ある朝、妹にネコミミ尻尾がはえてまして
ありゃ?おかしいな。提出するレポート書いてたはずなのにいつの間にか出来上がってるし。
ま、出来上がったものを放置するのはなんか失礼だし、アップします。
後、作者はこないだ初めてTRPGのキャラシート作ったずぶの素人です。
何かおかしいことがあったらごめんなさい。
「お兄ちゃんのバカー‼(ノ`△´)>」
「グハーッ‼」
兄の顔を殴る妹と殴り飛ばされる俺、そんな朝の一幕。
この文を読んだだけなら、只の日常の一幕にしかならない…………が、殴られている兄が握っているのは猫のしっぽ。それの根本は妹の腰のちょっと下辺り………要するに尾てい骨からきているとなると話は変わってくる。
殴り飛ばされながら俺、山本恭一はなぜこうなったのかを思い出していた。
今朝、いつも日曜に起きている9時前に目が覚めた俺は、朝飯を作るために自分の部屋から1回のリビングへと向かっていた。
今、うちには俺と妹の友紀の2人しかいない。
この週末は親父もおふくろも「結婚記念日だ~。だから私たち二人でハワイ行ってくるからお留守番よろしくね~」と書いたなめた置手紙を残して金曜からどっかへ旅行中だ。おそらく行先はハワイだろうが、あのウニとたわしを素で間違えるボケボケな二人のことだ。間違って鳥取の羽合に行っていてもおかしくない。
そんなボケボケな二人のもとでこれまで育ってきたせいで昔近所で定食屋をやっていたばあちゃんに料理を基礎から教わることになった俺は、そこら辺の主婦レベルの料理は多分作れると思う。だから俺がいつも飯を作る担当なんだが、日曜はさすがにゆっくりしたいので遅い時間に起きていた。
「あ、お兄ちゃんオハヨー。」
あくびしながらリビングに入るともう小4にもなる妹が女児向けのアニメをテレビにかじりつきで見ていた。
「おぅ。朝飯今から作るからちょっと待ってr…」
「ふ~。今日も良かったってお兄ちゃん?どうしたの私の方をがん見して。」
(落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着け。友紀の頭の上にネコミミなんてない。ないはずだ、あったらそれは人体の神秘を超えている。というかあれはジョークグッズかなんかじゃないのか?確かこの間浩二が無理やり見せてきたエロ本にそんなシーンがあったと思う。そうだそれに出てきた奴を友紀が使っているに違いない。なんでそんなことしているのか確かめないと。)
俺の親友の浩二は基本いいやつなんだが、エロ本収集が好きで、まだ俺らは14歳なのにどこかから18禁の本を学校に持ってきては先生に没収されると同時に説教を受けて喜ぶといった特殊な性癖としか思えない行動をとっているやつである。
前に一度ホームルーム中に前に出てきてすごいキメ顔で「人外娘ってやるには最高だよな。」と訳解らんことを言ってその場にいた全員の大顰蹙を買ったというあほである。その時、先生の説教のせいで俺らクラスメイト全員がその日帰れたのは、ほかのクラスの人達が帰った時間から2時間後だった。
で、だ。その浩二の横でジャ○プ立ち読みしてた時にいきなりエロ本を視界に差し込まれたことがあった。その時に描かれていた絵にネコミミと尻尾を着けた女の子が男とイチャイチャしてる様子が載ってたんだが、今の妹はまさしくそんな感じの格好である。…尻尾が生えてるかはまだ確認してないけどな。生えてたら怖いし。
そんなこんなで聞こうにも聞けず、そのまま朝飯を食べた。そんで気づいてしまった。
妹の後ろで何かゆらゆら揺れてる(・・・・)‼
「なぁ…、」
「何~、お兄ちゃん?」
俺はもう聞かずにはいられなかった。だから聞いてしまった…。
「お前、体に違和感ねぇの?」
「んー?そう言えば良く音が聞こえてバランス感覚が今朝から急に良くなった気がする~。」
