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kirakira☆girl  作者: aotohana
2/7

花束


俺とあいつは、『きらきら』でつながった。

季節はすっかり夏になっていた。


休み時間…最近の日常。


「なぁ、これは?」


鏡はきらきらじゃないらしい。


「じゃ、太陽とかは?」


「太陽はピカピカ…けど朝日と夕焼けはきらきら」


おぉ、意味よく分かんねぇけど、半分は当たりってことだ。ちょっと嬉しいかも。




俺達のとこへ、夏希がやってくる。


「ヒナ~聞いてよ、陸の奴がね…」


陸がまたなんかやったのか…ったく。


「分かったよ、帰りお前と一緒帰ればいいんだろ」


また、あいつの相談か…。少し憂鬱になる。


「うん、ありがと」


けど、夏希の笑顔見たらしょうがねぇなって思う。



夏希が去った後…


「立花さんも…きらきらだよ」


望月はそう言った。

まぁ、確かに美人だけど…『きらきら』って人間にも当てはまるのか…。


「まぁ…あいつ確かに可愛いけどな」


「私もそう思う、広瀬くんとお似合いだよね」


え!?

夏希と俺?

俺達そんなんじゃ…だって夏希は陸のこと…


けど…


『お似合いだよね』

そういって、笑うから…


きっと望月は何も考えていない…ただ思ったことを口に出しただけ…


だから…別に俺のことなんて


俺だって別に望月のこと…違うし。

否定するのを止めた…。





広瀬くんのきらきら探しは面白い。

これって感覚の違いなのかな…ピカピカが多い。


「なぁ、あいつの頭は?」


いたずらを考えた子どものような顔…

担任に視線を送り、私に教える。


「きらきら…じゃない」


私は我慢できずに吹き出した。そんな私を見て、彼も笑う。

瞳が重なってドキッとする。

だって一瞬優しい瞳をしたから…。

いつもは…あんな目つき悪いのに。





「なぁ、これやる」


私の手のひらに、星形の小さなおもちゃが落とされた。


「なに?これ」


「なんか菓子買ったらおまけでもらった」


「スイッチ押してみ?」


言われるままに押すと…淡くブルーに光る。


「な、きらきらだろ」


彼が無邪気に笑うから…

なんか泣きそうになった。なんでだろ…


これ、きらきらじゃないのに…。


「ありがとう」


彼につられて私も笑った。





立花さんは、よく隣の席に現れる。

広瀬くんと仲良しだからだ。


私は…最近は少しだけ話せるようになったけど、つながりは『きらきら』だけ。


あんな風に自然に話したりできない…。


立花さんは、隣のクラスの陸くん?とも仲良しで…分からないけど…


広瀬くんはたぶん…立花さんのことが好き。

可愛いって言ってたし…。


お似合いだと…思う。





「ねぇ、なんでそんな目で見るの」


「お母さんが悪いってそう思ってるんでしょ」


違う…そんなこと…


私が悪いのかな…



婆ちゃんとこ…行きたい…


息苦しい…


私は無意識に小さな光を握りしめる。

淡いブルーの光…


涙が頬をつたう…私はそのまま眠りに落ちた。





最近は曇ってなかったはずなのに…また私の世界にもやがかかる。耳がよく聞こえない…。


かすかに聞こえる教室のざわめき。




「保健室行くか?」


また無視かよ…


また具合悪いかって思ったけど、気のせいか…



別にほっとけば、いいのに…

なんでほっとけないんだ…俺。


「先生、またこいつ具合悪い」


ため息まじりに告げると、

俺は望月の腕を引っ張り、教室から連れ出す。



担任の「待て」という声や、クラスの奴らのざわめきなんて聞こえねぇ。



「どうしたの、何?」


息をあげて、彼女は言う。


「何って…お前さ…」


保健室へ、つながる渡り廊下。


手を思いきり振りほどかれた。拒否…。

改めて見た望月の顔は…

目…赤いし…やっぱなんか…つらそうで


けど聞いてもツンツンしてっし…


ほんとにな…


「めんどくせぇ奴…」


頭をくしゃくしゃにしてやった。




俺ばっかりが必死になってて…こいつは平然とした態度のままだ。


頭をくしゃくしゃにすると、驚いた顔して俺を見る。そしてすぐに俺から目をそらした。



「今なんて言ったの?私…今よく聞こえないの…」


聞こえない?


