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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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将来の夢

珠鈴視点です。

 ハル姉は、お兄ちゃんや私達に隠し事をしたくないらしい。

 でも、何かの事情で隠さなければいけないんだろう。

 それを悩んでいる。

 となれば、私達は隠し事の方ではなく、事情の方を教えてもらうべきだ。

 そうする事でハル姉も隠し事をしている事に対しての罪悪感が減るだろうから。


「ハル姉! 色々悩んでてもしょうがないよ! とにかく今は買い物だー!」

「あ、はいっ!」


 急いでスーパーへ行き、カートを押してくれているハル姉の元に、買う予定だったものをどんどん持っていく。

 早く帰って、落ち着いてハル姉の話を聞かないといけないし……


「珠鈴ちゃん! 店内をそんなに走りまわっては……」

「大丈夫ー!」

「さっきみたいに、また人にぶつかってしまいますよ!」

「私、同じ失敗を繰り返さない主義だからー!」


 ハル姉はカートを押しているから、走ってついてきたりはしない。

 だから目標は、ハル姉が入り口から最初の角を曲がる位置に来るまでに全部をカゴに入れる事だ!

 まぁそもそもハル姉は店内を走ったりはしないだろうけど……


「っと、これで全部かな?」

「す、珠鈴ちゃんの買い物は、いつもこんな感じなんですか?」

「ううん。今日がスペシャルバージョンなだけ。早く帰って、ハル姉とちゃんと話をしたいなって思ったから」

「珠鈴ちゃん……ありがとうございます。でも、危ない事はもうダメですよ?」

「分かってるって」


 来慣れたスーパーだから、大体の品物の位置は知ってるし、この時間は人もあんまりいないから、走りまわってもそんなに危ない事はない……っていうと、そういう問題じゃないって言われるんだろうな。

 でもタイムセールとかの人混みの方が危ないと思う。

 見たことがあるだけで、参加した事はないけど。


「沢山買いましたね」

「まぁね。ちょっと私の衝動買いも入ってるから、予定より多くなっちゃったけどね。あ、私が持つよ!」

「いえいえ。これくらいは手伝わせて下さい」

「じゃあそっちの2袋はハル姉が持って。私はこれを持つから」

「これが一番重いじゃないですか。珠鈴ちゃんはこっちをお願いします」


 ハル姉が私に渡したのは、一番軽い袋だ。

 こういう事もさらっと出来てしまう人なんだな。

 でも、そういう訳にもいかない。


「私、鍛えたいの! だから重い方を頂戴!」

「鍛えたいって……」

「将来パティシエになりたいと思ってるから! パティシエは力仕事だもん! 今からしっかり鍛えておかないとね!」


 ハル姉は少し驚いた顔をした。

 パティシエが力仕事だって事に驚いたのかな?


「ケーキとか作ってて可愛いイメージのある仕事だけど、実際にはかなり色んな力を使う大変な仕事なんだよね。大変なのは分かってるけど、私は目指したいんだ。だから、鍛えさせて!」

「珠鈴ちゃんは本当にしっかりしてますね……」

「そうでもないけど?」


 しっかりしてる人は、店内を走りまわったりはしないと思うから。


「素敵な夢ですね! 応援してます」

「うん、ありがとう!」


 重い方の荷物を渡してくれながら、ハル姉は笑ってくれた。


「力仕事ですかー……確かにそうですね。お菓子を1つ作るだけでも結構大変ですが、それを量産するお仕事なんですもんね」

「そうだね。ってかハル姉? お菓子とか作るの?」

「はい。圭君に教えてもらいましたからね。圭君のお家にお邪魔した時とかも、結構作ってたんですよ」

「そうだったんだね! じゃあ今度一緒に作ろうよ! あ、お兄ちゃんの誕生日も近いしね!」

「はい、是非!」


 凄く嬉しそうに笑ってる。

 さっきまでずっと思い詰めたように悩んでたから、ちょっとは気も紛れたみたいで安心した。

 やっぱりこういう悩んでる人には突飛な行動が一番だと、改めて思った。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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