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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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まわりの人達

圭君視点です。

「今日も絶品じゃな~」

「よかったです」


 土地神様はとても嬉しそうに、僕が持ってきた焼きとうもろこしとコーンスープを食べてくれている。


「今日はこれからやる事が多くての。仕事前にこうして休めたのも圭君のお蔭じゃな。ありがとう」

「いえいえ。やっぱり大晦日やお正月は忙しいんですね」

「そうじゃな。たくさんの信仰が集まる、とてもありがたい日だからの。儂等に出来る事は、参拝に来てくれる人の子達に祝福を贈ってやる事くらいじゃが、来てもらえるというのは、本当に嬉しい事じゃ」


 僕達が参拝するのを神様達も喜んでくれているんだ。

 ありがたいな。

 こういう事をちゃんと知れたのも、全部ハルさんのお蔭だ。

 ハルさんが、神様達と関わりのある存在だから……


「あの、土地神様はハルさんの会社の世界の事とかは、ご存知なんですか?」

「ん~、何と言うべきか……」

「あ、ごめんなさいっ! 言えない事とかだったらいいんです」

「儂はハルちゃんのいう会社の世界という場所へは行った事がない」

「そうなんですね……」

「儂はな……」


 自分はという事をあえて強調するという事は、土地神様ではない方なら、ハルさんの会社の世界へ行った事があるという事だろう。

 可能性が高いのは……


「あの、紅葉狩りの時の神様は行った事があるんですね」

「そうじゃ。彼奴は、分かりやすく言えばこの世界の神代表じゃからな。それでも、余程重要な場合にしか呼ばれはせんが」

「やっぱり、相当凄い場所なんですね……」


 呼ばれないと行けないって事は、神様達でさえそうそう行けないような凄い場所だという事だ。

 ハルさんはそんな所で働いている……

 会えない辛さがあるからなのか、どうしてもハルさんを遠い存在のように感じてしまう。

 早く、本当に早く帰ってきてほしい……


「ハルちゃんが心配か?」

「はい……」

「気休め程度にしかならんだろうが、今回の件で彼奴は彼方側に呼ばれておらん」

「え?」

「言ったじゃろ? 重要な場合には呼ばれると。例えばこの世界の担当の者が何か罰せられる事となり、担当が変わるなんて事が起きた場合には、彼奴も呼ばれるという事じゃ」

「あの神様が呼ばれていない以上、そんなに大事になるような事じゃないんですね?」

「そうじゃ」


 ハルさんが絶対に大丈夫だと言ってくれていたから、大丈夫なんだって事はもちろん信じてる。

 でも、こうして違う理由でも大丈夫なんだと分かるのは、本当にありがたい……

 絶対に大丈夫なんだって、安心出来る。


「ありがとうございます、土地神様」

「うむ。不安になるのも分かるが、もう少しの間だけじゃ。圭君は圭君の事を頑張ればよい」

「はい。ハルさんが帰ってきた時に、ちゃんと誇れる自分でありたいですからね」

「その意気じゃ!」


 この後から忙しいと仰っていたし、あまり長居してしまうのも申し訳ないので、土地神様に挨拶をして、家へと向かった。

 家までの道を歩いていると、


「あっれ~? 瑞樹さんじゃないっすか?」


と、声をかけられた。


「あ、稲村さん。今年は本当にお世話になりました」

「あぁ、こちらこそ。今日は彼女さん、一緒じゃないんですね?」

「ちょっと、彼女に用事があって……」

「それは寂しいっすね。大丈夫ですか?」

「大丈夫ではないですけど、大丈夫です……」


 ハルさんがいない事を報告する度、皆に心配される……

 僕のまわりの人達に、僕がどれだけハルさんを大切に思っているのかが伝わっているこそだからだと思うので、それはそれでなんか少し照れくさいな……


「いいなー、彼女。美人の彼女」

「稲村さんは優しくて頼りになる方ですし、きっと素敵な彼女が出来ますよ」


 僕がそういうと、稲村さんにガシッ! っと肩を掴まれて、


「それっ! 絶対に瑞樹さんの知り合いの女性達に伝えて置いて下さい!」


と、強く言われた……


「えっ、あの……?」

「絶対ですよ! 約束ですからね!」

「いや、あの、ごめんなさい……僕、友達とかいないんで、知り合いの女性がいないです……」

「何言ってるんですか? 友達なら俺がいますよ?」

「あ、ありがとうございます……やっぱり稲村さんは優しいですね」


 僕が少し照れてそう言うと、


「そうなすよね。俺、優しいんですよ」


と、稲村さんは少しふざけた様子で返してくれた。


「なので、是非広めて下さい。主に彼女さんのご友人辺りに……」

「あー、はい。一応……」


 ハルさんの友人……

 多分、この世界の人じゃない人しかいないんだけどな……


「じゃあ、お願いしますね。あと、来年からはきっと、俺の弟も瑞樹さんの友人に加わると思うんで、そこんとこもよろしくお願いしまーす」

「ありがとうございます」


 確か前に、弟さんも僕と同じ大学を受けようとしてるって話をしていた。

 だから、そう言ってくれたんだ。

 稲村さんの中では、弟さんも僕も、もう受験に受かっているんだな。

 ああいう声援の仕方も稲村さんらしくて、本当にありがたいと思う。


 その期待に応えられるように、僕ももっと頑張ろう!


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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