からかい
ハルさん視点です。
圭君に私達の事情をたくさんお話しました。
昨日からずっと話していますし、一気に話し過ぎた事で、理解出来ていないかとも思ったのですが、やっぱり圭君の理解力は凄いですね。
圭君の方から色々と質問もしてくれましたし、ちゃんと分かってくれているんでしょう。
その上、御自身が核だという土地神様の冗談も、もし核だったらという事を瞬時に考えて、土地神様の心配までしていました。
「そういう所が圭君の凄いところですよね」
「ハルちゃん、惚気か?」
「い、いえ……」
ちょっと土地神様にからかわれてしまいましたね……
ミオやあっちの人達にも散々からかわれた後なので、私も少し耐性が……なかなかつきませんね……
全く、土地神様のからかい好きにも困ったものです。
圭君に核が土地神様なのではなく、この場所の下に核があり、核は結界で守られている事を説明すると、圭君は少し考え事タイムに入りました。
何を考えているんでしょうか?
"結界"と呟いていましたし、これはもしかすると、ここに結界があるのは核があるからだという事を、察してくれたのではないでしょうか?
「そうですよ! 圭君のお察しの通りです!」
「え?」
「ここの結界は、この世界の核を守るために存在している結界です!」
圭君を驚かせようと思って、圭君が今考えていた事が分かったかのように言ってみました。
これで、"どうして僕の考えていることが分かったんだろう?"って、驚いてくれたら楽しいし、違ってたら違ってたで面白いかと思ったのですが、
「あの、ハルさんもミオさんみたいに、心が読めるんですか?」
「えっ!」
と、圭君は私が予想していなかった返しをしてくれたので、私の方が驚いてしまいました。
でも心が読めるのかを聞かれたという事は、やっぱり圭君が考えていた事は、さっきの私の考えで合っていたという事ですよね!
それはとても嬉しく思います!
……というかこれは、圭君は"人の心を読む力"というのが存在している事を知っているという事になりますよね?
ミオみたいにって事は……
「ミオはそんな事まで話していったんですか?」
「あ、はい。僕がハルさんといていいかを見極めるために、僕の心を読んでいたと仰ってましたよ?」
「それはそれは……あの子がそんな事まで話すなんて……」
確かにミオは、人を見極めるためにいつも人の心を読みながら過ごしています。
でもそんな事は、言わないと相手には分かりませんし、ミオも普段は隠しているはずです。
それなのに、圭君に話すなんて……
ミオと圭君は昨日が初対面です。
初対面どころか、ミオと圭君の接点は昨日のあの30分だけのはずです。
あの冷静沈着なミオが、高々30分の間に圭君の事を信用して、そんな話までしていたとなると……
「ハルさん?」
「あぁ、すみません……ちょっとやきもちをやいていただけです。気にしないで下さいね!」
「それはそれで気になるんですが……」
今、結構恥ずかしい事を言ってしまいましたね……
でも、"やきもち"というものの使い方としては、合っていたと思います。
私は圭君とミオの関係に、少し嫉妬していたんですから……
私が自分の発言の反省をしていると、
「でも、ハルさんも心を読めたんですね」
圭君にそう言われてしまいました。
この誤解はちゃんと解いておくべきですね。
「いえ、読めませんよ?」
「え? 読めないんですか?」
「はい。私に人の心を読む力はありません」
「じゃあ、さっきのはどうして僕の考えていた事が分かったんですか?」
「ふふっ、圭君ならそれくらいすぐに分かるだろうなぁ~と、思って言っただけですよ。本当に合っていたみたいでよかったです!」
私がそう言うと、圭君は照れたように笑ってくれました。
私も圭君が考えていた事をちゃんと当てれたという事が、本当に嬉しいです。
「お似合いじゃの~」
「「ありがとうございます」」
「息ピッタリじゃ!」
土地神様にもまたからかわれて、嬉しいやら、恥ずかしいやらで、感情が落ち着きませんね。
圭君も同じ気持ちみたいです。
読んでいただきありがとうございます(*^^*)




