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妖怪フルスイング  作者: パプリカ伯爵
14/17

その十四 友達の正しい使い方。

友達って言葉すごい好きな人って居ますよね。中学生の女子とか。


「待てぇぇぇええ!このクソ狸ぃ!!やっぱ全然知らない奴だったぞ!!!」

先に走り出した権兵衛に追いつき捕まえようとする善人。その後ろでは大蜘蛛が奇声を上げながら近付いている。


「あれ?そうだったの?ごめん、おいら長い間茶釜に居たから今時の若い人皆同じ顔に見えるんだよ〜、ホントごめん。」迫り来る腕を器用に避けながら、後ろを見もせず走り続ける権兵衛。


「まず人じゃねぇよ!!!言葉全く通じなかったぞ⁉︎何だよキシャーって何語だよ!蜘蛛語なんて習った事ねえよ!」めげずに頭を掴もうとしながら必死に走る。


「ホント?え〜、もう寺子屋で蜘蛛語を教えなくなったんだ〜!へ〜、な〜んだ、そう言う事なら先に言ってよ〜。おいら勘違いしたじゃん。」全くもう、と白々しく言いながら更にスピードを上げる権兵衛。いつの間にか二足歩行になり腕を大きく振っている。理想的なフォームである。


「ちょっ、お前何普通に走ってんだよ!狸が二足歩行出来るなんて聞いた事ねぇぞ!おいっ、スピード緩めろよ!」若干離されそうになるも中学までの部活動の日々の賜物か、何とか追いすがる。



「キシャーーー!!!」また後ろから声が聞こえたかと思うと、一人と一匹は地べたに叩きつけられた。


「いてて、今度は何だよ。」善人は立ち上がり、蜘蛛の方向を見る。


「ギギギ!」蜘蛛の口から出ている糸に5mほどの木が付いてる事から、どうやらあれで殴られた様だ。



「ほら、ゼンが無視して逃げたから怒ってるよ。謝ろう、今ならたぶん蜘蛛山くんも許してくれるよ。」権兵衛が顔を引きつらせながら善人の上着を引っ張る。


「誰だよ蜘蛛山くんって、無理やり擬人化しようとすんなよ。もう俺だって分かってるよ、あいつも妖怪なんだろ?」善人がバットを構えながら返す。


「やっぱり気づいてたんだね。そうだよ、あいつは土蜘蛛って言って大昔からいる妖怪なんだ。」権兵衛が善人の後ろに隠れながら言う。


「そうか、有名な奴なんだな。弱点は知らないか?」ジリジリと間合いを取ってくる土蜘蛛に警戒しながら権兵衛に尋ねる。


「うんとね、虫だからやっぱり火が苦手かな?あとは力押しだね!」善人の背中に登り目線を高くする権兵衛。


「火か、ライターとタバコはさっき落としてしまったからなぁ。力押しっつってもあいつにバットは聞かないだろうし……。なぁ、お前のさっきの石のヤツ、あれは使えないのか?」振り向き権兵衛に尋ねる善人。


「使えるけど、正直言うとおいら封印が長過ぎて力があんまり出ないんだ。」ごめんね、と呟く権兵衛。


「そうか、ならどっちかが囮になるしかねぇな。」ガシッと権兵衛の頭を掴む善人。ミシミシと言う音が聞こえる。


「そんな、ひどいよゼン!僕たち友達じゃないか!」権兵衛が善人の腕を離そうとジタバタするが、全く効いてない。理想的な友達と言う名詞の使い方である。


「その友達を先に裏切ったのはお前だろ!いい加減往生際が悪いぞ?妖怪同士なら話し合いで解決するかもしれんし、ほら、がんばれ!」背中から引き剥がした権兵衛を前に持って行き、土蜘蛛を見せる善人。


「あいつら話なんか通じないよ!そんな事よりゼン、早く退魔の力使ってやっつけてよ!」更にジタバタする力を強め、権兵衛が叫ぶ。


バコッ。

その体にボディーブローを入れ、大人しくさせる善人。次いで気になった事を尋ねる。

「退魔の力って何だよ、ブリンブリンになる力か?」



「えっ……?」権兵衛が素で聞き返す。






今井善人16歳、本日2度目の大スベりを発生。

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