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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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早起き

ハルさん視点です。

 朝、目が覚めて時計を確認すると、5時30分でした。

 昨日早く寝させてもらったからか、いつもと生活リズムが違うからなのか、早起きをしてしまいましたね。

 とてもゆったりとした、落ち着いた朝です。


 それに圭君のご実家で目を覚ますなんて事、なかなかないですからね!

 見慣れない天井も、いつもとは違う布団も、見ているだけで胸が落ち着かないような、くすぐったくなるような感じがします。


 いつもと同様に自分を浄化して、持ってきた服に着替えたのですが、よくよく考えたら朝の身支度をしに来ないというのは不自然に思われてしまいますよね?

 私はまだ、この家の洗面所の場所すら知らないのですから。


 浄化をしたので必要ないとはいえ、顔を洗うために洗面所を探します。

 圭君のお家はとても大きいですからね。

 どこが洗面所なのか、全く分かりません……

 適当に部屋を開ける訳にもいきませんし……


 ここは、昨日案内してもらった圭君の部屋へ行くのがいいかもしれませんね。

 圭君なら事情も察して下さると思いますし、圭君に洗面所まで案内してもらいましょう!


 ……と、圭君の部屋まで来たのですが、ノックをしても返事がなく、失礼かとは思いながらも部屋の戸を勝手に開けさせてもらうと、圭君はいませんでした。

 まだ6時前なのに、もう起きて活動をしているみたいです……

 という事は、健介さんも純蓮さんも、もう働かれているという事でしょうか?

 農家の朝は早いとは聞いた事がありますが、ここまで早いとは……

 本当に大忙しですね!

 圭君が電話を躊躇っていたのも納得です。


「んぁ~、ハル姉~?」

「あ、珠鈴ちゃん! おはようございます!」

「おはよう~、早いね。こんなお兄ちゃんの部屋の前でどうしたの?」

「すみません、顔を洗おうと思ったのですが、洗面所の場所が……」

「あぁ、こっちだよ」

「ありがとうございます」


 少し眠そうな珠鈴が丁度部屋から出てきて、案内してくれました。

 圭君と珠鈴ちゃんの部屋は、お向かいだったみたいです。

 寝ていた所を私が起こしてしまったようで、申し訳ないですね……


「昨日案内しておくべきだったね、ごめんね」

「いえいえ、こちらこそ起こしてしまったようで申し訳ないです」

「大丈夫だよ。いつも6時に起きてるから、この時間ならいつもとそんなに変わらないの」

「そうなんですね。やっぱり農家さんは早起きなんですね!」

「まぁそうだね、お父さん達はもっと早いよ。ハル姉はいつも、何時起きだったの?」

「あ、えっと……」


 私、日の入りから日の出までは大体パトロールをしてましたからね。

 寝るのが朝で、昼前位に起きる生活をしていました。

 なので、何時起きだったのかと問われましても……


「これはまたまた事情って奴かな? まぁいいよ、答えにくいなら答えなくて。はい、ここだよ」

「……ありがとうございます」


 珠鈴ちゃんは洗面所に案内をしてくれましたが、少し冷たい感じがします……

 やっぱりこんな怪しい私を受け入れるのが難しいのでしょう。


 とりあえずと顔を洗わせてもらったのですが、とても目が冴えたような感覚になりました!

 いつも浄化で済ませていたので知りませんでしたが、こんなにもスッキリするものなんですね!


 鏡で顔を確認すると、髪に寝癖がついていました……

 いつもなら復元の力ですませる所なのですが、今は珠鈴ちゃんもいますし……


「ハル姉? どうかした?」

「あ、いえ……こんな恥ずかしい頭で歩いていたんだと思いまして……」

「恥ずかしい? そう? 可愛いよ」

「あ、ありがとうございます……」


 珠鈴ちゃんは、思った事はストレートに言うタイプみたいですね。

 嬉しいですけど、恥ずかしいです……


「はい、寝癖直し。使って」

「ありがとうございます」


 私の事を疑っているはずなのに、珠鈴ちゃんは本当に優しいです。

 だからこそ、余計に申し訳なく思えてしまいますね……

 いっそのこと、全部話してみましょうか?

 そして皆さんに私の協力者になってもらって……


「ハル姉?」

「はい?」

「ぼーっとして、どうしたの? 眠いの?」

「いえいえ、大丈夫ですよ」


 まさか自分がこうも簡単に協力者を増やそうとするとは、驚きですね。

 協力者は二度と作らないと決めていたのに……

 でも、圭君が私と共にいることを望んでくれた以上、私も圭君と離れるつもりはありません。

 そのためには、皆さんにも私を受け入れてもらわなければいけません!

 こんな、珠鈴ちゃんに疑われているような私では、ダメなんですから!


 でも、やっぱり不安は不安ですね……

 もし皆さんに拒絶されたら、私はどうしたらいいのでしょうか?

 いくら圭君が私と共にいたいと言ってくれたとしても、圭君と皆さんを離れさせる事なんて、私には出来ません。

 となると、圭君を含む皆さんから記憶を消してもらい、立ち去らなければいけないという事になるのでしょうか?


 あの時のように……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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