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この世界はゲームなのだろうか?  作者: 油人間
0章 はじまりのはじまり
3/17

イデアル


「ーーッテ、ーーネェーー」


ちっまたあいつか、もう二度と話したくないんだよ。どっかいけよ。


「--ッて、ねえ起きてってばぁ」


あれ、なんかあいつの声と違うぞ?てか誰だ?


「もう起きてるでしょ、目を開けてよ」


気になって目をこすりながら起き上がって声の主を見てみると絶句した。


まず目に入ったのは光に照らされてキラキラ輝く黄金色の髪で、腰くらいまでのびていてお嬢様感があった。


次に目に入ったのは顔だった。キリッと意志の強そうな目の形をしていて中にはルビーのような真ん丸な目が埋め込まれていた。

そして……ダメだこれ以上語ってもうまく表現できる気がしない。

とりあえずバランスの整った「綺麗」って感じの美少女だった。

最後に見たのは胸だった。

ほら、男だったら気になるのは顔→胸って感じじゃん?だから本能に逆らえずつい見てしまったというか……誰に言い訳しているんだ?僕は


そんな感じで彼女のことをガン見していると


「初対面の人をそんなじろじろ見たらいけないでしょ。あと、視線が胸によってるのわかるもんだからやめてよね。」


彼女は少し頬を膨らませながら、少し大人びた感じの声でそういった。


「はい、すいませんでした。」


どう考えても僕が悪かったし嫌われたくないので素直に謝ることにする。


「とりあえず互いのことを知ろうとしないとね。

私の名前はイデアル、よろしくね。君は?」


久しぶりにこんな美少女と話すから緊張するかと思ったが、美しすぎると逆に冷静になることがわかった。

ただ流石にため口は無理だ。


「僕の名前は空野 水斗 よろしくお願いします?」


いまいち状況がつかめないので疑問形になってしまった。


「とりあえず僕がいまどうなっているのか教えてくれませんか?記憶があやふやで」


あの謎のくそAIに聞きそびれた「蜂が切られた後どうなったか」を聞くことにした。


「始まりは地面が揺れたことだった。大きな地震だったからみんな避難を始めていたらモンスターに襲われたんだ。

そこで私は避難誘導をやめてモンスターと戦ってたんだけど切っても切っても数が減らなかったんだ。

そんなんじゃ埒が明かないからモンスターを殺しながら進んでその原因を突き止めることにしたの。

あまり強くないモンスターだったけど、当然戦闘能力が低い人たちはたくさんいるし被害は発生しちゃうから減らさないとね。


そうしてモンスターの量が多いほうに多いほうにと進むと道路の真ん中に遺跡の入り口みたいなものがあったの。

そんなところに遺跡はなかったしこれが怪しいなと思っていたらポイズンビーが出てきて確定したわけ。


私たちは一回入ってみることにしたの。

当然危険なことはわかっていたけれどこれを放置したら何が起こるかわからなかったから入らないといけないと思ったんだ。


中に入って探索していると

「たすけて」って声が聞こえたからそっちの方に走っていったら君が今にも殺されそうだったから助けたの。

そこで私たちのパーティーの 治療士(ヒーラー)ちゃんに解毒と治療をしてもらったのだから今君は生きているんだよ?

それでひとまず安心となったんだけどその子が「流石にさっきまで重体だった人をほっておけません。」ていって、君を連れて私が居候している治療士ちゃんの家に来たって感じ。」


彼女のいうとおり雑な説明だった。そのせいでよくわからない。

だがそんなこと思っても仕方ないので情報を整理する。

おそらく僕がゲームの中に入った瞬間にこの「謎の穴」が出現したということ、そして僕は安全なところに連れてきてもらえたということあと……


「ところで悪いんだけど、今から騎士団のところに行かないといけないからついてきてくれない?」


僕が情報を整理して必要なことを抜き出していると、唐突にそんなことを彼女は言った。


「えーと……とりあえず理由くらいは教えてくれないかな?」


驚きのあまりため口が出たが、騎士団とかいう物騒なところに行かされるのあまりに怖すぎる。

だって身に覚えがないのに警察から「ちょっとお話しできる?」と聞かれるようなものだぜ?


「あっごめん、君は今、モンスターの疑いがあるんだ。」


いきなり美少女からあの「蜂」や「獣」と同じ扱いされる気持ちがわかるだろうか?いや、わかってたまるか。


「勘違いしないでね。

私は「言葉も通じるし、大丈夫だよ。」って言ったんだけどみんなが「たすけて」なんて聞こえなかったって言うんだ。

だから言葉が話せて理性があるかどうかチェックするだけ。

だから安心して。それにあの人いい人たちだし。」


それだけなら大丈夫かな、という安心感とモンスター扱いされないかなという微かな不安感を持ちながら彼女について行こうとして動かなかった。

僕は彼女にどうしても聞きたいことがあった。


「すいません、一つだけ聞いてもいいですか?」


薄々かんづきながらこういった。


「僕を助けてくれたのって君だよね?」


彼女は少し困惑した声で返答した。


「そうだけど?どうしたの」


おそらく彼女にとって僕を助けてくれたことはなんてことのないことなんだろう。

そうわかったけれど、だからといって脅威が消え去ったときの感謝が薄れるわけではない。

僕があの絶望に打ちひしがれていた時に、光を差し伸べてくれたあなたに伝えたいんだ。


「助けてくれてありがとうございます」


「どういたしまして」


彼女はひまわりの花が咲いたような笑みを浮かべながらそういった。

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