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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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折角の機会

ハルさん視点です。

 急にこんな訳のわからない話を説明されたというのに、圭君は変わらない態度で接してくれていますし、本当に圭君に出会えてよかったと思います。

 でも、これで圭君は私の事情を知り、私に協力してくれる協力者になってしまいました。

 それに関しては正直複雑ですね……

 もう二度と、協力者なんてつくる事はないと思っていましたし……


 まぁでも、土地神様も仰られていたように、今は世界が安定していますからね。

 圭君にもそんなに迷惑をかける事はないはずです。


 この土地神様のいらっしゃる場所にこの世界の核があり、この場所は結界で守られているという話については、もう圭君にご理解いただけたました。

 途中、ミオが圭君に力について話していたことや、土地神様にからかわれて話が脱線しましたが、なんとか説明出来てよかったです。


「だからハルさんは、この町に住んでいるんですね」

「そうです。核の近くに住んでいた方が、何かと都合がいいですからね」


 この町にいる方が、世界のバランス維持もしやすいですし、核に何かあってもすぐに対応出来ますからね。


「核はどれくらい穢れとかを溜めておけるものなんですか?」

「それは世界によっても違ってきますし、世界の仕組みにもよりますね」

「世界の仕組み?」

「世界そのものに、核の発生させる闇を解決する仕組みが存在している世界もありますし、この世界のように、私達のような浄化の出来る存在が、浄化をしないといけない世界もありますよ」

「色んな世界があるんですね」

「そうですね。あと、穢れや淀みの量というのも、世界によって違うので、どれくらい溜めておけるかっていうのは分かりませんね」

「そうなんですか……」


 なんでしょうか?

 圭君は何かに悩んでいるみたいですね……


「じゃあ、ハルさんはあまりこの町から離れられませんよね……」

「え? そんな事もないですけど……」

「離れられるんですか?」

「はい。何処に行くのかにもよりますけど、離れられないという事はないです」


 そんなずっと核をみていないといけない訳でもありませんし、緊急時にはすぐに移動できるようにと、道具も色々と異空間に入れた状態で行動しています。

 だから離れられない訳ではないのですが、圭君は私にここから離れてほしいんでしょうか?


「あの、ハルさん……実は、僕の母さんが、試験が終わったら一度帰ってくるようにと言っていまして……」

「それは素敵ですね。是非、お久しぶりにご家族と会ってきて下さいね」

「いや、あの……ハルさんの事も、紹介してほしいと言ってるんですよ……」

「えっ!? 私をですか?」

「はい。あの、僕と一緒に、僕の実家の方へ来てもらう事って出来ますか?」


 圭君がさっきから悩んでいたのは、そういう事でしたか。

 私に、圭君のご実家の方へご招待下さったんですね。

 それはとても気になるところではありますが……


「あの……寧ろ、私が行っても大丈夫なんですか?」

「え?」

「ご家族に私の事、どれくらい説明してありますか?」


 まず私、地毛がピンクです。

 この時点で見た目がアウトですよね?

 そして、安易に人に話せる仕事をしていないので、ほぼ無職です。

 戸籍もないし、身分も証明できないような怪しい女なんですけど……


「特に説明はしてませんよ。()()()()()()がいるって言ったくらいです。それで、その大切な人を紹介してと言われたので……あ、でももちろん、無理にとは言ってませんので、できればで大丈夫です」

「そ、それは、その……圭君とお付き合いさせていただいていますって、挨拶に行く感じですよね……?」

「あっ、はい。できれば……」


 "凄く大切な人"ですか……

 そんな風にいっていただけるのは、本当に幸せです。

 でもやっぱり、圭君のご家族にまで協力者になってもらうわけにはいきませんし、ご家族に私の事を説明できません。

 なので残念ではありますが、そういう恥ずかしくも楽しいような挨拶へは行けませんね……


「私も圭君のご家族とはお会いしてみたいですし、圭君の産まれ育った故郷というのも見てみたいです。だから、一緒に行きたいとは思うのですが、やっぱり私は普通の人とは違いますので……」

「普通の人と違うとか、関係ないですよ。僕は、ハルさんを僕の大切な人として、家族に紹介したいです」

「うぅ……そう言われると……」


 家族に私を紹介したい……

 確かに私も紹介してほしい……

 でも……


「ハルさんが無理じゃないのなら、一緒に行きましょう」

「ですが……」

「ハルちゃん、行ってみたらどうかの? ハルちゃん、ここ何年もずっとこの町から離れとらんじゃろ? 核は儂が見ておくから、たまには何も気にしないで、羽を伸ばすのもいいと思うぞ」

「神様……」


 確かに、核については土地神様にお任せできますけど……


「ハルちゃんは頑張り過ぎじゃからな。この折角の機会を逃すのはもったいないぞ」

「でも私は、普通の人とは違います。かといって、それを説明するわけにも……」

「無理にハルさんの事を話す必要はないですよ。先に少し変わった人だって言っておけば、大丈夫ですから」

「え……」


 少し変わった人って……

 少しどころか私は大分おかしいですし、絶対にご家族の皆様に混乱を与えてしまいます……

 それなのに……


「そんないい加減な説明で、大丈夫ですか?」

「はい」


 圭君は本当に気にしなくて大丈夫だと言うように返事をしてくれました。

 私の事情を話さなくてもいい……

 圭君の言い方だと、圭君がそう言っているだけなのではなく、ご家族の方もそういう事は気にされない方々なんだというのが分かります。


「分かりました。では、お邪魔させて下さい。圭君のご実家に」

「ありがとうございます! あ、でも先に試験があるので……」

「はい。日にちはまた決めていただければ大丈夫です。大抵の場合、私に予定なんてありませんから」

「じゃあまた、母さん達にも連絡してからお伝えしますね」

「はい、お願いします」


 圭君が産まれ育った土地……どんなところでしょうか?

 きっと豊かで優しい土地なんでしょうね。

 私もお邪魔させてもらうのが、とても楽しみになりました。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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