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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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素敵な人

珠鈴視点です。

 ハル姉と買い物へ行こうと歩いていると、お兄ちゃんの同級生達と遭遇してしまった。

 しかもお兄ちゃんを悪く言って、私達をバカにしてくる人達だ……

 こんなのを聞かされて、ハル姉はどう思ったんだろう?


「にしてもお姉さん本当に美人さんですよね! なのに何で瑞樹なんかと?」

「あー、あいつん家、金持ちですもんね!」

「そうだ! お姉さん、瑞樹の家程じゃないですけど、俺のとこもそこそこなんですよ。どうですか? 俺にしときませんか? 瑞樹んとこならこき使われますけど、俺のとこなら遊んでいられますよー!」

「名案じゃん! 瑞樹は一緒にいたって楽しくもないし、俺等と遊びましょー」


 ハル姉の肩に手をかけて、連れて行こうとしてる……

 私がどうしたらいいんだろうかと悩んでいると、


「いえ、私は遊びに来たのではなく、珠鈴ちゃんと買い物にきただけですから」


と、ハル姉は肩に乗った手をはらった。

 少し怒っているみたいに見えるけど……?


「買い物って、どうせ夕飯の食材とか、そんなんでしょ?」

「スーパーに行くんですよね?」

「そんなんより、俺等とあっちのデパートでショッピングしましょうよ! 車、出しますから」

「遠慮します」


 ハル姉は冷ややかな目で3人を見つめてる……

 私達に向けてくれていた顔と違いすぎて、少し怖くもあるけど、凛々しくて格好いい……


「そんな無理して珠鈴お嬢さんに気に入られようとなんてしなくていいんですよ?」

「大体、瑞樹は家族の事も捨てて逃げたような奴ですし、妹の事も全く大切にしない奴なんですよ」

「なっ! そんなことないっ!」

「珠鈴お嬢さんと仲良くしたからって、瑞樹は何も思わないですよ。妹と仲良くしてくれてありがとうとか、絶対に言わないです。いつも自分の事しか考えてない、最低な奴ですから」

「そうそう。暗くて、無愛想で……あ、中学の時の瑞樹なんて……」

「いい加減にして下さい。私はあなた方と遊ぶ気もありませんし、あなた方の話を聞いていたいとも思いません」


 まだお兄ちゃんの同級生達が喋っていたのに、その声を遮るようにハル姉が発言した。

 口調はかなり冷たく、怒っているのだとすぐに分かる程だ。


「え? お姉さん、怒ってる?」

「大切な人を悪く言われて、不快に思わない人がいますか?」

「大切な人って、瑞樹かよ」

「は? マジで? え、マジで瑞樹の事が好きなんすか?」

「もちろんです!」


 即答……

 しかも男3人に臆する事もなく、堂々と前に立っている。

 本当に格好良くて、威厳のようなものまで感じる……


「先程から聞いていれば、圭君が都会に逃げただの、家族を大切にしないだのと……よくもまぁそんな事が言えますね!」

「はい?」

「圭君はとても家族思いの優しい方です! あなた達は圭君の何を見ていたんですか!」

「いや、その……」


 怒ってる上に威厳まであるからかなり怖い……

 同級生達の方が狼狽えている……


「それに、都会に来るのがどうして逃げだなんて言われないといけないんですか? 違う環境に触れてみるというのは、とても勇気ある素晴らしい行動だと私は思います! 何より、圭君が向こうに来てくれたお蔭で、私は圭君と出会う事が出来たんですから!」

「あ、はい……」

「これ以上圭君を侮辱する事は許しません! 即刻私の前から立ち去りなさい!」

「し、失礼しますー!」

「お邪魔しましたー」

「あー、まっ、待ってくれよー!」


 余程怖かったのか、3人は怯えるように走って逃げていった……


「す、すごい……」

「あっ! ご、ごめんなさい……驚かせてしまいましたね……ちょっと、仕事のクセで……」


 我に返ったというのか、ハル姉は急にほんわかした雰囲気に戻った……

 仕事のクセって、どんな仕事をしてたらあんな風格が出せるんだろう?

 まぁ、仕事の事は教えてくれないんだろうけど……


「ハル姉って、強いんだね!」

「強いという事はありませんが……」

「ううん! 本当にカッコ良かったよ! 私達の事を庇ってくれてありがとう!」

「いえいえ……私はただ、自分が思った事を言ったまでですから」


 気になる事は増えてしまったけど、確信した。

 ハル姉は悪い人なんかじゃない!

 こんなにもお兄ちゃんを大切に思ってくれていて、お兄ちゃんの為にちゃんと怒れる人なんだ。

 そんな事、そうそう出来ないと思う。


 ハル姉がお兄ちゃんと出会ってくれて良かった。

 こんな素敵な人がお兄ちゃんを選んでくれて、本当に良かった!


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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