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プロローグ いつもの白い場所

初投稿なので、いろいろ大目に見てください。よろしくお願いします。


 白い靄の中。真っ白い視界の中、オレはそこに在った。

 何も見えない。ただタダ白い世界。

 何時から居たのか。何時まで在るのか。時間の感覚さえまるでない。

 ふわふわとした浮遊感だけがある。


 それは突然やって来た。その圧倒的な存在感を放ちながら。だがやっぱり姿は見えない。あえて言うなら、その部分の光が濃い気がする。

 そして話し掛けてくる。


『★ী △ω■◇ΰ□☆Φ▲∵ இ ◆θ〇ё●▼ώ ৌ ۞』


 圧倒的な存在がそうオレに話しかけてきた。その声圧で吹き飛ばされそうになる。


 はい?何?何人かの声が一斉に話し掛けてきたが、よく聞き取れんかったのだが……。順番に言ってくれよ。まったく。


『お前には三つの選択肢がある』

『1つ、本流に還る』

『1つ、・・・・・・』

『1つ、・・・・・・・』

『デフォルトは[本流に還る]だ』


 ちゃんと順番に言ってくれたし、想いは伝わるものだな。ていうか何でボソボソ声なんだよ。威圧感のあるボソボソ声って何だよ?

 オッサン声が5人。まぁ姿が見えないのでオッサンかどうかは分からない。

 しかし最初の発言とは明らかに違う言葉なのだが……。


 そもそもその選択肢とは何の事だろう?ていうか選択させる気ないよな?お前ら誰だよ。考えてもわからんし[デフォルト]を選択するべきなのか?正直わからん。さっぱりだ。


 などと思考を放棄していると、オレとは違う[別の存在]を不意に近くに感じた。懐かしいような、そうでもないような。オレと近いような遠いような存在。





 そして、同じ様な選択を迫られている。


『アナタには三つの選択肢があるわ』

『1つ、本流に還る』

『1つ、元の世界に帰る』

『1つ、別の世界に替える』

『オススメは[別の世界に替える]ね。うふふふ』


 声質の違うお姉さん声が5つ、[隣の存在]にゆっくりと優しく話しかけている。威圧感など微塵も感じられない。

 お姉さん達の姿は見えないが、きっと美人に違いない!オレは確信を得ていた。これほどの美声の持ち主が不細工なわけがないのだ。オレは知っている。


 質問とか選択内容はオレと一緒なはずだよな? オッサンたちちゃんと仕事しろよ。


 ていうか、ダブルブッキングかよ。こういうのは1人ずつするのがセオリーじゃないのか?


 すると[隣の存在]は即座に言い放った。


「別の世界にいきたいわ!最強の剣と最高の魔法で■◇◆や●∩◎を倒しまくるのよ!

 魔法は火と水と光と……いいえ違うわ、全属性・全魔法使えるのよ!しかもレベルMAXで!それで『何属性が使えるんですか?』とか尋ねられたら『全属性かな?』とか、恍けて返答するの!フフ。魔力も底なしで何発撃っても大丈夫なのよ!

 剣は総てを貫く最強のやつ!刃こぼれもしない。一番いいのを頼むわ!!

 鎧はピンクと銀色の可愛くてラブリーなやつ。でもすごく硬くて丈夫。どんな攻撃にも傷一つ付かないのよ!

 あとはアイテムボックスよね。でっかいドラゴンでも何匹も沢山入るのよ。で『アイテムボックス持ちか……』とか『どんだけ入るんだ』とか言われるの!フフフ

 言葉は全部ペラペラよ。読んでよし。書いてよし。発音も超綺麗!

 そして髪の毛はピンクよ!少女主人公の魔法使いはピンクこそが王道!むしろそれ以外は邪道。

 そしてやっぱり恋よ!恋愛よ!素敵な出会いが沢山あるの。ヘヘヘ。やんちゃ系。堅物系。クール系。正統派。いろんなタイプのイケメンが迫ってくるのよ。アタシのピンクの魅力にメロメロになるの!ショタもいいわね。グヘヘヘ」



 などと言ってる。なんで三つの選択肢からそこまで発想が膨らむんだ?しかも意味不明な言葉が……というか、そんな注文が通るのか?


『欲張りさんね』

『でも流石に1人分では……』

『足りないかな?足りないよね?』

『善処しましょう』

『うふふふ』


 通るんだ……

 ならオレもちょっとお願いしてみようかな。


「お姿が見えないのですが、見えるようにして貰えたらなぁ……」




 うぅ、返事がない。無視かよ。じゃぁ別の注文を


「魔法を」


『却下』

『不可』

『無理』

『言語道断』

『自重しろ』


 問答無用かよ!


 ウグッ。隣のお姉さん達とは対応が違いすぎる……こっちのオッサン達はオレの要求を受け付ける気がまったく感じられない。姿は見えないけど気配でビンビンそう感じる。

 むしろ[デフォルト]以外の選択が不可能なのではないだろうか?とさえ感じる。そして[デフォルト]はかなり地雷な気がしてならない。

 な、何か良い案は無いか?いっそオレの担当も隣の優しそうなお姉さん達に変更してもらえないだろうか……。そうだ!そう考えると、それしか抜け道がない様な気がしてきた。


「と、隣のお姉さんとチェンジしてもらえませんか?」


 よく考える前に言ってしまっていた。これは絶対オッサン達怒るよな?怒っても仕方がない。担当変えろって言ってるんだ。オレがオッサンなら怒るわ。まぁオレはオッサンじゃないけどね。


『運命の交差か』

『理解不能だ……だがそれもまた……』

『業が深いな』

『よかろう』

『では去らばだ』


 あれ?あっさり受け入れられたよ。よかったよ。わけのわからん場所に強制送還とか洒落にならんしな。

 圧倒的な存在感はオレのそばから消えて無くなった。ホッと一安心。

 ということは、この後は隣のお姉さん達の順番待ちかな?なんて希望を胸に膨らませていたら、オレの意識は遠くなっていった。


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