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神秘の森 六話 水を求めて

-- side you --


 なんでマイは学ランの上から下着を着てるんだ?

 まぁ、マイの考えることなど、俺に理解できるわけがないか。


「これ・・・外し方・・・外して・・・どうしよう・・・」

 マイの顔がだんだん白くなってきた。汗も凄いことに。何がそうさせてるのやら?


「え?凄く可愛いのに?」

 流石は長兄。妹に対する気遣いが半端ない。しかもかなり真面目な顔で・・・

 学ランの上から女性用の下着を着てるのに可愛いとか。普通なら正気を疑うレベル。


「下に・・・下ろして・・・もら・・えない?」

 パンツを指差して訴えるマイ。このド変態め。とうとう正体を現したな。

 俺は三歩後ずさる。


「ふむ」

 ウイがパンツに手を掛けて下ろそうとする。ま、まじか!?

「無理っぽいね」

 流石に男の娘とはいえ、変態プレイはお好みじゃないようだが、本気で妹のパンツを下ろそうとするその姿に、狂気を感じかけた。


「装備解除してみたら?」

 ウイが厨ニ臭いことを言い出した。意味は判らないけど、確かに変態プレイにはその程度の対応で十分だ。流石は長兄。良い切り替えし。正気を失って無いことに安心さえ覚える。


「装備・・・解除って・・・何・・・?」

 マイよ。その疑問は尤もだけど、お前の変態プレイに付き合いたくないだけだろ?判れよそれくらい。


「装備解除は装備解除だよ」

 人差し指を立てて自慢げに言ってる。しかもドヤ顔で。


『ドンッ』


(うぉ!)行き成りマイの下着が脱げた。ていうか落ちた。しかも地面に刺さってる・・・下着って地面に刺さる物なのか?

 錘の付いたリストバンドの下着版か何かか?本気の強さを見せる前兆か?


 膝から崩れるマイは息がやたらと荒い。変態の息遣いはキモイものだけど、姉のこんな姿は見たくなかった。


「せっかくの可愛い鎧なのに・・・」

 ウイにはこれが鎧に見えるのか?

 どう見ても下着だろう?百歩譲って水着のビキニだろ、しかもキワドイ方のやつ。


 いや待てよ、そうか!女子力高めのウイには乙娘補正(おとこほせい)でコレが鎧に見えてるのか。流石は長兄。レベルが高すぎて騙されるとこだった。

 それに良く見たら銀色。そんな下着は無いよな?無いよな?だから消去法で鎧か・・・流石は長兄。頭の回転が速すぎるぜ・・・

 いやでも水着の可能性も・・・いややっぱりここはウイを信じるしかあるまい。


「服の中に着れば大丈夫じゃないかな?」

 正論すぎるな。むしろ学ランの上からソレを着ようと思ったマイがおかしい。

 いや、あれか?長袖の服の上からTシャツを着るやつ。そう考えたらアリなのか?


「それは無理。絶対無理。そんなの着けれるわけが無いじゃない。」

 狼狽えるマイ。

 じゃぁなんで着たんだよ?って思うけど、キワド過ぎて無理だよな。これは。


「じゃぁユウが着てみたら?」

 ウイが何か言い出した。


「は?」

 何言ってんだコイツ。どこに『じゃぁ』の要素を見出したんだ?

 硬派で漢気溢れる俺様が、なんでそんな女性の下着モドキを着ないといけないんだ?

 あぁアレか?内面が無理なら外見から男の娘にするつもりか?なんて言う勧誘上手。

 やっぱり俺とマイの服を交換したのはウイに違いない。もう間違いない。


 ウイがビキニセットを拾い上げて、俺に渡してくる。『ホラホラ、受け取れよ』って感じで。

 顔がドヤ顔なのがなんかムカつく。


 地面に刺さるほど重そうなのに、軽々と持ってやがる。まぁ見た目は女子でも、中身は男子ってことだな。


 勿論、俺はノーサンキュー。

『いらない、いらない』っと押しのけた、つもりが触った瞬間消えてなくなった。なんだ?マジックか?


 次の瞬間、俺の身体がちょっとだけ、ホンのちょっとだけ重くなった気がした。

 俺は恐る恐る自分の身体を確認する。


 あれ?いたって普通のセーラー服姿でした。ホッと一安心。まぁ白いコンクリと血でベトベトなんだけどね。


「ぅふふふ、ユウは気に入ったみたいだね。」


 ウイの言葉に何か嫌な予感がするけども、ホッとして気が抜けたせいかフラフラしてきて、凄い眠気が襲ってきた。

 横になれそうな場所を見つけて腰掛けると、一気に意識が遠くなっていった・・・





-- side my --


「ぅふふふ、ユウは気に入ったみたいだね。」


 ウイ兄がビキニアーマーをユウに手渡した瞬間、消えてしまった。

 まぁあんな物、消えて無くなってしまった方が世の中の為になるわね。


 しかし、この件でアタシは確信してしまった。股間のアレはナニであると。

 そう、アタシは何かの拍子で男になったようだ。


 三つ子の内、アタシだけが女なのは変だな?とは思ってはいたけれど、まさか今更、男に覚醒してしまうとは。世の中不思議なこともあるものね。

 でも、あの股間の痛みは噂以上の激痛だったなぁ。


 なんて生命の神秘に思いを耽っていたら、行き成り地面に眠りだすユウ。こんな森の中で爆睡とか、どんだけ神経図太いんだか。


「ユウはよっぽど疲れたみたいだね。」

 横になったユウを見下す(みくだす)ウイ兄。流石に呆れているようね。

 そういえばユウはかなり流血してるんだった。めっきり忘れていた。


「喉も乾いたし。ユウの服も汚れてるし。水場でもないかな?」

 こんな森の中だし。小川くらいあるんじゃないかな。ユウの服はアタシのセーラー服だし早く洗いたいしね。


「向こうの方から水の流れる音がしない?」

 ウイ兄が指差す方角を見る。水の音どころか鳥の鳴き声も・・・あれ?水の流れる音がしてきた。

 でも、さっきまで何の音もしてなかったような・・・。まぁ気にしても仕方ないよね。

 とりあえず、喉も渇いたし水を探してみよう。


「小川でもあるのかな?行ってみようか。」

 立ち上がって先を急ぐアタシ。勿論パラチョコ剣は忘れない。森の中の小川の水とか超美味しそう。


「ちょっとマイ。ユウを運ぶの手伝ってよ。」

 うぐ。流石に寝てるユウをここに放置するのはマズいかな?マズいよね。

 ウイ兄の反対に周り、ユウの脇から手を回し抱える。


「!?」

 なんか、服の下に異様に硬い物がある・・・

 ユウは細マッチョで筋肉質ではあるけれど、こんなに硬い物なのかな?まるで金属のよう。


 まぁどうでもいいか。今は水が飲みたい。


 以外と軽いユウを二人で引きずりながら、水場を探す旅に出ることになった。



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