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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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警戒

ハルさん視点です。

 珠鈴ちゃんに猫に化けられる事を打ち明けると、珠鈴ちゃんはとても楽しそうに笑ってくれました。

 私が恐怖の対象にならなかった事は嬉しく思うのですが、受け入れるのが早すぎはしませんか?

 圭君もそうでしたが、ちょっと警戒心がなさすぎるのが心配ですね……


「で、ハル姉の仕事っていうのは、猫に化ける事なの?」

「えっと、本来の私の仕事はですね、この世界のバランスを保つ事なんですよ」

「わぁお、壮大!」

「でもそれは仕事というか、宿命のような事で、常にやっていないといけないんです」

「今もやってるの?」

「はい。世界の核に力を送るだけなので、特にどうという事もないのですが……」


 この世界は安定していますし、バランスを保つといってもそんなに力が必要な訳ではありませんからね。

 常に力は余ってしまっています。

 使いきらないといけない訳でもないですけど……


「大変だね……でも、今もやってるなら、昼も夜もって事? 夜は夜でまた別の仕事?」

「はい。力は送り続けるだけなので、他事をやりながらでも出来ます。そうなると私はとても暇なんですよ」

「暇?」

「なので、暇な時間の有効活用として、パトロールをしてたんです。鳥や猫に化けて、悪い人達を探して、警察に連絡をするという……」

「そんな危ない事してるのっ!? ダメだよ!」

「危なくはないですよ? 私は通報しかしませんし……」

「でも、動物だからって攻撃されないとは限らないでしょ!」


 確かに攻撃されましたね……

 あれは本当に迂闊でした……


「お兄ちゃんの住んでたあの町は、こっちと違って人口も多い分、犯罪者も多いんだから」

「だからこそですよ。パトロールのやりがいがあります! ふふっ」

「やりがいって……あ! もしかして、お兄ちゃんと最初に会った時に怪我してたって言ってたのは……」

「あ、そうです。パトロール中にちょっと……」

「ほら、やっぱり危ないんじゃん!」

「もうあんな無様な失敗はしませんよ」

「そういう問題じゃなくてね……」

「本当に大丈夫ですから!」


 私があの時怪我をしたのは、狭い通気孔が一本道だったせいと、猫を撃つわけがないと思い込んでいた事による油断ですからね。

 今はちゃんと警戒して行動していますし、撃たれる事なんてありません!


「……まぁ、この話はまたにしようか……」


 珠鈴ちゃんは少し呆れたようにため息をつきました。

 私が本当に大丈夫だという事は分かってくれていないみたいですね……


「あの、前は匿名で警察に通報していたのですが、今は警察に知り合いが出来まして、その人に通報出来るようになったんです!」

「警察に、知り合い?」

「はい!」


 私は珠鈴ちゃんに安心してもらおうと思って言ったのですが、珠鈴ちゃんは、


「ハル姉。警察だからって、絶対に信用できるなんて事はないんだよ? 危ない人だっている……本当に大丈夫な人なの?」


と、余計に心配してくれて、不安そうに私を見ています。

 私が警察だからと信じてしまっているかを気にして下さっているんですね。


「多分ですが、大丈夫な人ですよ。若干受け入れがたい事はあったのですが、圭君はかなり信用しているみたいですし……」

「あ、お兄ちゃんも知り合いなんだ」

「はい。前に私のせいで圭君を危険に巻き込んでしまって……その際に圭君を助けてくれた方なんです」

「お兄ちゃんを、危険に……?」

「はい……」


 それから私は、圭君と出会ってから起きた事を珠鈴ちゃんに話しました。

 お兄ちゃんを危険に巻き込むなんて! と、非難される覚悟もしていたのですが、珠鈴ちゃんは静かに話を聞いてくれて……


「そっか、なるほどね……」


と、頷きながら納得してくれました。


「あの、珠鈴ちゃん?」

「ん?」

「私、こんな迷惑な存在なんです。でも、その……やっぱり圭君とは離れたくなくて……」

「うん。離れなくていいよ? 寧ろ離れちゃダメだからね!」

「いいんですか?」

「もちろん!」


 こんな私でも、圭君の彼女として認めて下さるんですね!

 本当に嬉しいです!


「まだ気になる事はあるし、これからも色々聞いていく事になると思うけど、とりあえず1つ聞いてもいいかな?」

「はい! なんですか?」


 会社の方の規定で答えられないこともありますが、それ以外ならどんな事でも! と、意気込んでいると、


「猫に化けるのって、全身じゃないとダメなの?」


と、珠鈴ちゃんは目を大きく開いて、きらきらと輝かせながら聞いて来ました……

 これは一体、どういう意図の質問なのでしょうか?

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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