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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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134/332

都合

圭君視点です。

 ハルさんが来ない日々が5日過ぎた……

 今日は12月31日、大晦日だ。


 ハルさんがいない上にバイトも辞めてしまっているので、僕は勉強と料理くらいしかやることがない。

 時間が経つのが遅く感じる……

 やっと5日経ったとはいえ、ハルさんに会えるまであと何日なんだろうか?

 考えていてもハルさんに会える訳ではないし、今日は大晦日だからな。

 土地神様に挨拶にいって、蕎麦を作ってゆっくり過ごそう。


 土地神様に会いに行くとなれば、焼きとうもろこしを作った方がいい。

 それと、コーンスープも作っておこう。

 焼きとうもろこしは土地神様にお会い出来なくてもお供え出来るけど、コーンスープは直接じゃないと渡せない。

 もし渡せなかったら、自分が飲めばいいか。


 夜になれば参拝の人も増えるだろうけど、早く行けば大丈夫だろう。

 焼きとうもろこしとコーンスープをもって、神社の方へと向かう。

 神社への山道を歩いていたところで、


♪♪♪♪♪


と、僕の携帯がなった。

 こんな時間に誰だろうと思うと、熊谷さんからだった。


「はい。瑞樹です」

「おう圭。悪いな、今大丈夫か?」

「大丈夫ですよ。どうかされました?」

「ちょっとハルに聞きたい事があるんだよ。だから、ハルが来たら、そっちから連絡してくれ」

「えっ……あの、すみません。ハルさんはちょっと、用事で今はいないんです。なので、当分の間連絡は出来ませんよ?」


 ハルさんに用事だったみたいだ。

 でもハルさんは来ないし……


「当分の間って、どれくらいだ?」

「1ヶ月会えないって言われてから、まだ5日しか経ってないので……」

「そうか、そりゃあ困ったな……」


 熊谷さんがハルさんに直接連絡が出来れば良かったんだろうけど、ハルさんのあの連絡用の携帯は、僕達からの連絡を普通に受けれるものではないようだし、難しいか。

 まぁもしそんな簡単に連絡出来るのなら、僕だってとっくの昔に連絡してただろうけど……


「何を聞きたかったんですか?」

「あぁ、石黒の事でちょっとな。あいつが、動物を利用する女をずっと調べていたっていう話が、警察の書類上に残ってもいいのかどうかを確認しておきたかったんだ。ほら、一応事実とは異なるだろ?」

「……そうですね」


 ハルさんは、ハルさん達に都合がいいように、石黒さん達の記憶を消したはずだ。

 それでも石黒さんがハルさんを探していた事を消していないんだから、きっと残っていい事なんだろう。

 だけど、石黒さん達の邪魔をしてくる謎の女性を石黒さんが探していたのは事実でも、その女性が動物を利用していたというのは事実じゃない。

 だから、それは残らない方がいいように思える。

 かといって探していた女性の特徴を書類に残さないというのは、ずっと調べていた女性の情報を、石黒さんたちが何も得ていなかったという矛盾にも繋がってしまうからな……


 これは、僕が勝手に判断出来る問題でもないし、どうしたらいいかをハルさんに聞くのが一番だろう。

 でもハルさんはいないし……

 ハルさんが帰って来てからでは、書類を作るのが遅すぎる。

 それもそれでおかしいだろうな……


「どうしたらハルに都合がいいか、圭も分かんねぇよな?」

「そうですね、すみま……ん?」

「どうした?」

「あ、その……」


 熊谷さんと電話をしながら山道を登っていたら、急に光りだした葉っぱがあった。

 これは、前に御神木のところに案内してもらえた時と同じだ。

 この先にきっと、御神木があるんだろう。


「圭、大丈夫か?」

「あの、もしかしたら、どうしたらいいのか分かるかもしれませんので、もう少し待っていてもらってもいいですか?」

「あ? あぁ、どれくらいだ?」

「30分以内にはかけ直します」

「おー、りょーかい」


 熊谷さんとの電話を一度切り、光る葉っぱを追って山の木々の間を抜けていく。

 そうして僕は、御神木の前に辿り着いた。

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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