「時々こうなるの…気にしないで」


もう一度俺の顔を見た時には…

泣きそうな顔で彼女は笑っていた。





彼女の瞳にはどんな風に映っているんだろう。

もし、彼女の言うことがホントなら、


あん時も聞こえてなかったのかも知れない…

思い当たる場面がいくつもある。


陸の言葉をふと思い出す。


『いや…話かけてもたいてい無視されるし、なんかツンとしてんの。人を下に見てるっつーかさ、ガキの俺らの話なんてつまんねぇんじゃねぇの』


……。


俺も同じように、こいつのこと見てた。


「ごめんな」


俺の言葉は今、彼女には聞こえない。


だから…。


気づいたら俺…抱きしめていた。





また拒否されるって、思ったのに…。


だって、こいつ…いつも俺に拒否だったから…


なのに…そん時は


震える腕で俺のことつかんで…



「…ぃ、おいって、ヒナ何ぼんやりしてんだ?」



!?


駅のファーストフード店。


目の前には陸と夏希がいた。

あれから、教室に戻ったら案の定、騒がれた。

別に気にしねぇし、そんなんどうでもいいんだけど。


ただ、こいつらは面白がるからな…。


「ヒナ、ホントに望月さんが好きなの?」

夏希がまたからんでくる。

誰かから、今日のこと聞いたんだな。


俺があいつを?


「んなわけねぇよ」


ただ…なんか…ほっとけないだけだって。

タイプじゃねぇし。何言ってんだか…。


ほっとした様子を見せる夏希。

陸と2人でこそこそしてると思ったら、


「じゃ、夏祭りみんなで行けるね?マコも誘うから」


マコ?

夏希の親友で何回か会ったことがある。お嬢様学校の西女だ。


正直…マコ苦手なんだよな。

なんか、ベタベタくっついてくるし…。


そっか…もうすぐ夏祭りの季節か。





小さな町の夏祭り…たくさんの人でにぎわっている。


「ヒナ~久しぶり」


マコと夏希は浴衣姿だった。

花火の時間まで、俺達は出店を見てまわる。


「なんか腹へった、とりあえずなんか食いたいかも」

陸と俺はとりあえず、食いもんを探す。



……。


「なぁ、近いし暑いんだけど…」


俺はマコに言う。


歩きにくいせいもあるんだろうけど、ずっとマコは俺の腕つかんでて…


「え~だめ?別にいいじゃん」


マコが甘えた声でそう言うと、


「ヒナ、別にいいじゃん、減るもんじゃねぇだろ」


「そうだよ」


陸と夏希もそれに続く。


なんか、めんどくせぇし、マジ暑いんだけど…。




出店のラスト…端の方に、彩りが並ぶ。俺はふと足を止めた。


りんご飴は…たぶん違う。

けどさ…たぶんこれは『きらきら』だろ、絶対。

見つけた俺は、なぜだか嬉しくなった。


ぶどうにメロン、ソーダ、レモン…俺は水飴を1本1本取っていった。


甘いのが苦手って、知ってるから、あいつらは不思議そうに俺を見てたけどな…。



あいつ…どんな顔するかな。





出店でにぎわう人混みの中…

いるはずもない奴の…姿を見つけてしまう。


だって、あいつはつるまないし…

こういう場所好きじゃなさそうだしさ…。


けど、やっぱりそうだ…。腰まであるふわふわな髪…


「おい」


俺が声をかけると、望月は驚いた表情を見せた。


「広瀬くんも…きてたんだ」



「お前もな…けど、お前1人?」


浴衣姿だし…1人ってことはないだろうけど…


「ううん、今電話してるから」


……。


「ヒナ~」


!?


出店の列に並んでた、陸たちが俺を呼ぶ。


「あ…じゃあな」


「うん…」


すぐに俺に背を向けて歩いていく望月…

俺はそんなあいつの後ろ姿をぼんやり眺めた。

浴衣ん時って髪しばんねぇのかな…

あいつのふわふわな髪が揺れていた。



徐々に人混みに紛れていく。

そこへ電話しながら、彼女の腕をつかんだ男の姿…。2人は笑い合う…。




小さな花火があがったと思ったら、

大きな音とともに、満開に降り注ぐ。



花火はやっぱピカピカなんかな…

俺は『きらきら』に見えんだけど…。


なぁ…さっきの奴って…彼氏?

俺の心は『きらきら』の下どこか曇っていく。




私の世界がたくさんの色で染まる。

緑に黄色…紫そして水色…


たくさんの『きらきら』


どうして彼は私に『きらきら』をくれるんだろう…


彼から差し出されたたくさんのそれは、まるで花束みたいだった。


私は受け取っていいの?




部屋…

ガラスの瓶に、もらった花束を飾る。

食べないでずっと飾っていたいかも…。


涙がこぼれた

彼の優しさがただ嬉しかった


けど、私は彼に何を返せるのかな…



婆ちゃんに、会える日がようやく決まった。

今度は私が婆ちゃんに『きらきら』をあげるから。



だから…。


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