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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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優しい仲間

ハルさん視点です。

 久しぶりに我が家へと帰ってきました。

 我が家を久しぶりと思うこの感覚に、自分がどれだけ仕事をサボっていたのかを実感しますね。

 ですが本当のサボりではなく、どちらかといえば療養休暇ですからね。


 とりあえず長らく連絡ができていなかったので、向こうへ行って報告等々を済ませなければいけません。

 夏休みの宿題を溜めちゃって、最終日に一気に頑張る的な気分です。

 はぁ~、忙しくなりますね……


 それにお世話になった圭君へのお礼とか、圭君の家の周りを張り込み中の刑事さんの事とかも、解決させなくてはいけません。

 まずは刑事さん達に、圭君は私と無関係なのだと分かってもらわないといけませんし……

 またしても問題山積みです。


「……ん?」


 何か、背後に変な流れを感じました。

 空間が歪んでいくような……この感じになる原因は、一つしかありませんね。


「ミオ、久しぶりです」

「ハル姉さん、心配しましたよ。ずっとなんの連絡も無いとの事だったので、何かあったのかと思って来ちゃいました」


 やっぱりミオでした。

 まぁ、こんな精度の高い空間移動を使っているのはミオくらいですので、誰でもすぐに分かりますが。


 月明かりに照らされた美しい瑠璃色の髪の少女、なんとも絵になりますね! 

 ……っと、感心している場合ではありませんでした。

 不必要に心配をかけてしまっていたんですから。


「ごめんなさい。ちょっと怪我をしてしまいまして、なかなか帰って来られなかったので、連絡もできなかったんですよ」

「も~、だから前から連絡手段を持ち歩くように言ってるじゃないですか。呼んでもらえばすぐ治しに行ったのに……」


 そう言って、ミオはすぐに私の全身に"治癒の力"を使ってくれました。

 まだ多少痛かった足の怪我もこれで完治です。


「この怪我……随分と深手だったみたいですね?」

「そんな事はないですよ?」

「歩くのに支障がある怪我は重傷と言うんですよ。帰って来られなかった間、ずっとどこに居たんですか? 動けなくてその辺で倒れてた、とかじゃないですよね?」


 凄い心配してくれています。

 本当に申し訳ないですね。

 私より忙しいはずなのに、こうして駆けつけてくれていますし……

 今日帰って来ていなかったら、多分もっと大騒ぎになっていましたね。

 やっぱり帰って来て正解でした。


「心配かけて、本当にごめんなさい。でも心優しい人に助けてもらって、少しの間住まわせてもらっていたので」

「え、一般人に助けられたんですか? 諸々、大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ。そこまでミオに迷惑はかけられませんから。自分で蒔いた種ですし、自分で解決します」


 私よりミオの方が、こういう時の後処理は手慣れているとは思いますが、そこまでミオに頼る訳にはいきません。

 私はミオのように力のコントロールが上手い訳では無いので、結構な力は消費してしまいますが、それでも記憶消去とかは一応できますからね。

 圭君の記憶も、ちゃんと上手く……私と関わった事の記憶を消去して……記憶の辻褄が合うように……しないと……?

 ん~、ちょっとまた胸の辺りに違和感が……


「ハル姉さん? どうされました? 大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫です……ただ、最近ちょっと胸の辺りに違和感を感じる時があって……でも別に病気とかでは無いので、というか病気ならさっきのミオの治癒で治っているはずですからね」


 ミオは私達の中でも断トツで力の使い方が上手ですし、そのミオの治癒の力なので、それで治らない怪我や病気なんてありません。

 ですので最近のこの胸の違和感は、病気とかではないはずなのですが……

 なんなんですかね?


「ん~と、ハル姉さん。ちなみになんですが、その助けてくれた一般人は、素敵な男性でした?」

「はい? そうですね、とても親切な青年でしたよ? それがどうかしましたか?」

「いえ、少し気になって……」


 ミオは何か悩んでいるみたいです。

 私の胸の違和感の話をしていてこんな事を聞いてくるのですから、圭君にこの違和感との関わりがあると考えているのでしょうか?

 確かに私達の力を狙う存在ならば、親切なフリをして何かを仕掛けてくる事もありますが、圭君は絶対にそういう存在ではありませんからね。

 

「ミオ。心配してもらえるのはありがたいのですが、本当に大丈夫です。あの青年は敵ではありませんよ」

「それは……まぁ、ハル姉さんがそう仰られるのでしたら、気にしないでおきます。ただ、もしその違和感が今以上に大きくなるようでしたら、いつでもご相談下さいね?」

「ありがとうございます」


 こうして心配してくれる優しい仲間がいてくれる事に、本当に感謝です。

 そして、もうこんな心配をかけないようにしなければいけません。


「とにかくハル姉さんが無事でよかったです。でももう無理をしないように!」

「はい。あ、それとミオ。今度でいいので、私に治癒の力の使い方を教えてくれませんか?」

「それは構いませんが……ハル姉さん、前に私が薦めた時、自然治癒があるからいいって言ってませんでした? 今後またそんな大怪我をする予定がおありで?」

「大怪我をする予定は無いのですが、出来る限り迷惑はかけたくないですからね」


 私が自分で治癒さえできていれば、圭君に迷惑かける事も、こうしてミオや皆に心配をかける事もなかったので……

 もちろん今後は気をつけるつもりではいますが、絶対に怪我をしないとも言えないですし、やっぱり覚えておいた方がいいですからね。


「分かりました、ではまた声をおかけしますね。とりあえずは一緒に報告に行きましょう! 私も色々と放置してきちゃってるので、そろそろ戻らないと……」

「それはそれは、すぐに行きます!」

「では繋げますね」


 ミオはまた、空間を歪めて移動出来るようにしてくれました。

 これで私もすぐに向こうにいけます。

 正直、あんまり行きたくはないのですが……怒られる事は間違いありませんからね。


 でもこれ以上皆に心配をかける訳にもいきませんし、怒られるのも私の為を思って怒ってくれるわけですからね!

 しっかりと真摯に受け止めなくては!

 

 超絶長い説教をされる事は覚悟の上で、報告に行こうと思います!

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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