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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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プレゼント

圭君視点です。

 ハルさんの好きな色は、コバルトブルーだと分かった。

 あとは何を渡すかだ。


 アクセサリーの類いは、ミオさんが着けていたのにハルさんが一切着けていない事から考えて、ハルさんがあまりアクセサリーを好きじゃない可能性がある。

 それは今後、また気付かれないように探っていこうと思う。


 鞄は持ち歩かないと言っていたし、財布や靴はちょっとした異空間というものに入れているみたいだから、渡しても困らせてしまうかもしれない。

 置物や飾りとかよりは、実用性のあるものの方がいいだろう。


 となると、やっぱり服かな?

 いい色があるか分からないし、探しに行ってみようかな……


 ハルさんも帰ってしまって、静かになった夕方……

 お店はまだやっているだろうし、少し出掛けよう。

 いつもはスーパーくらいにしかいかないけど、今日は普段行かないお店の方へ行ってみる事にした。


 きらびやかな装いの街中を歩いていく。

 思えば、この都会の方に出てきてから、こういうお店とかを見て回るのは初めてだな……

 まぁ、元々が地元から逃げるようにして来た都会だったんだから、仕方ないけど……

 折角なら、ハルさんと一緒にショッピングとかもしてみたいな……


 と、ハルさんの事を考えながら歩いていると、ショーウィンドウに飾られていた物に目が止まった。

 綺麗な青色のストールだ。

 コバルトブルーって、こんな感じの色だよな……


 そういえば、ハルさんが来てくれてすぐに抱きしめると、ハルさんは結構冷たいんだよな……

 ずっと鳥の姿とかで寒空の下を飛んでいるんだから、冷えていて当然なんだけど……

 ストールがあったら、マフラーのように首元を温める事も出来るし、広げて羽織る事も出来る。

 ハルさんへのプレゼントに向いている気がする。


 でも、貰って嬉しいかな?

 色が好きそうだからって決めてしまうのもどうかと……

 いや、そんな事を言い出したら、プレゼントなんて一生決まらない気がする……


「ん? 圭? 圭じゃないか?」


 お店のショーウィンドウの前で止まっていると、熊谷さんが声をかけてくれた。


「熊谷さん、こんばんは。お久しぶりですねって程でもないですけど……」

「そうだな、1人で買い物か?」

「はい。熊谷さんはお仕事ですか?」

「いや、今日は休みでな。娘に服を買うように頼まれたんだ」

「そうなんですね」


 休日に娘さんのために動いてるなんて、本当に優しい人だ。

 あの捕まった時も、娘さんの花嫁姿が見たかったと言っていたし、もしかしたら熊谷さんって、娘さんには凄く甘いお父さんなのかもしれないな。


「圭はハルにプレゼントか?」

「はい……でも、何を貰ったらハルさんが嬉しいと思ってくれるのかが、分からなくて……」

「まぁ、変わった奴だしな」

「このストールは、ハルさんが好きそうな色なんですけど、ストールって、貰って嬉しいと思いますか?」

「え? あー、そうだなぁ……」


 何気なく、熊谷さんに相談してしまっていた。

 いきなりこんな事を聞かれても、熊谷さんも困るよな……


「あの、すみません。巻き込んでしまって……ちゃんと自分で考えますね」

「そうか。あ、参考になるかは分からねぇけど、俺の娘は彼氏から貰ったマフラーを、目茶苦茶喜んでたぞ」


 熊谷さんはちょっと複雑そうな顔だ。

 娘さんの彼氏さんの事を、よく思っていないんだろうか?


「あいつはな、彼氏と一緒にいられない時も、温もりを感じるみたいだーとかって、夏場でもエアコン効かせた部屋で、マフラーしてたんだぜ」

「それは、本当に嬉しかったんですね」

「あぁ、今もあの時のあいつの浮かれようは、鮮明に思い出せるな」

「娘さんは、彼氏さんの事が本当に大好きなんですね」

「俺もお似合いだとは思うが……って、言ってて恥ずかしいんだが、圭は聞いてても恥ずかしくねぇのか?」

「特には?」

「……そうか」


 とても素敵な話だと思う。

 それに、熊谷さんが彼氏さんの事を認めているんだっていうのもよく分かった。

 いい関係なんだな……


「でもなぁ……あいつ等、ちっとも結婚しねぇんだよな……」

「え?」

「あぁ、いや、悪い……気にしないでくれ」

「……はい」


 熊谷さんはぼそっと呟くように、悩みを言っていた。

 やっぱり人それぞれ、いろんな悩みがあるもんだな……


「一応分かってると思うが、ハルは圭から貰った物なら、何でも喜ぶと思うぞ」

「はい、ありがとうございます。僕、このストール買ってきますね」

「そうか」


 熊谷さんの娘さんの話を聞いて思った。

 僕もハルさんに、僕がいない時でも、僕の温もりを感じてほしい。

 いろんな動物になれるとはいえ、あまり寒い思いはしないでほしい。

 だからストールは、ハルさんにピッタリのプレゼントだと思う。

 でも、そのまま送るっていうのもな……


「何か、僕なりの刺繍も追加してみようと思います」

「おぉ! それはいいな。絶対喜ぶぞ」

「ありがとうございます」


 プレゼントも決まった事だし、あとはクリスマスを最高の1日に出来るように、色々と準備をしていこう。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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