神秘の森 十一話 お団子? お花? キノコ?
-- side you --
「お団子ツインテールにな~~れ~ぇ~ぇ~」
「ちょ!まっ!」
うわ!頭の中と上で何か動いてる。寄生虫でも這ってる感じ。全身に鳥肌まで走る。マジできもい。
寒気が凄くて、言葉も出せない。せめて確認を取ってからしろよな。
しかも、選りに選ってツインテールとか。嫌がらせ以外の何物でもない。
「うん。ユウにはツインテールがよく似合うね。」
何時にも増してニヤついているウイ。これはさっきの肉の仕返しか?処肉を譲ったのに。
でもあれ?左右のバランスが取れて意外といいかも?
まぁ今は髪も切りようがないし。我慢するしかないかな。
「でも、ピンク髪のツインテールとか、アタシの主役ポジションだと思うんだけど。」
マイがまた意味の判らん事を言い出した。
まぁあんまり気にしてなかったけど、今のマイって髪も短くなってるし男に見えるんだよね。三つ子補正って奴かな?髪が短くなっただけで、俺に似るんだよね。
「マイは男の子なんだから、ツインテールは似合わないんじゃないかな?」
俺だけじゃなく妹まで男の娘への道へ勧誘し始めるとは・・・。
ていうか、ツインテールが俺が似合って、マイが似合わないとか。ウイの感性がヤバい方向に向いてる気がする。
「うぅ・・・やっぱりウイ兄にはバレてたか・・・」
「は!?」
「まぁ、流石にね。」
「え??マイって男だったのか!?」
くっそ、今まで気付かなかった俺ってどうよ。しかも自分で流石って・・・流石は長兄。
もしかして、俺達って三兄弟だったのか?今までマイは女装していて、女の子っぽい部屋にいた?オカマ野郎だったのか!?
いや待てよ、確かに思い当たる点がいくつもあるけれど。でもそれは・・・いやしかし・・・。
三つ子で1人女って言うのも変な気もするしな・・・。
という事は、長男は男の娘で、次男はオカマ野郎で、今の俺はツインテールでセーラー服とか・・・。学校に行ける気がしねぇ。
あだ名はオカマ三兄弟で決まりだな。オカマ三姉妹よりマシか。いいや全然マシじゃねぇ。
あぁ、なんだか俺の漢気が枯れ果てそうだ。
-- side my --
さっきからユウがビクビクしたり、プルプルしたり落ち着かない。
そんなにお団子ツインテールが気に入ったのかな?男子ってツインテールが大好きだしね。
それともアタシが男に覚醒したと知って、自分の存在意義に自信をなくしたのかも?
あぁ、お花を摘みに行きたくなったのかな?水いっぱい飲んでたしね。
アタシもさっきからお花を摘みにトイレに行きたかったんだけど、ちょっと勇気が足りないんだよね。
どうやってやれば良いんだろう?自分のモノとは言え、乙女には難易度高すぎる。
どっちかお手本を見せてくれないかな?
まぁ、誘うならユウかな。まだプルプルしてるし。
「ねぇユウ、一緒にお花を摘みに行かない?」
「お花って、この辺に花畑でもあるのか?ていうか、今、花が必要か?」
こいつ意味が判ってない。『お花を摘む』って、女性がトイレに行くときの隠語なのに。
でも、ウイ兄は知ってたみたい。爽やかな笑顔で言い放つ。
「じゃぁ、ボクはキノコをモギに行こうかな。」
あぁなるほど、男性はそう言うんだ。勉強になるね。ちょっと恥ずかしいけど、男に覚醒したし慣れないとね。
「いっしょに行く?」
と、ウイ兄も誘ってみる。
「いや、ボクは離れた場所を探してみるよ。」
なるほど。大きい方もやると。流石に一緒はいやだよね。
「ちゃんとここで待っててね。何かあったら大声で叫んでね。」
そう言い残してウイ兄は急いでどっかにいってしまった。多分限界がオーバーしそうなんだ。
意地悪して跡を追うのもなんだし反対方向に行って見るかな。
「じゃぁアタシも行ってくるね。」
「お、おぅ」
焚き火に薪をくべるユウを1人残して、アタシはキノコをモギに行くことにした。