ピュアとゲス~月とすっぽん?みたいな二人~
本当になんでだろう。案内し終わったときから一日中彼女の顔が頭から消えない。見るたび心臓が破裂しそうだった。最初は可愛いなと思い話しかけていた。しかし途中から心の臓がバックバックいい始めた。それは彼女の性格がよかったからだ…と思う。
「ゴミついてるよ?」と俺の肩に付いたゴミをとってくれたり、一人で弁当食っていると言って心配したのか一緒に食ってくれた。今日は格段にうまかった。休み時間も話しかけてくれた。
そんぐらいで惚れたのかと思うかもしれない。俺も思った。でも、すげー心臓バクバクいってるし顔は赤いしたぶんそうです。ハイ。てゆーか山倉のルックス自体ドストライクでした。マジです。
と思いつつ着替えナウだ。山倉もうちの部活の設備上、一緒な部屋で着替えてるが、カーテンで仕切られている。
…そりゃあそうか。あー覗きてー。もういっそ覗くか。
覚悟を決めるまでに二秒を要したがまあいい。さくっと覗こう。
山倉の下着は両方ピンクだった。剣道着や制服姿じゃあ分かんなかったがあいつすげースタイルいい。可愛いな。その山倉は胸に手を当てて真剣に考えた風にしている。胸の大きさが気になるらしい。別に普通じゃね?貧乳でもねぇのに。
あ、こっち見た。顔真っ赤にしてる。ってばれちゃった。
…ぼこぼこにされました。縄で縛られました。こういう趣味?って聞いたら殺されかけました。
一緒に帰ることになった。同じマンションらしいし、まあ同じ部活になったわけですし。でも、あんなことした奴と一緒に帰るっていいのか、と聞いたら
「いいよ。全然。」
と満面の笑みで返された。覗いてすんませんと土下座してもうた。悲しくなったよ。俺のゲス度が高すぎて。彼女のピュア度の前ではどんなゲスもひれ伏す事が分かりました。全国の変態ども!こういう子他にいてほしいよね!
うちのマンションは学校からそんな遠くない。なのであまり山倉とは話せなかった。くそっ。
「じゃあ、私この階だから。」
「俺もだ。」
歩く。自分の部屋の鍵を開ける。隣からも同じ音がする。え?隣を見る。すると山倉も同じ体勢でこちらを見ている。
「お隣さんか…」
「家計的にはここの家賃ちょうどいいから入ったけど…隣だったの?」
「中二で家計?まあ俺も預かってるが。」
「晩御飯のおかず無いから買い出しに行かないと…」
「しょうがねえな…食わせてやるよ。」
「いいの?ありがとう!」
やったーーーーーーー!家に来たーーー!内心超喜んでます。
「へーっ。ご飯作れるんだ~。」
「おう。」
「…おいしー!」
イヤーほめてもらうのってこんな…うれしいんだ…
「片付けは俺やるからお前もう帰っていいぜ。」
「私も手伝うよ。」
「いや、そろそろ母さん帰ってくるし。」
「じゃあ、お母さんにもお礼を…」
「あの人とは会わないでくれ!」
あの人…山岸春香は、いい性格してるんすよ。俺いじりの面で。大岡との三者面談…ふふ四、五回泣いたよ?何あれ、最後母さんと先生がハイタッチして
「いい性格してるね。」
「そちらこそ。」
ってなに。何認め合ってるの。なんで担任が「息子さんをいじるの楽しませてもらってます。」って言って、母さん「でしょー?」って答えんの。なんで怒ろうとしないの。
このエピソードを話すと山倉はなんで私あったらだめなの?というので…
「俺が山倉の事で三週間くらいいじられる。」
とドヤ顔したらさすがに察してくれた。
「あ、そうだ!」
山倉は思い出したようにこう言った。
「あしたから一緒に学校行かない?」
「な、何で?」
「いや、家となりだし?」
…びっくりした。だよな、あっちも俺みたいにお互い意識してるわけじゃないんだな。
…明日から楽しくなりそうだな、学校。