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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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久しぶり

圭君視点です。

 ハルさんの部屋の景色が歪んでいき、ハルさんが帰って来てくれた。


「ミオ、送ってもらった上に30分なんて……本当によかったんですか? お返ししますよ」

「問題ありません。ハル姉さん達の付き合い記念のお祝い金だと思っておいて下さいね」

「えっと……ありがとうございます」


 何の話だろう?

 お返しとかお祝い金とか……


「では、私はそろそろ失礼しますね。ハル姉さんの無事も確認できましたから。次からは、もう少しマシな連絡をして下さいよ。あと、無理をしないこと!」

「はい、本当にありがとうございました」

「ありがとうございました、ミオさん」

「いえいえ。これからも、お二人で楽しく過ごして下さいね」


 ミオさんが帰るみたいだったので僕も挨拶をすると、ミオさんはとても嬉しそうに笑ってくれた。

 そのまま何もない所に手をかざして、景色を歪めている。

 またこうやって、違う世界へ移動するんだろう。


「ところでハル姉さん。さっきの事ですが……」


 歪めた空間に入って行くのかと思えば、ミオさんはハルさんの方へと行き、耳元で何かを囁いていた。

 僕が聞いてはいけないことなのか? と、思っていると、


「ではでは~」


と、楽しそうに手を振りながら、歪みの中へと消えていった。

 何もなかったかのように、景色は戻っていく……


「ハルさん?」

「え?」

「大丈夫ですか?」

「はい。大丈夫ですよ」


 ハルさんはミオさんがいなくなった方を、呆然と見つめていた。

 心配で声をかけると普通に笑ってくれたので、大丈夫なんだろうとは思うけど、ミオさんに何を言われたのかは僕は聞かない方がいいのかもしれないな……


 不意にハルさんの部屋の時計を見ると、ハルさんが出ていってから、30分が経過していた。

 ミオさんが30分でハルさんが帰ってくると言っていたけど、本当に30分ピッタリで帰って来てくれたみたいだ。

 でも、そんなにタイミングよく帰って来れるものなのかな?


「あの、さっきミオさんが、30分経ったからハルさんが帰ってくるって言ってたんですが、こんなにピッタリで帰って来れるものなんですか? ハルさん、無理してませんか?」

「あぁ、私は何も無理はしていませんよ。ミオがそう言ったのは、私が30分で帰って来れるようにしてくれたのが、ミオだからなんですよ」

「ミオさんが?」

「この世界と他の世界は、同じ時間で流れていないんですよ。なので、仮にこの世界で1日過ごしたとすると、会社の世界では10日経っていたりもするんですよ」

「そんなに違うんですか!?」


 世界毎に時間の流れが違うというのは分かる。

 でもそんなにズレていたら、仕事をするのも難しいんじゃないか?


「もっと違ったりもしますよ。でもそれだと、色んな世界を行き来している私達は困るので、調整を担当してくれてる子がいるんですよ」

「調整できるんですか」

「はい、ちょっとお金のような物は必要になりますが……それでですね、今回で言えば私は会社に報告等諸々で、会社の世界には10日ほど滞在して来ました。それをこの世界では30分になるように、ミオが先に頼んでくれていたんです」


 だから30分ピッタリで帰って来れたのか……

 お金のような物が必要になるって事は、さっき言っていたお祝い金っていうのは、ミオさんがその調整にかかる物を払ってくれていたって事だったんだな。

 それにしても……


「10日、ですか……」

「はい。なので圭君、お久しぶりですね!」

「そうですね……」


 僕にとってのこの30分は、ハルさんにとっては10日経った事になっている……

 こういう事も受け入れていかないといけないんだ……

 ミオさんにも言われたけど、僕はもっと、ハルさんが普通の人とは違う存在だということを、しっかり考えないといけないな……


「圭君? どうしました?」

「あ、いえ……会社への報告って、10日もかかるんだなと思いまして……大変ですね」

「本当ならもっとかかってましたよ。ですが今回はミオが先に話を通してくれていたみたいで、大分スムーズに終わることが出来ました」

「そうなんですね」


 10日でも早い方なのか……


「ただ、各部所に報告に行く度に、その……か、彼氏ができたのかーと、茶化されて……」


 少し照れながらそう説明してくれるハルさんは、本当に可愛い……

 あのからかい好きのミオさんの事だし、きっと脚色された感じで会社の世界には伝わっていたんだろう。


 あれ? でもそれって、ミオさんはまだ僕と会ってもないのに、会社の世界で僕の話をしてたって事だよな?

 ミオさんはさっき、僕の心を読んで、僕がこれからもハルさんと共にいてもいいのかを判断したって言っていたけど、ここに来る前に、会社の世界で僕の事を話していたのか?

 まだ僕を認めてなかったのに?


 もしかしたら僕が認めてもらえずに、ミオさんに記憶を消される事になっていた可能性があるのに、会社の世界で僕の事を話していたなんて……

 ミオさん……本当によく分かんない人だな。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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