さんが話題を振ってくれた。


「私としては、先程の不可抗力とはいったい何だったのかをご説明いただきたいのですが?」

「あれは、その……だから……」

「なんなんですか?」

「れ、麗華がいたから……」

「は? 私?」

「その……麗華になんか、嫌がらせとかされてるんだと思って……その原因が俺だとしても、俺には止めようがなかったから、不可抗力だと……」

「あー、なるほー」


 席についているとはいえ、僕とハルさんは手を繋いだままだ。

 でもハルさんが苛立ってしまっているのは雰囲気でわかる。

 なんか凄いオーラ的なものを感じるから。


 前に珠鈴から、ハルさんが康司君達を追い払ってくれた時の話は聞いていた。

 威厳があってかっこよかったと珠鈴は言っていたけど、こういう事だったんだろう。

 ハルさん自身はあまり気付いていないみたいだけど、さっきからずっと康司君に対してだけ圧があるし。


「ハルさん。康司君のさっきの発言は勘違いだったみたいですし、もういいんじゃないですか?」

「えっと……まぁ、圭君がそう言うのなら……」

「はい」

「やっぱ凄いわ」

「あぁ」


 それでも、僕が話しかければいつもの優しいハルさんに戻ってくれる。

 それを如月さんも康司君も凄いと褒めてくれている。


「さっきも言ってましたよね? 圭君は確かにとても凄い人ですが、何に対して凄いと言っているんですか?」

「ハルさんへの愛情度?」

「ふぇ?」

「ん? 逆かな? ハルさんの瑞樹君への愛情度かも?」

「何故急にそんな話に……?」

「ハルさんは多分気付いてないと思うけど、さっきから康司を見る目がめっちゃ恐いの。でも瑞樹君が話しかけると治るから」

「そ、それは……失礼しました……」


 ハルさんが僕の為に怒ってくれている事は分かってる。

 でも僕はあの頃の自分が悪かった事も分かってるし、そこまで康司君を悪くは思わない。

 昨日如月さんにも話したけど、僕が向こうに行くきっかけにもなった人だし、ある意味ハルさんと僕に出会いのきっかけをくれた人でもあるから。


 ハルさんも自分が苛立っていたことには気付いてくれたみたいだし、このまま穏便に話し合って、康司君ともちゃんと分かりあえるといいけどな。

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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