宿題会と両親の馴れ初め
「夏休みの宿題をします。」
愛鈴が沈痛な面持ちで言う。啓がすかさず言う。
「できないからか。」
「ザッツライト!頭が悪い私は華美んに教えてもらいたいんだよ!」
「学年二位だからな華美は。」
「それは最高順位だ。あーちゃんが転校した時からずっと三位に…」
「ってことはあーねん…」
「ん…そういうこと。」
「学年二位、三位、四位に教えてもらえるとは!」
「俺は教えねーぞ心。」
啓が言う。こいつ学年四位なのか。
「ひっどいなー俺だって十位以内に毎回食い込んでるぜー?」
「弘海君は胡散臭い。」
「ひどい!」
そんなやり取りの中、空牙さんは一人言う。
「そういえば、一位は誰なんだ?」
みんな一様に黙り込む。なんだ知らないのか。情報屋が居るのに。
「いやー学年一位は誰に聞いても知らないばかりで…」
「誰も知らないんじゃなくて誰も聞こうとしないんだよ。」
「どういうことだ山岸。」
空牙さんが聞いてくる。まあ別に隠しているわけじゃないしいっか。
「俺だよ、一位。」
『えーーーーーーーーー!』
そんな驚かんでも…
「なるほど…一年の頃のあだ名が『ぼっちキング』だったヤマギーなら…」
「透にそんな過去が!?」
…やべぇ、目からなんか液体出てきた。
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宿題会の後、おばさんの作った昼飯を食べる。
「とおーるー。昔話をしてやろう。」
「姫代姐さん酒飲んだか。」
「お前のお父さんとお母さんの話。」
「姫代さん!私も透のお父さんのこと知りたいです!」
「そうねー茜音ちゃん。お義父さんだものねー。」
「?」
読みは一緒だからね。うん。
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むかーしむk…え?こういうのはいい?あっそう
私達…私と春姐はあんたのお父さん…黒海碇は同じクラスでー…え?茜音ちゃんに言ってなかったっけ。あたしと春姐は双子なの。あと下に冬香ってのが…透、せかすのはやめなさい。しかも視線で。黒海は孤児のヤンキーであだ名は…確か『荒海の碇』だったの。そんな彼に対等に話しかけたのが学級委員長の春姐。
「碇っ!お前のせいでこのクラスが悪く見えるだろっ!ちゃんと制服は正しく着ろっ!」
「…今日のパンツの色教えてくれたら。」
「…白だ。」
「春香、顔赤い。」
「誰のせいだと思ってる!」
黒海は変態だったけどさー。春姐にしかえっちなこと言わないし、あたしもしゃべったことあったけど一回もそういうの無かったんだ。「春香~。胸もませ…」「誰がさせるかっ!」みたいな会話は日常茶飯事。でもね、黒海を嫌ってた男たちから春姐は狙われたんだよね。その日はあたしが残しで春姐が一人で帰ってたの。そしたらそこに何人かの男たちが来て…
「おい、黒海の女だろ?ちょっとつら貸せよ。」
「やめろ!触るな。」
春姐はあの性格だから、抵抗したんだけど路地裏まで連れて行かれちゃったんだ。そしたら何の運命かそこにいたの。『荒海の碇』は。
「おい。テメーら何してやがる…」
その時の黒海むちゃくちゃ怖かったらしくてさ。その男どもをぼっこぼこにしたんだってさ。かっこよかったらしいよ?
「…助かったありがとう。碇の事見直したよ。」
「あっそ。別に俺はお前に恩を売ってどうこうしようって言うつもりはないぜ。」
「ああ。お前はそういうやつだからな。どうせなんとなくいたから助けたとかだろう?」
「いや。これハンカチ。お前のだろ?道端に落ちてたからなんかあったのかと思って匂いを追ってきた。」
「匂っ!?まあいい。その…ありがとう…」
まあそんな感じで春姐が黒海にホの字になっちゃったという感じ。そんで、春姐から告って黒海が婿に来る形で結婚したんだ。
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驚いた。親父はそんな昔から変態だったのか。
「碇さんって透に似てるね。」
「え?」
「もしあたしのハンカチが落ちてたら、透はきっと助けてくれる。」
「ああ。」
「あと、えっち。」
そこも…たしかに似てしまったのかもな
でもきっと、誰かと戦ってる時の方が…親父に似てる。
だって親父が遺して逝ったものは喧嘩の方法だけだったから




