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この世界はゲームなのだろうか?  作者: 油人間
1章 自由
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魔法 パート1

今日もオリビアの機嫌はあまりよくなさそうだ。

そんな気まずい食事を続けたくなかったノロノロとご飯を食べているイデアルと対照的にささっと食べた。

そして食器を台所に運ぶために立ち上がったときに


「魔導書ってどこにあるの?」


と聞いた。取りに行かないだろうし、それなら立っているときに終わらしておきたい。

それにオリビアは


「となりの部屋の本棚にあるけど、しばらく使ってなかったから埃まみれだと思うしちょっとまってて。」

と扉を指差しながら言い、ご飯を食べるペースを早くした。

もうほとんど残っていないのですぐに食べ終わるだろう。


僕は暇なので「先に行ってくる」と言って隣の部屋に移動した。


◆ ◆ ◆


その部屋は綺麗だったが、物を入れる物の量が多すぎてどれが本棚かわからなかった。

われこそが本棚である、みたいなやつがあれば楽だったのに……。


とりあえず一番近くにあった扉を開くと、それはクローゼットだった。

一応中を確認しようとしたが、服がたくさんかかっているせいで探しにくかった。

底の部分に箱があって中に本が入っているかな、と思い下を見るとあらゆるものが散乱していてゴミ屋敷の床を形成していた。

見てはいけないものを見てしまった気がしてそのクローゼットを閉じた。


そんなことをしているととなりの部屋から


「イデアル!!そんなにゆっくり食べても勉強の時間は短くならないからね!!

その分夕食を遅らせるわよ⁉」

という怒鳴り声が聞こえた。


そのちょっと後、オリビアが入って来て


「あの子ったら大人なのか子供なのかわからないわ、あんなことしても意味ないってわかっているはずなのに。」


確かにそうだ。それよりもなぜあなたはそんなにオカン感がすごいのだ?本当にフェアリーですか?

なんて思っているとオリビアが何かの扉を開いた。

どうやらそれが本棚だったみたいだ。


彼女は中から何冊か取り出し、手に持っていたはたきでパタパタした。

そんなものもあるんだ~、と思っているとオリビアはすぐに扉を閉めた。そして


「今のは忘れてあげてね、イデアルは掃除がちょっと苦手な子なの。」

なんとここはイデアルの部屋だったのか。確かにぱっと見はきれいだし、女の子っぽい感じがする。

なぜこの部屋をイデアルのだと思わなかったんだっけ?クローゼットの中にはかわいい服がたくさんあったし確か……これは封印した記憶だ。

僕は彼女の面子を保つために


「何のこと?」

といった、頑張って知らない振りしたがオリビアには白々しく見えたのか


「もうちょっとほかの言い方があると思うけど、やさしいね。」


と言われた。


◆ ◆ ◆


そこからはリビングで勉強会となった。

イデアルの目は死んでいたので、もうそっちを見ないことにした。

僕のためにやってくれたことだし、ありがたかったが彼女は少し罰せられた方がよいと思う。

そう切り替えて本の内容に入る。


それを読んでわかったことはイデアルとかウィンドは感覚派だったということだ。

本では彼らに比べたら論理的に説明されている。


僕は「魔素」というものがあると前提にすれば分かりやすかった。

この世界には魔素が空気中を漂っており、私たちは空気とともにそれを取り込んでいる。

それをろ過する門のようなものがあってそれを通すことによって初めて「自分の魔力」というものになるらしい。

その後、その魔力は蓄えられて必要に応じて取り出されるらしい。


取り出される場合は大きく分けて二つあり、一つ目は体に循環させるときだ。

魔力を循環させると魔力を使った攻撃のダメージが減り、身体能力が向上するらしい。

僕がモンスターに襲われてあれだけ走れたのはこのおかげだろう。

そしてイデアルが化け物じみた力を持っているのはこの力のおかげと考えると納得でき、少しほっとした。


二つ目は魔法を使うときだ。

こっちはわかりやすい。インパルスを使った時を思い出せばよい。

そう考えるとウィンド式トレーニングもよかったのか? いや、流石にそれはないだろう。


ここら辺が基礎となってくるらしい。


次の章は魔法に属性をつける方法について解説していた。


どうやら無属性魔法以外は心臓の近くにあったタンクから魔力を取り出すだけではだめらしい。

魔力を取り出した後、それをそれぞれの属性にあった門に通すことによって変化するらしい。

人によってこの門の数と種類が異なり、それが適正となるらしい。


要するに門には三種類あり、それは「魔力を精製する門」と「タンクから魔力を出す門」、「魔力を染め上げる門」である。

魔力を精製する門が大きければ魔力の回復速度が速くなり、タンクから魔力を出す門」が大きければ大きな魔法を使える。

無属性魔法以外は魔力を染め上げる門の大きさも魔法の規模にかかわってくるーーそんなところか。


他にも門を大きくする方法やタンクを大きくする方法などが書かれていたが端的に言えば「魔法をたくさん使おう」だった。

まだまだ知られていないことが多いようだ。

例えば属性魔法への適性だ。

魔力を染め上げる門は火、水、土、風、光、闇の六種類とされてきたが、もっと少なかったりもっといろんな種類があるかもしれないらしい。


人の魔法を真似る魔法や、離れた場所に一瞬で移動する魔法なんかはどうやって使っているのかあまり詳しく知られていないらしい。


また、属性魔法が使えない人の説明として

そもそも門を持っている人と持っていない人がいる説や、門が小さすぎて魔力が通らない説などいろいろある。


その他にも魔法の使い方には詠唱式、魔法陣式などがありそれぞれメリット・デメリットがある。

詠唱式は言葉にするだけで楽だが、同じ魔法が出るとは限らず、消費魔力も安定しないらしい。

魔法陣式は作るのが大変だが、メリットは詠唱式の逆だ。

他にもさまざまな差があり……という感じだ。


本は魔法に関する知識をまとめただけ、という感じで正直分かりにくい。

教科書なんてくそだと思っていたが、思ったよりましなのかもしれない。


なんて思いながら本を読み進めていると、オリビアが


「そろそろ昼ご飯にしよう。」といった。


その声を聞いて顔を上げると、もう本を置いて台所に行ったイデアルの姿が見えた。

オリビアはそれを見て手を額につけながら自分が読んでいた本を閉じ、そちらへ向かった。と思ったら


「あ、水斗はどうする?」とオリビアが聞いてきた。


僕は「そっちに行っても仕方ないし、イデアルの手伝いをしてきて。」というと


「分かった、イデアルも昔は水斗みたいにちゃんと勉強していたのにーー」


と文句を言いながら今度こそ台所に向かった。 

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