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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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気持ち

圭君視点です。

 ハルさんは僕の実家の方へと来てくれると言ってくれたけど、かなり緊張している様子だった。

 ちょっといきなり過ぎるかと思いつつも、母さんと話をしてもらうと、大分落ち着けたみたいだ。

 でも、まだ何か悩んでいるように見える……


「あの、圭君……?」

「はい?」

「圭君は心を読まれるという事について、どう思いますか?」

「え? ハルさんになら、どんだけでも読んでもらっていいですけど?」


 ハルさんが悩んでいたのは、僕の実家に来る事じゃなくて、心を読む事が出来る力についてみたいだな……

 でも何で、それを今……?


「あ、母さん達の心を読む話ですか?」

「もし読めたら、ご迷惑お掛けせずに済むかと思ったのですが……あっ! もちろん会社的にアウトなのでしませんよ!」


 そういう事か……

 確かに母さん達の心を読みながら行動すれば、"普通じゃない"と思われた時に、フォローしやすいのは間違いない。

 下手に事情を話す訳にもいかないんだし、心を読む力があるのなら、頼った方がいいと考えてしまうのは分かる。

 会社的にダメみたいだけど……


 もし、会社的にダメじゃなかったら、ハルさんは今からでも心を読む力を覚えて、母さん達に使うつもりだったのかな?

 いや、使いたいとは思っても、ハルさんはきっと使わないだろうな。

 こうして、心が読まれる事についてをどう思うかとか聞いてくれる人だから……


「母さん達がどう思うのかまでは分かりませんけど、そんなに気にしなくて大丈夫ですからね?」

「あの、はい……それは、さっきの電話でそう思いました……」


 何だろう?

 ハルさんはしどろもどろな感じだ。

 電話で、母さん達の心を読む必要がないと思ったんなら、何をそんなに悩んでいるんだろう?


「まだ不安ですか?」

「その……圭君は、ミオに心を読まれていて、どう思ったんですか?」

「え?」


 ミオさんに読まれて、どう思ったか?


「んー? 大変そうだなって、思いましたけど?」

「大変そう?」

「ミオさんは、僕に説明しながら、僕の質問にも答えていたのに、さらに心を読んでいた事になりますからね。凄く大変そうじゃないですか」


 僕は結構頭の中でごちゃごちゃと考えてしまう方だから……

 それを聞きながら、僕の質問に答えて、僕を見極めていたなんて、本当に大変だったと思う。


「では、読まれた事自体は、そんなに嫌ではなかったんですね……」

「それは、ちょっとは嫌でしたよ? でも謝ってくれましたし、それがミオさんにとって必要な事なら仕方ないかと……」

「ミオに必要?」

「僕がハルさんと一緒にいてもいいかどうかを判断して、ダメそうなら記憶を消そうとしていたそうです。一応ちゃんと認めて下さったみたいですから、僕は嬉しく思いますよ」


 あ、これ……言わない方が良かったのかな?

 でもミオさんに言わないようにって言われたのは、僕の夢の中に出てきて応援してくれた事のはずだ。

 闇堕ちの事を聞いたというのは話してもいいと言っていたし、この話してもいいと思ったんだけどな?

 僕の発言のせいで、ハルさんが悩んでしまっている……


「あの、ハルさん?」

「はい?」

「その……ミオさんが僕を見極めて、その結果次第ではハルさんからも僕の記憶を消そうとしていた事とかって……どう思いますか?」


 こんな事、聞いてはいけないのかもしれない……

 でも僕の軽はずみな発言のせいで、ハルさんとミオさんが喧嘩になってしまうのは嫌だから。

 ハルさんが今、何を考えているのかを、ちゃんと知っておきたい。


「どう思う? んー、そうですね……ミオはそうやって、私達全員の事を気にかけてくれている子ですからね。ちょっと心配です」

「自分の記憶を勝手に消そうとして……とかは、思わないんですか?」

「あぁ……ふふっ、思いませんよ」


 ハルさんはとても優しい笑顔でそう言った。

 本当にそんな事は思わないんだろう。


「圭君は、私とミオの関係を心配してくれているんですね。大丈夫です!」

「大丈夫……ですか?」

「ミオはですね、私達の仕事の中でもとても大変で、皆が嫌って思う仕事をしてくれているんです」


 闇堕ちの話かな?

 一応ミオさんから聞いて知ってはいるけど、ハルさんは闇堕ちの事をはっきりとは教えてくれないんだな……

 それはもちろん、聞いて楽しい話でもないからという、ハルさんからの気遣いだっていうのは分かってるんだけど……


「まぁその仕事の関係で、私達の心を読んだり、記憶を消したりという事もしないといけないんですよ。ですので、ミオ本人がやりたくてやっているという訳ではないのも、私達は皆分かってますから」

「そうなんですね」

「圭君が心配してくれているように、私とミオの関係が拗れるなんて事はありません。安心して下さいね」

「良かったです」


 ミオさんが僕を見極めていたというのは、話して良かったみたいだ。

 それは本当に良かったと安心出来たけど、ハルさんがまだ僕に気遣って話してくれているのもよくわかった……


 僕は、ハルさんの事を支えていける存在になりたい。

 そのためにはそういう気遣いは、僕にしないでほしい……


 いつかちゃんと、ハルさんが気兼ねなく悩みを全て話してくれるような存在になってみせると、改めて決意した。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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