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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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空間

圭君視点です。

 土地神様にご挨拶に行く事になり、焼きトウモロコシを準備した。

 喜んで下さるといいけど……


「では、行きましょうか」

「ハルさん? 髪色はそのままで大丈夫なんですか?」

「先日、刑事さん達の記憶は消しましたからね。この格好で歩いていても、珍しい髪色の人だな~くらいにしか思われませんよ」

「そうなんですね」


 ハルさんは今、美しいピンク色の髪のままだ。

 前は"黒髪の人"になったりもしていたので、今回はいいのかと少し心配だったけど、大丈夫みたいだ。


 ハルさんが、刑事さん達の記憶をどれくらい消したのかは分からないけど、ピンク色の髪の女の人が通報してくるとは、もう誰も知らない事になっているんだろう。

 通報もこれからは熊谷さんにすればいいし、もう通報してくる謎の女の人の存在は、いらなくなったんだな。


「あ、でもやっぱりハルさん。靴がないですよね?」

「いえ、今日は持ってきました!」


 ハルさんはそういいながら、何もない空中で、引き出しを開けるときのような手の動きをした。

 すると、ハルさんの手には靴が引っ掛かっていた……

 一体何処から出したんだろう?


「あの、今のは何処から?」

「これは、ちょっとした異空間です」

「異空間?」

「私、鞄を持ち歩きませんので、持ち物は全部異空間に入れてるんですよ。今のこの靴とか、お財布とか……」


 そういえば、前に便箋をくれた時も、何処かから便箋が急に現れてたな……

 あれもその異空間から取り出したんだろう。

 異空間が使えるって、本当に凄いな。


 でも、それなら……


「あの、その異空間に携帯は入れておけないんですか?」


 携帯も異空間に入れておけば、最初に僕から携帯を借りる必要はなかった事になるはずだと思い、ハルさんに聞くと、


「入れておくことは可能なのですが、それだと会社の世界との連絡がとれなくなるんですよ。この異空間は世界だとは認められていない、ただの小さな空間ですから」


と、ハルさんは説明してくれた。


「世界だと認められたら、連絡が来るんですか?」

「そうですね。全ての世界を管理している会社の世界に認められていない以上は、その空間は存在しないも同然です。だから連絡が来なくなるんですよ。まぁ、電波が届かない感じですかね?」

「なるほど……」


 そう言われると、身近な事なので分かりやすい。

 異空間が使えるのは便利な気がするけど、結構大変なんだな……


「ハルさんは本当に色んな事が出来るんですね」

「私に出来る事は少ないですよ。自分の役に立ちそうなのを覚えているだけですから。異空間は使えても、ミオのように異世界へは行けませんし」

「異世界へ行く力は、覚えれないんですか?」

「ん~、ちょっと……いえ、かなり厳しいかと……」


 力の消費量は、力毎に違うみたいだし、ハルさんは力があまり多くはないんだったな……

 そうなると、出来ない事はないとハルさんが言っていたミオさんは、相当に力が多いんだろうか?

 だから異世界へ行けたりとか、心を読めたりとか……?


 あれ? でもそれって、凄く不平等じゃないか?

 それに、たまたま力の多いミオさんが、真面目な人で、皆のために働いてくれるような人だったから良かっただけで、もしミオさんみたいな力の多い人が何もしたくないっていう人だったら、世界が終わるんじゃ……

 いや、そんな人は選ばれないのか……?


 そもそも、なんでミオさんはそんなにたくさんの力を覚えたんだろう?

 確か、生まれた時から使えたのは、"浄化の力"と"自分以外の存在に化ける力"だけだったはず。

 それ以外はあとから覚えたって言ってたから、自分に役立ちそうなのを覚えていくんだとすると、ハルさん達は自主的に覚えている事になる。


 ミオさんが営業成績No.1なのは、力がたくさん使えるからなんだろうと思ったけど、逆なのかな?

 営業成績No.1だから、色んな力を使えるようにならないといけなかったのか……

 なんか、卵が先か鶏が先か……みたいな話になってきたな……


「圭君? 圭くーん!」

「え、はい。なんですか?」

「いえ、何か悩んでらっしゃるようでしたので……私の力の事を悩まれていますか?」

「あ……その……」

「ごめんなさい……私が急に異空間とか使ったせいで、悩ませてしまったんですね……」

「そうじゃないですよ」


 僕が1人で悩んでしまっていたせいで、ハルさんが気にしてしまったみたいだ。

 ちゃんと最初からハルさんに聞けば良かったんだ。


「あの、ハルさん達って、自主的に新しい力を覚えていくんですよね?」

「え?」

「違うんですか?」

「いえ……まぁ、そうですね。自分にも使えそうなのは覚えたりもしますが……でも基本的には覚えませんよ?」

「え? そうなんですか?」

「私が色々使えるのは、暇だからです」


 これだけ色んな事をしているハルさんが暇?

 確かにミオさんはかなり忙しそうではあったけど……

 なんか、釈然としない……


「あの、暇なんですか?」

「多分私は、会社の世界の中の誰よりも時間があります。だから使えそうな力を覚えてるんです。他の同僚達は、特には覚えたりはしません」

「じゃあミオさんは……」

「ミオは、時間の使い方が上手かったんです。それに、生まれた時から"空間を操る力"がありましたからね」


 え? 生まれた時から空間が操れた?


「あのハルさん達って、生まれた時から使えたのは、"浄化の力"と"自分以外の存在に化ける力"なんじゃ……」

「あぁ、それは私の場合の話なんですよ」

「ハルさんの場合?」

「ごめんなさい、ちゃんと説明してませんでしたね。神社に向かいながらお話しますので、とりあえず行きましょうか。遅くなってしまいますし」

「はい、お願いします」


 ハルさんはそう言って玄関の方へと行ってしまった。

 確かにこのまま話していると、神社へ行くのが遅くなってしまう。

 話は道中でも出来るので、土地神様の神社へ行くため、僕は靴をちゃんとはいたハルさんと一緒に家を出た。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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