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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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応答

圭君視点です。

 ハルさんが出張へと行ってしまってから、3日が経った。

 家の事を手伝っているからか、以前の1人で勉強ばかりをしていた時よりは気が楽だ。

 それでも、早くハルさんに会いたいという気持ちが日に日に強くなっていっている……


「圭君。ここはいいから、休んでおいで」

「いえ……」

「最近頑張りすぎなんじゃないか? 何かあったか?」

「そういう訳では……」

「なら、今日は早く帰ってゆっくり休みな」

「……ありがとうございます」


 体を動かしている方が気も紛れるからとずっと動いていたけど、そのせいで無理をしていると心配されてしまった。

 別に無理はしてなかったんだけど、変に彼女に会えないから寂しいとかも言えないからな。

 一時的に都会に帰ったとかは嘘になるし……

 ここはお言葉に甘えて帰らせてもらおう。


 ハルさんは今、何をしているんだろうか?

 こっちでの1週間だというだけで、ハルさんにとってはもっと長い時間のはずだ。

 どれだけの期間なのかと聞いた時、今回の出張は会社の世界以外の世界にも行かないといけないから、正確な期間が分からないと言っていたし……

 ハルさんが無理をしていないといいけど。


 向こうだったら土地神様にお供えとか相談とか出来たけど……あっ! 泉の女神様!

 僕はお会いした事はないけど、もし泉の女神様がハルさんが神ちゃんと呼んでいたあの神様みたいにハルさんの会社の世界にも通じているような人なら、今のハルさんの現状を知っているかもしれない。


 急いでお供え物となるモモやリンゴを取りに行って、泉へと向かった。

 泉に到着してすぐにお供え物を泉の中へと落としてみたけど、女神様は出てきては下さらない……

 まぁそりゃ当然だよな、僕はお会いしたことがないんだから……


 珠鈴が一緒だった違ったかな?

 でも、珠鈴は一度女神様に会っているというだけだし、その会った時というのもハルさんがいたからだ。

 ハルさんがいないのなら、姿を現しては下さらないだろう。

 誰が見てるかも分からないんだから……


「あれ? お兄ちゃん?」

「あ、珠鈴……」


 帰ろうとしたところで珠鈴に会った。

 丁度珠鈴もお供えに来たみたいだ。


「お兄ちゃんも咲夜様にお供え物?」

「うん……もし少しでも話ができたら、ハルさんの事を聞いてみたかったんだけど、やっぱり無理だったよ」

「まぁ、ハル姉がいないなら出てこないって前も仰ってたからねー」

「そうなんだ……」

「でもね、返事だけならもらえるよ!」

「え?」


 珠鈴について歩き、もう一度泉に戻ってきた。


「咲夜様、珠鈴です! モモとサクランボを持ってきましたよー!」


 珠鈴が泉に果物を落としている……

 そして、


「ハル姉が元気かどうか分かりますか?」


と、質問した。

 でも特に何も起こらない。


「咲夜様にも分からないみたい」

「え、そうなのか?」

「うん。だって泉の水、揺れなかったから」

「そういうものなのか?」

「そうだよ! 咲夜様、さっきお兄ちゃんがお供えしたものはどうでした? 美味しかったですか?」


チャプ……


「あ……」

「ほらね?」


 なるほど……

 肯定の時は泉の水を揺らして下さるのか……


「咲夜様は、ハルさんが大丈夫だと思いますか?」


チャプチャプ……


「あはっ! すっごい揺れてる!」

「そうだな。ありがとうございます、咲夜様」


 ハルさんなら絶対に大丈夫だから心配するなってことなんだろう。

 お会いすることは出来なかったけど、励ましてもらった感じだ。

 

 まだハルさんに会えない日は続くけど、僕も自分に出来る事を頑張って、ハルさんの帰りを待っていよう。

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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