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神秘の森 七話 対イノシシ

-- side my --


 さっきの場所から40メートルくらい離れた場所。

 小川はあった。あったんだけどそこには先客が水を飲んでいた。勿論人間じゃない。


 それは多分イノシシ。

 本物を見たこと無いから確信できないけれど・・・かなりでっかい。熊くらいありそう。って熊もそんなに見たことないけど、動物園にいるやつくらい大きい。


「イノシシかな?」

 小声でウイ兄がアタシに聞いてくる。

「たぶん・・・」

 まぁ、二人とも始めてみるしね。


 ちょっと離れた草葉の影から観察していた。


「その剣で倒しちゃってよ」

 なんか気軽に無茶振りしてきた。

 それに普通に剣って言ってるけど、見た目は剣というより、槍なんだよね。馬に乗って戦うランスってやつ。


「いきなりあんなでっかいイノシシ退治とか、ハードルが高すぎなんだけど。それにこれって槍じゃない?」


「ハッハッハッ、それはどう見ても剣だよ」

 自信満々に言い切るウイ兄の声は高らかだった。


 その結果、勿論イノシシに見つかるよね。


 後ろにはノン気に寝てるユウ。流石に置いて逃げるのはちょっとだけ気が引ける。

 もう本当に戦うしか無いみたい。


 こっちに向かって凄い勢いで走ってくるイノシシ。普通多勢に無勢なら逃げるんじゃないの?馬鹿なの?猪のくせに。


 槍の柄を両手で持って、前に突き出してみる。

 けれどイノシシは『ヒョイッ』っと回避したかと思うと。アタシにぶつかってきた。


『ドンッ』

 痛ッたー。近くにきたら予想より大きいし。死ぬかとおもった。でも、意外と平気かも。

 でもコイツ本気だ。

 殺らないと、殺られる。初めて感じる生命の危機。

 でも、こんな槍使い方も判らない。


「剣がだめなら魔法で攻撃すればいいよ!攻撃魔法は得意な方なんでしょ?!」

 またウイ兄が厨ニ臭い事を言い出した。この期に及んでそんな事を!


「ファイアーボールだよ!あとライトニングとかアイスボルトとか!そっち系のでヨロシク!!」

 何をヨロシクお願いされてるのか全然判らないけども、一緒に戦ってくれる気は無い様ね。

 いくら武器とか持って無いからって妹1人に戦わせるとか。ありえない。


 また突進してくるイノシシを槍を横にして受け止める。とりあえずなんとかしないと!頭に血が上ったアタシは魔法を唱える!


「ふぁファイアーボール!」

 その瞬間、槍から炎が噴出しイノシシを襲う!


 炎はイノシシの体毛を激しく燃やす。よっぽど熱いのか小川の方へ逃げていく。獣のクセに生意気な。

 川の水で消化されるともっとヤバそうな感じがするので、追撃を掛けることにした!手負いの鼠は猫を噛むっていうしね。


 槍をイノシシに向けアタシは叫ぶ!!


「ラララ、ライトニンッグッ!」

 槍の先から稲妻が迸り(ほとばしり)イノシシを捕らえる!


   『ドーーン』


 緊張と興奮と危機感でかなり噛み噛みだっただけ。別に歌い上げたわけじゃない。


 後には焼け焦げたイノシシが横たわっていた。





-- side you --


   『ドーーン』


「な、なに!?」

 すっごい音がしたから飛び起きる。

 まだ頭がクラクラするけれど、流石に今の爆発音は気になってしかたない。



 目の前にはウイと、パラチョコ剣を構えるマイ。なんかパラチョコ剣から煙が出てる。しかもチョコの部分から何やらパラパラ落ちてる。

 その向こうには、煙を上げる黒い物体。

 また、マイが何かやらかしたに違いない。


「アレなに?」

 黒い物体を指差しウイに尋ねる。


「イノシシかな?」

 察するに、マイがやらかして、イノシシが犠牲になったと。


「ふふん、アタシに掛かればザッとこんなもんよ。」

 自分の胸元に左手を添えて、自信に満ちたマイ。

 まぁ、あのパラチョコ剣から何か出たに違いない。ちょっと羨ましい。


「凄いよマイ、やれば出来るじゃないか。」

 マイの頭を撫でるウイ。ウイがマイを褒めるときに良くやるナデナデだ。


「そ、そんなことより、あの川の水飲めるかな?」

 なんか焦ってるマイが指差すほうには水の流れる音がしていた。


「イノシシが飲んでたし。大丈夫じゃないかな?」

 ウイ兄が言うんだから大丈夫だろう。ていうか、喉がカラカラだったんで早く水分を摂取したい。


 マイが黒い物体の横まで歩むと、槍でツンツン突っついてる。一応死んでるか確認してるっぽい。

「大丈夫・・・かな」


 その言葉を聞いたウイが俺の脇に手を回し、立ち上がるのを手伝ってくれる。

「水を飲もう」


 そのまま黒い物体の横を通り過ぎ、小川までたどり着いた。

 獣の焦げ臭い匂いが充満してるけど、とりあえず今は水を飲むのを優先しよう。


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