確定。俺の見間違えじゃない。どう見ても猫の特徴です。ありがとうございます。
ボーーーーー……………
「ちょっと!お兄ちゃん!?」
「はっ(゜ロ゜)!すまん。」
どうやら余りにも非情な現実に俺の無意識は目を反射的に背けてしまっていたようだ。
「……なぁ。ちょっと頭撫でて良いか?」
「え……?いきなりどうしたの?」
「いやいや、良いから。良いから。」
なでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなで
うん。頭を撫でて実はつけ耳でした~みたいな展開を求めてたけど、思いっきり耳の所で引っ掛かってます。動く気配も人工物特有の冷たさも無い上に血の通った暖かさがあるから本物と認めるしかなくて、兄ちゃんもう泣きたいです。
「う~ん。気持ちいい~。」
友妃は頭を撫でられて気持ちいいのか目を細めてた。うわ、まじでネコみてぇ。
そんでそのまま俺はネコミミを引っ張ってしまった。
「ちょっと!痛い痛い痛い痛い痛い痛いでしょうがバカー‼」
どうやら痛覚も繋がってるようでネコミミをさすりながら、本気で痛がってた。尻尾は警戒してるネコみたいにピンと立ってた。
「痛いな~。何すんのよもぅ。」
「なぁ、お前ネコミミと尻尾どこで付けてきたんだ?整形でもしてきたのか?帰ってきたらあの二人が泣くz………いや、あの二人ならそんな事は無いk……」
「ちょっと!お兄ちゃん何言ってんの?私にネコミミも尻尾も生えてないよ!」
どうやら友妃は自分の身に何が起きてるのか気づいてないようだった。
「だったら飯さっさと食ってから、鏡見てこい。」
「ぶぅ~。解った。」
友妃は納得のいかない様子で洗面所に歩いていった。
「あいつ、飯食ってからって言ったのにな。」
俺は気になったことは直ぐに自分で見ないと気がすまないあいつの性格に苦笑しながら卵を割って醤油を入れてからかき混ぜ始めた。今朝のメニューはパンとTKG………要するに卵かけご飯だ。
「な、な、な…………何これ~‼Σ( ̄□ ̄;)」
おー、やっと気づいたよーだな。パンを食べ終えて、米を卵をかき混ぜた器に入れた頃にそんな友妃の声が聞こえた。
「……てか、なんで朝起きて直ぐに気づかんもんかね~。」
うん、やっぱTKG美味いわ。
俺はそんな事を思いながら帰ってくるのを待っていた。TKGに罪はない。おいしいは正義だ。
ドタドタドタドタバターン!
「おい、ドアはゆっくり開けろ。ほこり舞うだろ。」
「あ、ごめん…じゃなくて!なんでこんなことになってるのに教えてくれないの!」
「いや、教えてお前が信じなかったから洗面台行って来いって言ったんだが。」
そういえばネコミミがあるってことはもともとの耳はどうなってんだろう?そう思った俺は「ちょっといいか?」とちゃんと断りを入れてから友紀の髪の耳のあたりをかきあげた。
「やっぱりか…。」
結果から言うと、人間の耳があるあたりは耳じゃなくてなんか白い毛が生えてた。あの柔らかさからすると、産毛かなんかだと思う。
俺の記憶をほじ返してみても、昨日の夜に一緒にVR空間で知り合い何人かとTRPGやってから寝るところまでは友紀は普通の人間の姿だった。
俺達兄妹はボケボケ夫婦のせいで個人用PCを持ってない、というか俺は中学入学と同時に買ってもらえたのだが、それから一週間もたたないうちに家族用のPCの画面にゴキブリが走ってたからと言ってゴキジェットをおふくろがPC全体に向けて噴射したからPCは完全にお陀仏になった。そのせいで俺の個人用PCが親の強権とわけわからんこと言って奪われて、今に至る。そのため、VR機器を使うにはヘッドギアを持ってリビングにある元俺用のPCにつながなければならなくなってしまったせいで友紀と一緒に二人で並んでVR空間にダイブする羽目になってるから昨日の夜はこうなってなかったって断言できる・・・・・って・・・・・あれ!?
