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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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違反行動

圭君視点です。

 ハルさんは、この間の石黒さんの件について、会社の世界の方で裁判的なものをされる事になってしまったらしい。

 ミオさんが弁護を担当してくれるみたいで、絶対に大丈夫だと言っているので、それは大丈夫なんだろうかど、そもそも何が会社の世界の違反なんだろう?


「あの、僕に言える範囲で構いませんので、ハルさんの行動の何が問題になったのかを教えてもらえませんか?」

「えっと……まず、根本的な規則として、私達は私情で力を使う事が禁止されているんですよ」

「……え?」


 あれ? ハルさんって、掃除や洗濯に浄化を使ったり、鞄代わりにちょっとした空間を使ったりしてたんじゃないか?

 僕の荷物の重力の調整をしてくれた事もあったし、僕の記憶の時だって、消したのも戻してくれたのも私情なんじゃ……


「ハルさんって、結構私情で力を使っていませんでしたか? 浄化とか、重力とか……」

「そうですね。でもそれは、違反として問題になる事ではありません。私と圭君の間でしか使っていませんからね」

「そうなんですね?」


 ハルさんと僕の間だけだったら、問題にならないのか?

 そういえば前に、ハルさんの事を僕が誰にも話さなければいいって言ってたし、それと同じなのかもしれないな。


「違反とみなされるのはですね、私達が私情で、勢力争い等のどちらか片方だけの味方になった場合です」

「勢力争いですか?」

「はい。例えばAさんとBさんが争っていたとして、私がAさんの味方をしたとします。するとAさんは()()勝ってしまうんですよ」

「必ず……」

「私達が味方になった時点で、勝敗は決してしまいます。私達の力というのは、とても強力なものですからね」


 確かに片方の勢力にだけ、重力が操れたり、怪我が治せたりする人がいたら、確実にその勢力が勝ってしまうだろう。


「本当ならAさんとBさんが話し合ったり、戦ったりしながら解決するはずだった問題を、私達が味方をしたというただそれだけの事で、無理矢理解決させてしまう事になるんです」

「なるほど……それは確かに、あまりよくありませんね」

「特に、その世界にとって当たり前に誰もが使える訳ではない力を使ったりしたら、それは世界にとっても悪影響になります」

「歪みとかが発生するんですか?」

「そうです。だからこそ、私達は特定の個人や勢力に、私情で力を使う事が禁止されているんです。違反とみなされれば、罰せられます」


 それは分かる。

 力を持つものが、私情で勝者を決めてしまうのは、間違っていると思うし、会社の世界の規則としても、その規則はあるべきだと思う。


「今回の事で説明すると、圭君や熊谷さんがAさん側で、石黒さん達がBさん側って感じですね。あの時私は、この世界で誰もが使える訳ではない力を使い、石黒さん達を倒しました。なので、それが問題とされてしまったんですよ」


 ハルさんは平然と話してくれているけど、それって、話を聞く限り、ハルさんは違反として罰せられるって事なんじゃ……

 現に、私情で片方の勢力の味方をしてしまっているんだから……


「え、本当に大丈夫なんですか? それって結局、ハルさんが僕の味方をしてしまったのが問題なんじゃ……」

「あ、大丈夫です。今のは根本的な規則の話ですから」

「例外はあるんですね」

「はい」


 つまりハルさんは、自分の行動は例外として認められるから、違反にはならないって事を主張するって事だな。


「例外に当てはまるのは、片方の勢力が私達の敵だった場合です」

「石黒さんが、ハルさんの敵として該当するって事ですか?」

「はい。あの人は私の事をずっと追っていました。その結果として、圭君や警察の方を巻き込んだんです……本当にごめんなさい……」

「いえ、それはハルさんが謝る事では……」


 ハルさんは頭を下げて、また謝罪をしてきた。

 別にハルさんが悪い訳じゃないのに……

 でもハルさんは、自分のせいで巻き込んだんだって思ってるんだろうな……


「あのまま石黒さん達を放っておけば、石黒さんは私を捕まえるために、もっとたくさんの人に迷惑をかけていたと思います」

「そうかもしれませんけど、それはハルさんのせいではないですからね」

「……ありがとうございます」


 ハルさんは顔をあげて少し笑ってくれた。

 抱き締めたいけど、話が進まなくなってしまうのでここは堪えておく……


「私達の事を探ろうとしていた、敵である石黒さんを倒すための力の使用ですから、あれは例外として認められるんですよ」

「えっと、それならなんで、こんな問題にされたんですか?」

「それはですね、その……」


 ハルさんは凄く言いにくそうだ……

 でも言うか悩んでるって事は、僕に話してはいけない事ってわけではないんだろう。


「ハルさん、教えて下さい。僕もハルさんは絶対に大丈夫だって信じて、ハルさんの事を待っていたいですから」

「圭君……あの、あのですね……問題になったのは、私が圭君とこ、恋人になったからでして……」

「……え?」


 僕とハルさんが、恋人になったから問題になった?

 どういう事なんだろう?

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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