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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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家族

ハルさん視点です。

「ハルちゃん、圭君。この時期は日が沈むのも早いし、2人共そろそろ帰った方がいいんじゃないかの?」

「そうですね、お暇します」

「挨拶に来てくれてありがとうな。儂に連絡出来る範囲のもの達には知らせておくよ」

「はい、ありがとうございます。圭君、帰りましょうか」

「はい。土地神様、ありがとうございました」

「またいつでも来てくれていいからの~」


 神様に挨拶をして、圭君と2人でお暇することになりました。

 神様も楽しそうに手を振ってくれていますし、私達の関係を祝福して下さっているというのが分かり、嬉しいような恥ずかしいような……複雑な気持ちですね。

 神ちゃん達にも伝えて頂けるとの事なので、本当にありがたいです。


「土地神様、とても楽しそうでしたね」

「そうですね。ずっと私と圭君の事を応援してくれていましたからね」

「こうやって僕達の関係を祝福してもらえるって、とても嬉しい事ですね!」

「はい」


 圭君と手を繋ぎながら、山道を降りて行きます。

 何かこういうの、"恋人"って感じですね……

 改めて考えるとやっぱり恥ずかしいです……


「ハルさんの事、僕はまだ知らない事だらけです。だからこれからも、たくさん教えて下さいね」

「はい。圭君、本当にありがとうございます。こんな私を受け入れてくれて……」

「何言ってるんですか! 僕の方こそ、ハルさんに受け入れてもらえて、本当に嬉しいって思ってるんですよ」

「ふふっ、そうですか?」

「はい」


 昨日に続いて、今日もたくさん私の事情を圭君にはお話ししました。

 力の事、核の事、ユズリハ様の事……

 圭君はどんな話もすぐに理解して受け入れてくれます。


 自分の事を理解して、支えてくれる人がいるというのは、本当に嬉しい事です。

 なんだか少し、失っていた感情を取り戻したような、そんな感覚もありますね……

 あの日から、ずっと1人でいたからかもしれませんね……


 でもこれからは、私の協力者として圭君がいてくださいます。

 世界も安定していて、もうあんな事が起きる事もないでしょうし、これからの私の未来に圭君がいてくれると思うと、毎日が明るく思えますね!


「私も今まで知らなかった圭君の事を、たくさん知っていきたいです」

「何でも聞いてくださいね。実家の方に行った時も、好きに過ごして頂いて大丈夫ですから。そんなに見て面白いものはないと思いますけど……」


 そうでした。

 私は圭君の実家の方にもお邪魔させて頂ける事になったんでした。


「そんな事はないですよ! 圭君が今までどんな所でどんな風に育ってきたのかが知れるんですから、とても楽しみです」

「ありがとうございます。あ、前にも少し話したと思いますけど、僕、妹がいるんですよ」

「はい、確か珠鈴ちゃんでしたよね?」

「そうです」


 幼い頃は忙しいご両親に代わって、圭君が面倒をみてあげていたという、妹さんですね。

 話で聞いていた印象だと、圭君とはとても仲良し兄妹って感じでしたが、私とも仲良くして下さるでしょうか?

 嫌われないといいですけど……


「その珠鈴がちょっと騒がしいんですよね……」

「私、珠鈴ちゃんと仲良くなれそうですか?」

「それはもちろんです。ただ騒がしいので、もし不快に思ったらいつでも言って下さいね。本当に遠慮なんて必要ありませんから」

「不快になんて思いませんよ、絶対に」

「ハルさんならそうですよね」


 圭君はどちらかと言うと、物静かなタイプです。

 妹さん……珠鈴ちゃんは、元気な感じの子なんでしょうか?


「純蓮さんは、今日お話をさせて頂いた印象だと、とても落ち着いてらして、安心感があるような、優しいお母様でしたね」

「僕はいつも心配かけてばかりでしたけど、そんな僕をこうして見守ってくれていましたからね。僕も母さんには、改めてお礼を言いたいですよ」


 最初はご家族と一切連絡をとっていなかった圭君。

 その圭君をずっと心配して、それでもちゃんと信じて下さっていたんですもんね。

 本当に素敵なお母様だと思います。


「お父様はどんな方なんですか?」

「んー? いつも野菜の事しか考えていないような人です」

「おぉ! それは是非、お話ししてみたいですね!」

「ハルさんは野菜が好きですもんね……でも、ほどほどにして下さいね?」

「え? あ、そうですよね、ご迷惑ですよね……」

「違いますよ。あまりにもハルさんが父さんと仲良く話していたら、僕が嫉妬しちゃうじゃないですか」

「あ……ふふっ、ありがとうございます」

「いえ……」


 私も圭君も顔が赤いです。

 それに繋いだ手も、さっきより熱を帯びている気がします。

 これは私の熱か、圭君の熱か、どちらでしょうか?


「圭君の実家にお邪魔させて頂く日を、楽しみにしていますね」

「はい、僕も本当に楽しみです。僕の家族にハルさんを紹介できるって思うと……恥ずかしいんですけど、きっと土地神様みたいに祝福してしてくれると思いますから」

「そうですね、ふふっ」


 圭君のご家族の話を聞いていると、とても楽しい気分になりますし、私もあの方達の事を思い出します……

 あれは私にとって宝物の、懐かしい記憶です。

 もう私が会うことはありませんが、あの方達が今も変わらず元気でいて下さる事を、今日また改めて願いました。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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