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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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色彩

圭君視点です。

「明日のお昼ご飯は、キャベツチャーハンにしましょうか。ハルさんも一緒に作って下さいね」

「おぉ、キャベツチャーハン! 頑張ります。では明日は早くきますね」

「はい。どれだけ早く来てもらってもいいですからね」

「ふふっ、できる限りの早さで来ますよ」

「お待してますね」


 昨日はそんな会話をして、ハルさんは帰っていった。

 だから今日は、早く来てくれるはずだ。


 朝食を食べ終えて、勉強をする。

 買い物は昨日行ったし、特に出かける用事はない。

 それに、ハルさんが早く来てくれるなら、出掛けずにいた方がいいだろう。


 今日こそは、昨日聞けなかったハルさんの好きな色について聞いてみよう。

 それで、ハルさんに渡すクリスマスプレゼントも考えるんだ。

 でもハルさんは、"何色でも好きです"って言いそうだな……


「おはようございます、圭君。早すぎましたか?」

「ハルさん、おはようございます。早すぎるなんて事は存在しませんよ。早くハルさんに会えるに、越したことはありませんから」

「もう……圭君は、恥ずかしくないんですか?」

「うーん? まぁ、少しくらいですかね?」

「少し、ですか……」


 今日もハルさんが来てくれた事を、本当に嬉しく思う。

 それに、照れているハルさんがとても可愛い。


 ハルさんが恋人になってくれた事に、僕は相当浮かれている。

 それはもちろん自分でも自覚があるので、結構恥ずかしい事を言ってしまっているのも分かってる。

 でも、自分の気持ちをちゃんと言葉にして伝えるのが大切な事だと思うし、ハルさんのとても可愛い反応が見れるので、止める事は出来そうにないな。


「じゃあ、昨日言ってたキャベツチャーハンを作っていきましょうか」

「はいっ! よろしくお願いいたします!」

「そんなに身構えなくても大丈夫ですよ。ただ焼くだけですから」

「そうなんですね」


「鍋は、この中華鍋を使いましょうか」

「鍋? フライパンとは違うものなんですか?」

「中華鍋は、この丸い形が特徴ですね。この形の効果で熱伝導率が高くなっていて、強火で食材にムラなく火を通せるんです。普通のフライパンで作るより、パラパラなチャーハンがつくれますよ」

「おぉ! 鍋の種類でも、料理は変わるものなんですね」

「ちょっと重いかもしれませんが……」


 あ、ハルさんは重力を調整出来るんだったな……

 重いとかは関係ないか……?


「持ってみて、重力の調整をしますか?」

「いえ、ちゃんと作りたいので、"力"に頼りたくはないです」

「そうですか?」

「圭君が言ったんですよ? "何でも力に頼るのはよくない"って……」

「あぁ……」


 確かに言った……

 ハルさんが力ばかりを利用しているのは、ダメだと思って……

 でもあれは、どちらかといえば、僕に頼って欲しいって意味で言ったんだけどな……


「何でも力に頼って、圭君に嫌われたくはありませんから」

「嫌いになる訳ないじゃないですか。でも、力に頼らないのはいいと思います。力じゃなくて、僕に頼って下さいね」

「……ありがとうございます」


 照れているハルさんと一緒に、キャベツチャーハンを作る。

 やっぱりハルさんは器用で、中華鍋も普通に使いこなしていたし、覚えるのも早い。

 これからは料理も、自分で考えてどんどん上手くなっていってくれると思う。


 僕がそんな事を考えている間にキャベツチャーハンは出来上がって、あとは盛り付けるだけになった。


「ハルさん、お皿はどれがいいですか?」

「お皿ですか?」

「お皿選びも、料理の大切な工程の1つですよ? 形や色、料理の盛り付け方によって、食べる人の食欲も変わってきますからね」

「そうなんですね! うーん……この、青い模様の入ったお皿にしますね」

「このお皿は、チャーハンにもよく合うと思います」

「良かったです!」


 ハルさんに盛り付けのお皿を選んでもらった。

 1人暮らしではあるけど、僕は結構お皿をたくさん持っている。

 珍しいのや、気になったのがあると、ついつい買ってしまうから……


 たくさんお皿があるせいで、ハルさんを悩ませてしまったかとも思ったけど、ハルさんは普通に僕もよくチャーハンに使うお皿を選んでくれた。


「お皿1つでも料理の印象が変わるんですね」

「はい。あまり濃い青色のお皿とかだと、食欲が軽減されてしまったりとかするみたいですし……」

「そうなんですか?」

「でも、料理自体の色によっては、濃い青色のお皿の方が料理を引き立ててくれたりもしますからね」

「圭君はいつも、そこまで考えて料理を出してくれていたんですね。ありがとうございます!」


 そんなにいつもそこまで考えていた訳じゃないけど……

 あ、今ならハルさんの好きな色も聞きやすいな……


「食べてくれる人の好きな色によっても、変わってくると思うんですよ。自分の好きな色の食器だと、嬉しくなりませんか?」

「確かにそうですね!」

「ハルさんは何色が好きですか?」

「私はコバルトブルーが好きですね!」


 然り気無く聞いてみると、ハルさんは満面の笑みで答えてくれた。

 本当に凄く可愛いと思う。


 でも以外だったな……

 てっきり何色でも好きですって言うと思ったのに……

 それも、ただの青じゃなくて、拘りの"コバルトブルー"。


「えっと、コバルトブルーですか?」

「はい! 明るさも感じるような、鮮やかな青色ですね!」

「ハルさんに似合う、綺麗な色ですね」

「ありがとうございます! 圭君は何色が好きなんですか?」

「え、僕は……黒とかですかね?」

「あぁ、黒も素敵ですよね!」


 好きな色を答えただけなのに、ハルさんはとても嬉しそうだ。

 色に拘りがあるみたいだし、好きな色の話が楽しかったのかな?


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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