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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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105/333

圭君視点です。

「私達の力の話でしたね」

「はい、お願いします」


 土地神様の神社へ向かう道中、ハルさんは力について話してくれている。


「私が生まれた時から持っていた力は"浄化の力"と"自分以外の存在に化ける力"なんですが、これは私の場合です。私達は全員、世界の浄化が使命ですからね。"浄化の力"は全員が使えますが、もう1つの力は、使える力が皆違うんですよ」

「その皆違う力が、ハルさんの場合は"自分以外の存在に化ける力"だったんですね?」

「そうです。ミオの場合は、"空間を操る力"ですね」


 ハルさんみたいな人達全員が、同じ力を持って生まれて来る訳ではなかったのか……


「あの、それだと喧嘩になりませんか? 自分の力より、あの人の力の方がいいなって思ったりとか……」

「喧嘩とまではなりませんが、自分の力をそんなに使える力ではないと言って、嫌っている友人はいますよ。でも、そういう場合は、他の力を覚えればいいだけですからね。そんなに問題にはなりませんよ」

「ハルさんはどうですか?」

「私ですか?」

「その……自分の力をどう思ってるのかなって……」


 ハルさんはいろんな力を覚えている。

 もしハルさんが、"自分以外の存在に化ける力"の事をあまりよく思っていないのなら、その力の話はあまりしない方がいい。

 昨日、簡単に猫になってと言ってしまったけど、もしかしたら負担になっていたのかもしれない……

 だから、ハルさんが自分の力をどう思っているのかを、ちゃんと知っておかないといけない。


「私は、特に何とも思ってませんよ?」

「何とも思ってない?」

「私のこの、"自分以外の存在に化ける力"というのは、ミオの"空間を操る力"と比べれば、そんなに使える力でもないですけど、全く使えない訳でもありませんからね」

「じゃあ、ハルさんがいろんな力を覚えたのは……」

「さっきも少し話しましたが、私はとっても暇なんですよ。自分の力で遊んでたりするくらいに暇なんですよ」

「暇……」


 ハルさんは結構自分は暇だと言う……

 余った時間の有効活用とか言って、危ないパトロールまでしてるのに……


「あの……多分圭君は、私がいつもパトロールとかして、ずっと仕事みたいな事をしているのに、暇だというから混乱してるんですよね?」

「え? 混乱してる訳ではないんですけど……でも、そんなに暇だとも思えなくて……」

「この世界で私に時間があるのは、前も話した通り、私に身分を証明する方法がないからです。もしあれば、この世界で普通の人達と紛れて、普通の人と同じように仕事をしたりして暮らしていました」

「それは……はい。分かります」


 身分が証明出来ていれば、この世界で普通に働けていたんだ。

 だからこの世界ではやることがなくて、パトロールをしている……

 それは、分かる。


「でも、会社の世界でも仕事を掛け持ちしてるとかって、言ってましたよね? 全然暇じゃないじゃないですか。それだけ働いてるなら、この世界でくらいずっと休んでてもいいと思うんですよ」

「それも、1つは力を送るくらいの仕事ですし、もう1つはとっても暇な仕事なんです」

「とっても暇?」


 掛け持ちまでしてるのに、どっちも暇だなんて……

 でも確かハルさんは、その仕事でお金をもらって生活しているはずだ。

 それに企業秘密で話せないみたいな事も言っていたし、かなり重要度の高い仕事なはずだ。

 それなのに、その仕事がとても暇だなんて……

 というか、ハルさんにとっての暇というのが、どれくらい暇なのかが全く分からない。


「会社の世界の方でも暇なのは、私が……えっと……うーん? なんて言えばいいのか分かりませんが……あっ、あのですね、私は管理職なんですよ!」

「管理職?」

「会社で言えば、社長の次くらいに偉い存在です!」

「凄いですね」

「そして、部下がとても優秀なんです!」

「なるほど?」


 ハルさんは、結構会社で表現するのが好きみたいだ。

 管理職で、かなりのお偉いさんで、部下までいるのか……


「だから、皆の報告を待っているのが仕事って感じで、この待っている時間って、暇じゃないですか」

「そういう時間を暇とは言わないと思いますけど……」

「そうですか?」

「はい」


 僕にとっての暇というのは、仕事をしていない時間とか、やることが何もない時間というイメージだけど、多分ハルさんにとっては違うんだ。

 仕事中でも少し手の空いた時間とか、ちょっとの休憩とかも暇だと思うんだろう。


 多分ハルさんは、もともと動いているのが好きなんだ。

 それなのに力があまりないから、いろんな世界を担当する事が出来ない……

 それは僕にとってはありがたい事だけど、ハルさんにとっては心苦しいのかもしれない。


 凄く動きたい営業の人が管理職になってしまって、動きたくても動けなくなっている状態……みたいな感じだろうか?


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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