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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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疑い

ハルさん視点です。

 珠鈴ちゃんとお買い物に行く為に歩いていると、圭君の同級生だったという人達に会いました。

 私の知らない圭君の話をして下さるのかと思えば、圭君や珠鈴ちゃんの事をバカにしたように笑って……

 思わず怒ったら、走って逃げて行ってしまいました。


 以前圭君が言っていた、無表情だとか、無感情だとかを言われていたというのは、彼等になんでしょうね。

 圭君はまるで自分が悪かったかのように話していましたが、あのように人をバカにしている人達なのであれば、悪意を持って言っていた事は間違いありません。

 非常に残念ですね……


「ハル姉って、強いんだね!」

「強いという事はありませんが……」

「ううん! 本当にカッコ良かったよ! 私達の事を庇ってくれてありがとう!」

「いえいえ……私はただ、自分が思った事を言ったまでですから」


 珠鈴ちゃんは私に笑顔を向けてくれています。

 疑いの目でもない、曇りのない笑顔を……

 今私が圭君を庇った事を喜んでくれているんだとは思いますが、今の私の事、怖くはなかったのでしょうか?

 若干仕事で部下の皆さんに命令したりしている時のように喋ってしまったのですが……?


「それと、ハル姉……その……」


 珠鈴ちゃんは少し俯いて、いい淀んでいます……

 やっぱりさっきのは怖かったと言われるのかと思ったのですが、


「ごめんなさいっ!」


と、急に謝られてしまいました。


「えっと……珠鈴ちゃん?」

「あの、あのねハル姉! 私、ハル姉の事をずっと疑ってたんだ! もしかしたらお兄ちゃんを騙してる人なんじゃないかって……」

「……え?」


 珠鈴ちゃんに疑われているのは分かっていました。

 というよりは、疑われて当然だと思っていました。

 それなのに純蓮さんも健介さんも私を疑わないので、寧ろそっちを疑問に思っていたくらいなんですが……?

 でも、こんな怪しい存在が来たら、変な人だと疑うのは当然ですが、圭君を騙していると思われていたとは……


「最初は結婚詐欺師なのかなって思ったし、お金目的の玉の輿狙いとかなのかとも思ってた」

「そうなんですね……」

「あっ! でも、もう思ってないからね! ハル姉が優しくて、本気でお兄ちゃんの事が好きなんだって分かってるから! あんな風にあの人達のことも追い返してくれたし……」


 今の騒動でその疑いを晴らしてくれたという事なのでしょうが、やっぱりそう思われていたという事実は少し辛いです……

 単に怪しい人とかだったら納得出来るのですが、まさかの結婚詐欺師とは……


「あの……私って、そんなにお金を欲してそうに見えますか?」


 さっきの彼等も、私が圭君とお付き合いさせてもらっている理由を、圭君の家がお金持ちだからと決めつけて話してきていましたし、余程私がお金目的に見えるという事ですよね……

 宝飾品は特に身につけていませんし、服もブランド物という訳ではないのですが、どうしてそんな……?


「んー? お金を欲してそうには見えないけど、ハル姉はちょっと美人過ぎるんだよ」

「……はい?」

「この人がお兄ちゃんを選ぶ訳がないって感じ?」

「えーっと……」

「だから何か理由があるはずだって考えて、一番に思いつくのがお金なんだ。特に家、そこそこにお金持ちだし、今までにも明らかにお金目的みたいな人から縁談とかあったからね。私にもね」

「そ、そうなんですね……」


 どういう返事をするべきなのでしょうか?

 美人だと言っていただけた事は嬉しいのですが、それが理由で圭君を選らばないと思われるというのは、ちょっとよく分かりません……

 それに、珠鈴ちゃんはまだ15歳のはずです。

 その珠鈴ちゃんに縁談だなんて……

 瑞樹家の人達は、相当苦労されているんですね……


 でもそれならば尚更に、どうして純蓮さんも健介さんも私を疑っていないのでしょうか?

 今までにもお金目的で近づいてきた人達がいたというのなら、それを退けて来たのもお2人のはずです。

 怪しすぎる私をこんなに歓迎して下さるなんて……


「ハル姉、本当にごめんね? もう疑ってなんていないからね! それに疑っていたのは私だけで、お父さんもお母さんも全く疑ってなんていなかったから!」

「……はい、ありがとうございます。でも私……そんなに信用していただけるような存在じゃないですよ?」

「……ハル姉?」

「私、皆さんに話していない事があるんです……本当は話さないつもりでした。出来る限り、隠しておきたかったので……」

「うん?」

「でも、隠し事なんてしている自分を信用してもらっているなんて、いけないと思います! ですので、聞いていただけませんか? お忙しいのは重々承知なのですが、皆さんにちゃんと私の事を知っていただきたいです!」


 協力者になってもらうとかというよりは、信用していただけているというのに、私自身に隠し事が多すぎるというのが嫌です!

 こんな私を信用して下さった皆さんには、ちゃんと私の事を知っていただきたいと思います。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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