「なぁ、友紀。お前の今の状態ってTRPGツクール上でのお前のキャラじゃないのか?」
「へ?そう言われてみればそうかも・・・・。でも何で!?」
「俺に聞かれても知らんよ。こうなった理由になんか心当たりあるか?」
「う~ん。・・・・そういえば、お兄ちゃんって昨日の探索のあとに出てきた選択肢どっち選んだ?」
「選択肢?そんなの出てたっけ?」
俺ら兄妹が知り合い何人かとやってるVRTRPG「TRPGツクール」はTRPGをVR空間上で自分が文字通りキャラになって空間上にある半透明のサイコロを転がしてやるゲームだ。
ただ、戦闘も移動もTRPG由来のせいで他のVRMMORPGよりやりづらいとゲーマーの間では有名である。
俺はTRPGをしたことすらないぺーぺーのトーシロだったが、友紀は昔からTRPGを深くやりこんでいた。
俺はどっちかっていうとMMORPGをやってたりしてたけど、VRにはハードもソフトも高くて手を出してなかった。それで、どうしたもんかと思ってたら、たまたまVR用のハード(ソフトはついてない)が懸賞で当たってしまった。しかも2つ(・・)。
なんでかっていうと、いつも買ってるゲーム雑誌の懸賞とジ〇ンプについてた懸賞をダメもとで両方応募してみたら両方あたったというわけだ。そりゃ、学校から帰ったら自分の部屋に2つでかい包みが鎮座してたのを見てだいぶ焦ったけど、問題はそこからだった。
俺が風呂に入ってる間に友紀が俺の部屋に入って勝手に一つリビングに持ってって自分用にセットアップしてしまっていた。
このハードは生体認証タイプだからもう、一度セットアップするともうその人専用になって、誰かにあげることも売ることもできなくなる。登録を解除するには金がかかるから態々解除する人もいなかったし、俺もするつもりは起きなかった。だって解除するのには冗談じゃないぐらい金かかるもん。
仕方なく俺も残ったもう一個をリビングに持って行ってセットアップしたのだが、その間にまた友紀がやらかしてくれていた。どこからか持ってきた「TRPGツクール」をPCにインストールして、起動した。それに巻き込まれる形でセットアップ直後の俺も同じPCにつないでたのが原因で一緒にそのゲームをする羽目になってしまった。
TRPGをしたことがなかった俺は嫌々ながらキャラメイクをしてそのまま友紀の知り合いに紹介されて一緒に冒険することになったのだが、それはまた別の話。
そんで昨日の夜も2時間ほどプレイしていたんだけど、友紀が言ってた選択肢・・・・・。あ・・・出てたわ。無視したけど。早く寝たかったし。
「そういやぁ、出てたな。俺は無視して寝たけど。」
「わたしはあの時承認を選んだんだよ。まさかあの時表示されてた<新しいステージを開拓しますか?>ってこういう意味だったなんて・・・・・。」
どうやら選ばなくて正解だったようだ。
「んじゃ、他の人らはどうなのか確認してみろよ。」
「うん。わかった。」
そう言って友紀はスマホをつつきだした。多分GAINのグループで質問してるんだろう。
「ほかのみんなも私みたいにキャラになってるって。なんでお兄ちゃんはどうもなってないの?」
「だから、知らんて。・・・・・・ってうっとーしーねん!」
友紀がしっぽで俺の顔をたたいてくるので頭にきてつい、しっぽを力強く握ってしまった。
「ふにゃっ!お兄ちゃん止めて!くすぐったい!ダメ!ヤメテヤメテ~!!!」
どうやらネコミミに痛覚が通ってたことから予想はしていたがしっぽにも痛覚はあるようだ。まぁ、そうでもないと心のままに動くわけないか。
「じゃあ、自分が動くのやめろよ。ま、その感じじゃ無理そうだけど。」
そう言って俺はずっとしっぽを握り続けてたら冒頭の殴られるシーンに至った。正直やり過ぎたと思う。反省はしない。
「で?どうすんだ、これから。」
「どうするって一体?」
何言ってんの?みたいな顔でこっちを見られたが、逆に何でわかんないのかが分からん。
