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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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好きなもの

圭君視点です。

 僕の家に戻って来ると、ハルさんはまた町をパトロールするためにと、鳥になって飛んで行ってしまった。

 少し寂しい気もするけど、仕方ない。

 僕も受験勉強を頑張ろう。


 受験が終わったら実家に帰る……

 ハルさんを僕の彼女として紹介する……

 考えるとやっぱり緊張してしまって、勉強がなかなか進まない……


 そういえば、そろそろクリスマスだ。

 クリスマスといえば、実家にいた頃は珠鈴と一緒にクリスマスケーキを作るのが決まりになっていた。

 僕がこっちに来てからは、僕には何の関係もない日になってしまっていたけど、クリスマスは"恋人と過ごす日"みたいな風潮もある。


 ハルさんは自分の年齢も忘れてしまっていたくらいだし、年間行事とかには疎そうだ。

 だからきっとクリスマスの事も、特に気にしてはいないだろう。

 でも折角恋人になれたんだし、世の中的にも恋人と過ごす日だと言われるクリスマスが来るんだから、ハルさんと楽しく過ごしたい……


 クリスマスケーキを作って、部屋を飾りつけ……それは恥ずかしいからやめておこう。

 飾りつけなんかより、何よりも大切なのはクリスマスプレゼントだな。

 何を渡したら、ハルさんは喜んでくれるんだろう?


 ハルさんの好きなもの……好きなもの……

 あれ? キャベツくらいしか思い浮かばないな?


 ハルさんは、いつもアクセサリー等を付けていない。

 昨日行ったハルさんの部屋にも、そういう類いの物は特に見当たらなかった。

 ミオさんがイヤリングをしていた事から考えても、会社の世界の方でアクセサリーが禁止されているという訳ではなさそうだ。

 となると、単純にハルさんがあまりアクセサリーの類いを好きじゃないのかもしれない……


 それにハルさんは、服装がいつもそこまで変わらない。

 多分、浄化の力とか復元の力とかを使って、同じ服を着ましているんだと思う。

 そうだとすると、ファッションにも拘りがないという事になる。


 何か趣味があるわけでもなさそうだし、クロスワードパズルを知らなかったって事は、本や雑誌とかも読んだりはしなさそうだ。

 部屋に絵が飾ってあったとはいえ、あの1つだけって事は、絵が特別に好きだという訳でもないみたいだ……


 食べ物だって、キャベツが好きなのは知ってるけど、フィナンシェは出来立ても、少し時間がたったのも、どっちも好きだと言っていた。

 僕の料理もいつも美味しいって食べてくれるけど、特にどれが好きだと言ってくれる事はない。

 全部美味しいと思ってくれているとは思うけど、絶対に前の料理の方が好きだったとかは思うはずなのに、そういう事は言ってくれない……


 これは、ハルさんが僕に気をつかって言ってくれないんじゃなくて、ハルさんの元々の性格から、好きなものに順位とかはあまりつけないからだろう。

 自分の好みを主張する事が少ないんだ。

 キャベツが好きっていうのは、最初に聞いたら偶然に教えてくれたって感じだったし……


 困ったな……

 僕は、自分で思っていた以上に、ハルさんの事を知らなすぎる……

 本当に、ハルさんに渡すクリスマスプレゼントは、何にしたらいいんだろう?


 ハルさんに、欲しいものを直接聞くというのはあからさまだし、多分ハルさんに、僕が何かプレゼントをしようとしている事がバレてしまう。

 そうなるとハルさんは、大丈夫です、必要ないですって、受け取ってくれなくなってしまう……

 そもそも欲しいものを答えてくれそうにない……


 だからハルさんに気づかれる事なく用意して、サプライズ的な感じで受け取ってもらわないといけない。

 でも好きでもない物をもらっても困るだろうから、ちゃんとハルさんが喜ぶ物にしたい。

 それなのにハルさんの好きなものが分からない……


 僕だけだと発想も貧困だし、誰かに相談するべきかな?

 ハルさんの事を知ってて、相談出来る人ってなると、やっぱり土地神様くらいしか思い浮かばない。

 でも、いくらハルさんが少し特殊な仕事をしている人だからって、そういう個人的な事を土地神様に相談するのは間違っていると思う。

 人との線引きは大切だって仰ってたし……


 となると、ミオさんとか……

 都合よく来てくれたりはしないかな?

 いや、ミオさんは誰よりも忙しい人なんだから、そんな僕の私的都合で頼ってはいけないな……


 あと、相談出来る人……

 ハルさんの事情を知っていて、ハルさんの好みも知っていそうな……

 ダメだ……思い浮かばない……

 というか、僕がそういう存在にならないとダメなんだ!


 クリスマスまではまだ時間がある。

 それとなくハルさんに聞いてみよう!

 欲しいものって聞くとあからさまになってしまうから、好きな物を聞いてみよう。

 そこから何かを考えればいい。


 とりあえず聞きたいのは、好きな色かな?

 色が決まればプレゼントも選びやすいだろうし、好きな色を聞いたくらいで、プレゼントをしようとしているとは思われないはずだ。


 当面の目標は、ハルさんの好みを知っていく事だ!

 あ、あと受験……


 ふと時計を見ると、かなり時間がたっていた。

 クリスマスプレゼントを悩んでいただけで、勉強が全く進んでいないのに……

 これは、先が思いやられるな……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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