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どうも、ただの背景です

今回こそは頑張りたい。

やぁ、みなさんこんにちは。

俺だよ、あれ?どこにいるかわからないって?

ここだよ、ここ、ここ。

橋の下の川だよ。


そう、そこを覗き込んだら一匹の小さな名もなき川魚がいるだろ?

それが、俺さ。


まぁ、名もなきとは言ったが、俺は呼ばれていないだけでしっかり名前がある。

メダカって言うんだ。


聞いたことないって?そりゃそうだろう。

ゲームの中では人間とモンスターが争ってばかりで、川に目をくれるのは物好きぐらいだ。

俺たちメダカは味もたいしてうまくないらしいしな。


ここではあんまり流行ってない釣りですら、アイテムとしてすらも出ない。

いわゆるただの背景って奴さ。


たまに視界の隅に映る。

そんな存在。


でかい魚に食われるだけの人生と嫌だろ?俺はここから出て街の中を歩いてみたいんだ。

モンスターとして、人間と戦ってみたいんだ。

だから、俺は進化する事にした。


メダカの進化系知ってるか?知らねぇだろう。

進化すると鯉になるんだ。


まぁ、釣られるレベルにはなれる。

次が確かヌシで、そこから陸上に這い出てヒトクイウオというモンスターとして晴れてデビューできるわけだ。


メダカから鯉まで行ったやつは見たことあるが、そこから先は見たことがない。

寿命でみんな死んじまうんだ。俺は三ヶ月なんだが、あと一年程度でこの俺は死んじまう。


進化すると、寿命はリセットされる。

確か、鯉では十年生きることができる。そこからの進化はかなり難しいらしいな。


とりあえず、進化するには条件がある。

まず、一つ目。レベルが20になる事。

二つ目。サイズが、十センチを超える事。これがきつい。

なんせ、メダカはそんなに育つ種族じゃないんでね。


普通に生きてたら絶対に無理だ。レベル上げると一ミリ増えるんだが。

今俺が六センチ。同族ではかなりでかい方だ。

鯉になろうとしてる奴を除いてな。今、俺はレベル十七。レベル五十七にならなきゃならねぇ。


これを達成するには命を奪うしかない。

生命を奪う事でしか成り上がれないんだ。

自分より強いものを殺せばより、経験値がもらえる。


俺のレベルはプランクトンとか藻を食って上がった。普通にいけばまぁ、徐々にレベルの上がりが悪くなるから、鯉にはなれない。


なので、俺は今日。


エビを殺す。


エビってのは硬い鎧に覆われたモンスターみたいな奴だ。

鯉を釣る時の餌に使われるが、メダカと比べると同じくらい。レベルの高いエビは三十センチとかになるらしいな。

もはやモンスターじゃねぇか。


そして、俺は川の中を縦横無尽に泳ぎ回った。プランクトンをむしゃりつつ。苔や藻を荒らしつつ。


見つけた。


大きさは俺よりかなりでかい。十センチはあるか?ハサミもついてて、下手したら俺がやられるな。


だが、今回俺には秘策がある。


まず、奴の目玉を食いちぎる。

なんでもないふりをして、すいーっと近づく。

そして、急加速。全速力で、目玉を食いちぎる!!

プチプチとした感触が口の中に広がる。

怒り狂ったエビがハサミを振り上げる。


さて、ここからどうするか。


まず、相手は目が見えてないので、足を一本ずつ食いちぎる。

足をむしゃりつつ、ハサミも動けなくなったところを食いちぎる。


そして、突きまくるとテレレン!!!!という音がなり、レベルが上がる。レベルが一気に六十に上がった。

倒した敵が図鑑に登録される。

図鑑ってなんだって?なんか、倒したらつくんだよね。

ヌマエビ川の生き物強さランク圏外。討伐最大レベル五十。

つっよ。


そもそも、メダカは自分よりでかいエビには勝てない。基本的に。だから、納得できるレベルアップではある。


まぁ、あともう一つ進化条件があるんだが。

最後の条件は、自分よりでかい相手を食べる事。

なので、このエビを完食しなければならない。


俺は、エビをひたすらに食べ続けた。

月が登り、また日が上がった時、俺は進化の時を迎えた。





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