「普通の世の中でネコミミしっぽ付けた人がいるか?ア〇バとか日〇橋とかコスプレイベントとかヌコヌコの祭り位でしか見ないだろ。となると、お前が外で人が見たときどう思われると思う?」
「う~ん・・・・、可愛い?「たわけ!」・・・ごめんなさい(+o+)。」
あまりのおバカ発言にちょっと切れてしまった。
「変な子って思われたらまだいいけどそうじゃなかったらどうなるか俺もわからんぞ。(それにもし浩二が見たら襲いかねない・・・。)それにスカート。さっきから後ろ持ち上がってんぞ。」
「はっ!」
友紀は驚いた顔をして後ろを抑えた。
「そんな状態でどうやって日常生活を送るつもりなんだよ。無理だろ。」
そんなのだから俺はとどめをさした。
「ほいじゃ、俺は今日用事があるから昼までに家出るぞ。昼は何喰いたいんだ?」
「ラーメン!」
「あいよ。じゃあ、何味がいいか選んどけよ。」
そういってから俺はVR機器を取りに自分の部屋に向かった。
「もし俺の仮説が正しければ・・・・・・・、きっと!」
機器を手に持ち、リビングのPCにつなぎあっけにとられている友紀を尻目に俺はVR空間にダイブした。
だが、ログインしようとしたときに目の前に警告文が出た。
≪注意≫
あなたは今人生最大の選択をしようとしています。それでもいいですか?
俺は・・・・・・・迷わずいいえを押してしまった。俺のバカ・・・・・orz
その瞬間に俺は強制的に現実にVR空間から戻されたのだけど、そこには心配そうに俺を見つめる友紀の顔があった。
「起きたの?」
「あぁ、ってか顔近い。」
「ニュース見て。」
「はぁ!?なんだよいきなり!」
「お願いだから!!」
友紀はなんでか知らないけど必死そうな顔で俺を見ていた。そこには俺がダイブする前に見たゆるさはない。
「…ったくなんだよ。・・・・は?」
ニュースに流れてた映像は俺みたいに身近な人に変な現象が起きてある程度事態に耐性がついてた人ならば大丈夫だったがそうでない人は訳が分からなかっただろう。
「昨夜未明より得体のしれない現象が国内で多発しています。大阪の坂本さん。」
「はい、こちら大阪の坂本です。ここ大阪では昨夜未明道頓堀のど真ん中に謎の物体が出現しました。当初、これは何らかのオブジェかと思われていましたが、今朝未明、それから物語に出てくるようなドラゴンのような生物が現れ、暴れ始めました。幸い、朝方という時間であったのと、すぐそばで待機していた機動隊がこの生物を射殺したため、死者は出てないとのことですが、誰がその生物の卵を置いたのか未だ判明してない以上、予断は許されないようです。」
そこで画面はスタジオに切り替わった。
「ありがとうござ・・・・・ここで緊急ニュースです。東京の渋谷に先ほど報道されたものと同じものと思われる物体がついさっきどこからか出現したとのことです。警察は周囲一帯を閉鎖。機動隊を配備して様子を見守ることとのことです。どうやら映像が届いたようです。現場の鈴木さん。」
「はい。こちらは現場の鈴木です。警察関係者によると、あの物体にひびが入りだしたということで周囲は緊張に包まれています。・・・・あ!割れました。出てくるのはドラゴンでしょうか・・・・・・・?あれはドラゴンなのでしょうか?どう見てもドラゴンじゃないと思われるのですが・・・・・・。キャァ~!」ブツン!
「鈴木さ~ん?鈴木さん聞こえますか?どうやら中継が途絶えてしまったみたいですね。失礼しました。」
そして、画面の中ではニュースは淡々と続いていたのだが、俺達兄妹は呆然としていた。
中継が途絶える直前、カメラに一瞬だけ、この世界では絶対に見ることが無いと誰もが思っている奴が映っていた。
ファンタジー世界にしか存在しないはずのオーク(・・・)が。
冷静に考えたら、なんで連載の方書かなかったんだよ。
あ、俺がケモナーだからケモミミに飢えちゃったのか。