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無くした物と手に入れた物

 啓はゴリラを叩きのめした。茜音を守るために。愛鈴の復讐のために。だけどそれはやり過ぎというのは明らかだった。…だから、彼は


「…まあ、君のやったことが確実に悪とは言えん。だが確実に正義とも言えん。意味わかるか?」

「うっす。」

「これをやる。停学や反省文はない。校長の計らいでな。状況も状況だったからな。」

「…うっす。」

「あいつらには、一日停学なんだが…御理田も骨折してるんでな。お前だけこういう形になってしまった…。泣くな愛鈴。」

「啓介がこんなことになったのは…あたしが…」

「うるせぇ心。俺が悪いんだ。こうなって当然だよ。」

「だけど…空手部辞めなきゃいけないなんて…」

「いいよ。別に。部長が辞めるだけだ。」


…最後の大会に出ることなく、部活を終えることになった。

―――――――――――――――――――――――――――

「そんなのおかしいだろ!」

「落ち着け幸作!気持ちはわかるが…」

「けーさんは転校生ちゃんを守ろうとしただけだろ!?まあ鈴ちゃんが怪我させられたのもあるが!だいたい喧嘩したのは俺達もだ!」

「確かに。お前だけの問題じゃ無いだろ?啓。」

「…悪いな。お前ら。でもいいんだ。今はこいつがいる。」


啓はため息をつきながら、愛鈴の頭をポンポン叩いた。


「…むすぅ。」


その愛鈴は頬をふくらまして不貞腐れている。何やら説得したのに聞いてくれないのでムカついてるらしい


「むー。」

「不貞腐れるなよココア。花宮が決めたことなんだ。こいつの意思を尊重してやろう。ほれ、これあげるから。」

「パクッ。」


そんな愛鈴を空牙さんがお菓子で説得。なんて場違いなほのぼのした光景なんだ…と、そこで今まで口を閉じていた茜音が口を開く。


「とりあえず…そういう話し合いは武道場以外でやろうよ…。」


…部活の時間だったね!忘れてたわ!


―――――――――――――――――――――――――

…あいつらになんて言おう。


「うっす!部長!練習始まってますよ!」

「お、おう…。」


そう言って道場に入る。すると…

―――――――――――――――――――――――――

『部長お疲れさまっしたー!』


部員たちの声に啓は驚いていた。サプライズ成功だぜ。


「お疲れ様です、部長。」

「お前ら…そんなことする暇があるなら練習しろよ…。」

「まあまあ、俺が無理言ったんだ。許してやれ。」

「クリア…ったく、楽しいやつらだな。」

「ふふ、いい友達でしょ?啓介♪」


啓は満面の笑みで愛鈴の言葉に答えた。


「ああ。」

――――――――――――――――――――――――――

後輩の挨拶が終わると、啓は一言、「絶対勝てよ。」とだけ言い。屋上へ向かった。それを愛鈴が追って行った…俺達は、面白いものが見れそうなので覗き見することにした。

――――――――――――――――――――――――――

「心。一人に…してくんねえか。」

「するわけないじゃん。私も悲しいのは一緒だからさ。それに…」

「あたしのせいは無しな。」

「…でも。」

「いいよ。俺が自分でやったことだからさ。」

「それでも、あたしは…」


愛鈴が啓に後ろから抱きつく。女子二人は小声で歓喜!


「…なあ、心。」

「…何よ。」

「甘えてもいいか?」

「うん。」


そう言うと愛鈴は正座で座り、啓はその膝を枕にして寝転んだ。そう、膝枕です。女子二人またまた小声で歓喜!


「…泣いてもいいよ。」


愛鈴の言葉の後、啓は泣き始めた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

十分位経った後啓は立ち上がり、愛鈴の方を見た。


「サンキュー、心。」

「いいよいいよ。泣いてる啓介見れたしねー。」

「うるせぇ。」


啓は少し頬を赤らめた。それを見て、愛鈴が笑う。二人ともとても楽しそうだ。

さすがにこの雰囲気を壊すのは気が引けるので帰ろうと皆に言って、振り向く。すると…


「うおっ!」


屋上のドアに寄りかかってしまい、ドア開いちゃった。テヘッ☆


「あーねん達…ずっと見てたの!?」

「こころん、乙女だったからさー。」

「ーーーーーーッ!」


愛鈴の言葉になってない叫びと共に夕日が沈み始めていた。


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